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基幹システムはそのままに、受発注業務を一本化|三菱商事プラスチック株式会社がYoomを導入
三菱商事プラスチック株式会社(https://www.mcplas.co.jp/)は、プラスチックをはじめとする合成樹脂原料・製品ならびに関連商品の国内取引、輸出入取引を行う専門商社です。
同社において業務改善を牽引しているのが「経営基盤整備部」です。この部署は、情報システムの管理(IT導入)にとどまらず、情報インフラの整備と経営の係数・利益管理を一体化させ、経営の土台=プロセスそのものを設計・再構築することを使命としています。
厳格な内部統制と、容易には変更できない基幹システムを抱える中で、現場の負荷をいかに軽減し、スピード感のある経営を実現するか。同社が選択したのは、基幹システムに手を加えるのではなく、その手前に「kintone」を配置し、kintone上に受発注プロセスを集約し、標準化を推進するという戦略でした。
現場それぞれの「便利」から、会社全体の「迷わない」へ
――まず、中保様のご所属と現在のお役割について教えていただけますか。
中保様: 私は現在、経営基盤整備部という部署に所属しています。2026年度より経営企画と情報システムが統合し、情報のインフラ整備から経営の係数・利益管理までを幅広く担っています。
いわゆる「DX推進部」のような名称ではありませんが、経営の土台である業務プロセスを設計・再構築して会社全体がより効率的に動けるよう、基盤を整えるのがミッションです。私自身、2年前までは営業現場におり、エンジニアのような開発経験はありません。だからこそ、現場の目線で「どうすれば業務が楽になるか」を常に考えています。
――これまでは、どのような形で業務の効率化を進めてこられたのでしょうか?
中保様: 数年前までは、稟議ひとつ通すのも「紙」という、アナログな文化が色濃く残っていました。そこからまずはペーパーレス化を進めながら、営業現場ではkintoneを導入して、顧客情報のデータ管理に利用してきました。
また、業務ごとの課題に対応するため、RPAや受発注システム、Excelやマクロを活用した管理など、それぞれの領域で効率化を進めてきました。個々の業務は確実に便利になった一方で、プロセスが分断してしまい、業務全体を一つの流れで処理することが難しくなっていったんです。
デジタル化は進んだものの、「業務プロセス全体」という視点で見ると、まだ非効率な部分が残っている。そんな状態でした。
――「個々の業務は効率化された一方で、プロセス全体の最適化」に課題があったのですね。
中保様: そうです。私たちの部署は、もともと「最新のITツールを取り入れることよりも、業務プロセスそのものをどう改善するか」を考えることを重視しています。個々の作業が「便利になったね」で終わるのではなく、受注から納品までの一連のプロセス(デリバリー業務)を一つの流れとしてとらえ、標準化していきたいという思いが強くありました。
Yoom導入のきっかけ:「基幹システムは変えずに、kintoneを『共通の作業場』にしたい」
――Yoomを導入されたきっかけや、当時の課題について教えてください。
中保様: 最大の課題は、受発注業務の標準化でした。商社にとって受発注は命ですが、この記録は基幹システムで行うという鉄のルールがあります。
しかし、この基幹システムは、厳格な内部統制を担保するためのもので、セキュリティやガバナンスが非常に強固なため、現場の業務に合わせて柔軟に変更したり、新たな機能を追加したりすることは容易ではありません。
――基幹システムは変えられない。でも、現場のプロセスは改善したい。このジレンマをどう解決しようと考えたのですか?
中保様: 「基幹システムは、あくまで最終的な『結果』を入れる箱」と定義し直しました。そして、その一歩手前の、人間が試行錯誤したりデータを加工したりするプロセスを管理する場所として、kintoneを「標準化基盤」に据えるという構想を立てたんです。
そこで必要になったのが、紙やPDFで届く注文情報をいかに現場の業務基盤であるkintoneに集約するかという点でした。受発注業務を標準化するためには、情報の入り口を統一する必要があったんです。以前からOCR(光学文字認識)は利用していましたが、専用ツールとして独立していたため、データの取込とその後の業務が分断されていました。私たちが目指していたのは、現場が複数のツールを使い分けるのではなく、「kintoneを見ていれば業務が進む」状態です。そのため、OCR機能そのものだけでなく、kintoneを中心とした業務フローの中に自然に組み込める仕組みが必要でした。
――そこでYoomに目が止まった、と。
中保様: はい。たしか「OCR kintone 連携」といったキーワードで検索していた時にYoomを見つけました。 Yoomの最大の魅力は、OCRとkintoneが連携しているため、一つの画面(UX)で完結できることです。あちこちのツールにログインさせるのではなく、現場には「kintoneだけを見ていればいいよ」と言える環境を作りたかった。
また、世の中にはRPAもありますが、RPAはメンテナンスに専門知識が必要なケースが多いですよね。Yoomであれば、私のような非エンジニアでもフローが組める。OCR機能だけでなく、将来的に他のツールとの連携にも幅広く使えそうだという直感があり、導入を決めました。
YoomのAIワーカーでOCRの精度が90%以上へ改善
――当初はOCR連携がメインだったとのことですが、そこからYoomの「AIワーカー」機能の活用へと進んだのはなぜでしょうか?
中保様: 弊社は元々社内でAIを強く推進しているような企業ではなく、トレンドだからといって最新ツールを早急に取り入れるような考え方は、基本的にはありません。
あくまで「既存の状態において、課題を解決するために最も適した方法は何か」を検討するのが私たちのスタンスです。AIワーカーの活用も、その延長線上で「結果として」始まったものでした。
今年の2月から、kintoneを標準化基盤として本格的に運用し始めました。すると、利用範囲が広がるにつれて、従来のOCRでは読み取れないケースが増えていきました。FAXのかすれや、手書きの文字、特殊なレイアウトや表現方法……。読み取れないものがあるたびに、現場では「結局、最後は人間が手入力しなきゃいけないんだ」という落胆が生まれます。これが標準化基盤導入のボトルネックになっていました。
――その解決策として、AIワーカーにたどり着いたのですね。
中保様: そうです。Yoomの「AIワーカー」を使えば、OCRで読み取った内容をより高度なAIモデル(Geminiなど)に切り替えて処理ができると知りました。「やったけど読めなかった」という状況を打破するために、AIワーカーを組み込んでみたんです。
――実際にAIに切り替えてみて、変化はありましたか?
中保様: 劇的に変わりました。従来のOCRでは、読み取れない帳票レイアウトも、AIワーカーではマニュアルによって帳票の特徴や読み取りルールを定義できるため、さまざまな形式の注文書に対応しやすくなりました。例えば、商品名が少し掠れていても、kintone側のマスタデータと突き合わせながらAIが「これはこの商品だろう」と賢く補正してくれる。単に文字を読み取るだけでなく、業務で利用できるデータとして整えてくれる感覚ですね。
さらに、その補正した結果と判断内容をkintoneのコメント欄に自動で記録するフローを作りました。
「AIがどう判断して、どう直したか」のプロセスが可視化されるので、現場のチェック作業も格段に楽になりました。結果として読取精度も90%以上まで向上しました。
単純な文字認識ではなく、例えばメール発注で「毎月〇〇個を5月~12月」という記載があった場合でも、文脈を理解してデータ化しているのは驚きました。
業務フローを作る延長で、AI活用も“自然に拡張”
――OCR以外でも、AIワーカー活用をされていらっしゃいますか。
中保様: はい。今年の3月頃から運用している「危機管理台帳」での活用です。原料市況や供給リスクに関する情報を集約するために作った仕組みなのですが、 当時、イラン・イスラエルを中心とした中東情勢の変化により、原材料や物流網への影響が懸念されていました。プラスチックの原料を扱う私たちにとっても日々注視すべきテーマであり、営業現場には日々、「A社が生産停止するらしい」「物流ルートが変更になる」といった情報が入ってきます。
以前は、こうした情報は各営業の頭の中や、個別のメール・チャットに埋もれていました。これをkintoneに集約するようにしたのですが、情報の数が多いだけでなく、「同じ事柄に対してのアップデート」が日々重なっていくため、情報の「要約と更新」が大きな課題になりました。
――「更新」がないと同じ項目への情報が錯乱してしまう。
中保様: そうなんです。単に要約して終わりだと、情報が古いまま残ってしまい、結局どれを信じていいか分からなくなります。そこで、AIワーカーを裏側で走らせて、情報の鮮度を保つ仕組みを作りました。
営業担当者が入力した個別のコメントを、AIワーカーが巡回して要約し、kintone上の専用ページにまとめます。さらに、テーブルが更新されるたびに、AIがこれまでの履歴を再度読み直し、「今の時点の最新情報はこれです」と常にサマライズを更新し続けるようにYoom上で設定したんです。
――情報の要約だけでなく、更新作業までAIワーカーが行っているのですね。
中保様: はい。これにより、いちいち個別のレコードを遡らなくても、一つの画面を見れば「今日、今この瞬間に何が起きているか」の最新要約が確認できるようになりました。
こうした「プロセスに溶け込んだAI」の使い方は、ChatGPTなどの外部ツールを単体で使うだけでは実現できません。利用者はkintone上でいつも通り業務を行うだけで、裏側ではYoomが情報の整理や更新を実行してくれる。AIを使うこと自体が目的ではなく、業務をよりスムーズに回すための仕組みとして自然に組み込めたことに価値を感じています。、
仕組みが変わる過渡期|現場の声を拾いながら、フローを磨き続ける
――導入による定量的な効果や、現場の変化を教えてください。
中保様: 現在AIを用いたOCRは毎日30件ほど稼働しており、順次拡大しています。。導入前は、紙の注文書を見てExcelで発注書を作り、それを基幹システムに手入力するという作業でした。
それが今では、AIワーカーを活用した受注処理だけで平均5分程度で基幹システムに入力するデータの9割が整った状態になっています。
――現場の皆様の反応はいかがでしたか?
中保様: この効率化を実現する過程で、「重心の変化」が起きました。
以前は「最後に基幹システムへ打ち込む時」に大きな負荷がかかっていました。いわば「後処理」に時間を使っていたんです。それが今は、kintoneへの入力や、AIの読み取り結果を確認する「前裁き」の部分に作業の重心が移りました。
現場からすれば、これまでの慣れ親しんだやり方から「Kintoneだけで完了させる」というやり方に変わったため、戸惑いのような反応もあります。
全社的に展開していく中で、この重心の移動こそが情報の透明性を高め、属人化を防ぐ鍵になると思っています。今は、この新しいスタンダードが現場に馴染んでいくための大切な過渡期だと捉えています。現場の声を拾いながら、より「楽になった」と実感してもらえるよう、さらにフローを磨き上げている最中です。
今後の展望|泥臭い作業はAIに任せ、人は「人間にしかできない仕事」へ
――最後に、今後の展望を教えてください。
中保様: 私個人の願いとしては、社内に点在している情報をつなぎ、一つの流れとして活用できるようにしたいと考えています。 営業が持つ商談内容、工場の稼働状況、原料の市況……。これらはバラバラの部署で管理されていますが、本来は密接に繋がっています。これらをシームレスに連携させ、誰でも必要な時に必要な情報にアクセスできる環境を作っていきたいです。
また、AI活用についても、「AIを使うこと」が目的ではありません。これまで人間が泥臭くやっていた「転記」や「集計」といった作業を、AIに委ねることで、人間は人間にしかできない判断や提案といったより付加価値の高い業務に集中できるようになると考えています。
三菱商事プラスチックという組織が、商社グループとして求められるガバナンスを維持しながらも、現場主導で継続的に業務改善を進められる。そんな「強い業務基盤」を、これからも構築していきたいですね。
さいごに:Yoomより
今回の三菱商事プラスチック株式会社の事例では、当初は「OCRとkintoneの連携」を目的としてYoomを導入していました。しかし実際には、業務フローを構築していく中で、AIワーカーの活用を高度な情報整理や要約、自動更新へと自然に拡張されていらっしゃいました。
Yoomの特徴は、作成した業務フローの中に、AIによる要約・分類・文章生成・データ整理などの機能を、ノーコードで簡単に組み込めるため、これまで行っていた既存業務に対して、無理なくAI活用を追加できる環境になっています。
「会社全体として大規模なAI導入はまだ進んでいない」「まずは日常業務の中で、小さくAIを試したい」
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