・
B2B SaaS企業のマーケティング担当者の皆様、日々の情報収集や競合調査に追われていませんか？
特にX（旧Twitter）は、ユーザーの生の声や競合の最新動向が溢れる情報の宝庫ですが、タイムラインを目視で追いかけ、手動でレポートにまとめる作業は膨大な時間を要します。「重要なトレンドを見逃してしまう」「情報収集が属人化し、チームで共有できていない」といった課題を感じている方も多いはずです。
そこで本記事では、イーロン・マスク氏率いるxAI社が開発した生成AI「Grok（グロック）」の使い方を解説します。
GrokはX上の投稿データに素早くアクセスできる唯一無二のAIです。
このツールを活用することで、多くの時間を割いていた情報収集業務を圧縮できるため、その他のコア業務リソースを充てられるようになるでしょう。
今回は、実際にGrokを使用して、その実力と具体的な活用方法を検証しました。
業務効率化を目指すマーケターの方はぜひ参考にしてください。
本記事は、以下のような方を想定して執筆しています。
Grokは、AIの大手企業であるxAI（エックスAI）によって開発されたAIチャットボットツールです。
xAIは、テスラの創設者であるイーロン・マスクが主導する企業で、GrokはそのAI技術を活用した製品の一環として登場。
2023年に発表され、Xプラットフォーム上での利用が可能になりました。
その後、Webブラウザやモバイルアプリでも利用できるようになり、テキストベースの会話を通じてユーザーとやり取りし、情報を提供したり、質問に回答したりする機能を備えています。
Grokの大きな特徴として、Xと直接連携することで、今この瞬間に投稿されているポストやトレンド情報を参照するため、一般的な一般的なAIだと追いつきにくいような、直近のニュースや数分前に広がった話題にも気づいてくれて、その時の流れに合った答えを返してくれます。
現在、ユーザーとのインタラクションを通じて学習し、より高度な会話能力を持つAIツールとして進化し続けています。
Grokの利用は基本的に無料プランから始められますが、いくつかの追加機能を活用するためには有料プランへのアップグレードが必要です。
以下では、Grokの代表的な利用プランとその料金について紹介します。
（今回は「無料プラン」と「X Premium+」のみを比較）
※2025年12月現在の情報です。
※上記は日本での利用を想定した比較表です。ご自身のアカウント・地域での最新状況を公式サイトで確認する必要があります。
※無料プランは、チャット回数や生成可能なコンテンツ数が制限される可能性があります。
※X Premium+は「制限の緩和」が適用されており、必ずしも「無制限」での利用が可能というわけではありません。多量のコンテンツ生成には注意が必要です。
その他の詳細については、Grokの公式サイトで最新の情報を確認してください。
文脈保持能力に優れた高性能な「Grok 4.1」、最上位の「Grok 4 Heavy」などが提供されています。（Grok 3,4モデルの利用は引き続き可能）いずれもリアルタイム検索とツール呼び出しが可能で、複雑なクエリ処理や多用途対応。
Grok 4.1：感情理解や対話の自然さが強化された最新モデル。人間らしい応答、創造性高いコンテンツ生成に優れ、マーケティング文章やクリエイティブ制作向き。
Grok 4 Heavy：Grok 4をベースに、より高いアクセス限度と処理能力を提供。複雑なデータ分析や長時間の対話に強み。
Xアプリ（iOS/Android）、Webブラウザ（grok.com）からアクセス可能。
このように、様々なデバイスからアクセス可能で、どんな方でも導入しやすいのがポイント！
また、一般的なAIチャットツールと比較して、情報の「鮮度」において圧倒的な優位性を持っており、特にトレンドの変化が激しいSaaS業界のマーケティングにおいては強力なパートナーとなり得ます。
Grokの特性を活かし、マーケティング業務で実際に役立つ利用シナリオを考案しました。なお、検証の軸となるシナリオは、API連携を見据えた構造化データの作成です。
具体的には、YoomなどのiPaaSツールを活用して、マーケティング業務の自動化フローを構築する場面を想定しています。
Web上の非構造化データを収集し正確に出力できるかどうかが、業務効率化の鍵を握ります。
まずは、Grokにログインします。
以下は、メールアドレスでのログインを行ったものです。（GoogleアカウントやXアカウントを利用してログインすることも可能です。）
ログインした後、チャット画面に移行します。
では、さっそく検証を行ってみましょう。
今回は、マーケティングチームの責任者がリモートワークを導入するにあたって、その効果と一般的な意見をXで調査することを想定します。
プログラムが処理しやすいJSON形式での出力と、収集結果の感情分析を客観的に行いたいので、以下のようなプロンプトでGrokへ結果の抽出を求めました。
利用モデル：Grok 4.1 (Thinking)
入力プロンプト
リモートワークにおけるマーケティングメンバーの課題と効果に関する議論をX上で収集してください。特に、リモートワーク導入状況、コミュニケーションやコラボレーションツールの活用状況、マーケティング業務の効率化への影響に関するポジティブ・ネガティブな意見を収集してください。また、リモートワークが業務に与える生産性の変化や、エンゲージメントの向上についても言及された投稿を収集してください。
収集結果から現在のX上の議論を分析し、主な論点3つを抽出してください。
感情分析を行い、結果をJSON形式で出力してください。
プロンプトを入力すると、Grokは即座にX上の関連ポストを検索して情報を整理し始め、情報の収集から分析までがシームレスに行われていました。
出力された結果は、指示通りJSON形式で生成されました。
括弧の対応やカンマの位置など、JSON構文としての正確性は完璧です。
以下抽出結果
手動での調査では検索コマンドを使ってキーワード検索し、スパムや無関係なポストを目視で除外する必要があるでしょう。
さらに内容を読み込んでデータベースツールに結果を転記するため、所要時間は1日に約60分ほどかかる可能性があります。
この点を考慮すると、今回得た結果は普段の業務への導入において、多くのメリットが期待できるといえそうです！
もう一つ検証してみましょう。
SaaSのマーケティングにおいて、情報の「鮮度」は戦略の質を左右します。
2つ目の検証シナリオは、マーケティング担当者が日常的に行う「競合SaaSの最新評判・トレンド調査」です。
ここでは、マーケティング業務で欠かせないツールについて、評判を調査してみます。
特に、情報の流れが速いSNS上での反応を正確に捉えられるかに焦点を当てました。
利用モデル：Grok 4.1 (Thinking)
入力プロンプト
「マーケティングオートメーションツールである『HubSpot』と『Zoho CRM』について、過去72時間以内にX（Twitter）で投稿された日本語のポストを分析してください。特にユーザーが言及している『使いやすさ』や『新機能』に関する感想を抽出し、それぞれの製品に対するポジティブな意見とネガティブな意見を箇条書きでまとめてください。」
2つ目の検証の結果は以下のとおりです。
以下出力結果
2回の検証を行いましたが、どちらもGrokを活用することで、調査内容をまとめたプロンプトを一度入力するだけで、取得したい情報が数十秒で抽出されました。
この出力結果を確認し、重要なポストのリンクだけをチェックもしくはデータベースツールにまとめれば、作業は完了！
所要時間を約5〜10分ほどに抑えることもできそうです！
この検証により、情報収集にかかる時間を約10分の1に短縮できる可能性が見えました。
空いた時間は抽出されたインサイトを基にした施策の立案や、コンテンツ作成などの業務に充てることができます。
さらに、回答の最後に提示される深掘りキーワードの提案や「スレッド」機能を活用することで、気になった論点をさらに詳細に調査可能です。
一度のプロンプトで終わらせず、対話を通じてインサイトを深められます。
また、「JSON形式で出力する」というシステム要件を厳密に守りつつ、内容の質も落としませんでした。
マーケティング担当者だけではなく、エンジニアにとっても、修正の手間なくデータを使える点は大きな強みです。
実際に使ってみた感想として、Grokは、日々の情報収集を自動化したいマーケターや非構造化データをシステムに組み込みたいエンジニアにも推奨するツールであると感じました。
従来のマーケティング調査でも重宝しますが、今回の検証のように特定の意見だけでなく、SNS上の様々な企業環境の声を短時間で取得できるのはかなり魅力的です。
また、エンジニアの扱うデータについても適切な処理を施すため、今後iPaaSツールを使って「SNSの声を自動収集し、SlackやNotionにレポートとして通知する」といった自動化ワークフローを構築したい方にとっては、最強のパートナーとなります。
今回の検証でGrok単体での時短効果は実証できましたが、毎日プロンプトを入力して結果をコピペする作業さえも自動化したいと考える方もいるでしょう。
例えば、「毎日決まった時間にGrokが自動で競合調査を行い、その結果をSlackに通知し、Google スプレッドシートに記録する」といったフローを構築できれば、情報収集は完全に自動化されます。
こうした高度な連携は、GrokのAPIとノーコードツール「Yoom」を組み合わせることで実現可能です。
API経由であれば、前述のJSON形式でのデータ抽出も活かせるはず。
まずはGrokに登録し、この圧倒的なリアルタイム検索の威力を手動で体感してみてください。
それだけでも、毎朝のルーチンワークが劇的に変わるはずです。
[Yoomとは]
