・
資料の山に埋もれて、数字の根拠がどこにあるのかわからず焦った経験、ありませんか?
「その情報のソースは?」と聞かれてすぐに答えられないと、冷や汗が出ますよね。
ネットで検索しても関係ないページばかりヒットしたり、AIに聞いても本当かどうかわからなくて不安になったり……調べ物って、意外とストレスが溜まる仕事です。
そんな時に頼りになるのが、Perplexity AIというツールです。
AIをうまく活用することで、今まで数時間かかっていた裏取りや資料読みが、ぐっと楽になります。
Perplexityで論文要約をサクッと済ませてしまえば、難しい資料と格闘する時間を減らして、もっと大事な「考える時間」を増やせます。
本記事では、Perplexity AIの基本的な使い方から、実務で役立つちょっとしたコツまで紹介していきます。
新しいツールを味方につけて、情報の波をうまく乗りこなしていきましょう!✍️そもそもPerplexityとは
本記事の想定読者
この記事は、特に以下のような課題をお持ちの方に役立ちます。
Perplexityとは
Perplexity AIの基本的な概念と、従来のツールとの決定的な違いを、AIを初めて使う方にも分かりやすく解説していきます。
【Perplexityとは何か?】
Perplexity AIは、Web検索と生成AIを組み合わせて質問に答える「AI回答エンジン」です。文章で質問すると、関連する情報源をWebから探し出し、ポイントを整理した形で答えを返してくれます。
回答画面には、参照した記事やサイトへのリンクが並ぶため、自分で元情報を開いて詳しく読み込むこともできます。
複雑なテーマについて複数の情報源を横断的に調査し、レポート形式でまとめるリサーチ機能も提供されており、本格的なリサーチにも使いやすい設計になっています。
質問に対して最適な資料を探し出し、要点をまとめて報告してくれる、優秀な専門リサーチャーのような存在です。
出典:公式サイト
【従来手法との違い】
【利用上の重要事項】
Perplexityを業務で安心して使うために、知っておくと役に立つポイントをまとめました!
AIを使うシーンが増えてきた今だからこそ、基本仕様や注意点を軽く押さえておくと、ぐっと扱いやすくなります。
🤔実際に使ってみた
想定されるユースケース2点をPerplexityを実際に使ってみました。
設定方法も載せているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
検証条件
Perplexityの無料プラン
モデル:ベスト
使用する論文:以下のように約20000字の架空の卒業論文を使っています。卒論でよく見る長さに合わせているので、しっかり読み応えのあるテキストです。
これを読み込ませ、Perplexityがどれくらい整理して答えてくれるのかを見ていきます。
検証内容とポイント一覧
利用シナリオ案1:結論ファーストでの「3行要約」
利用シナリオ案2:論文内のデータと「現在のWeb情報」の照合
単に「当たった/外れた」の数字合わせだけでなく、もし予測が外れていた場合、最新ニュースに基づいてなぜ外れたのかという要因まで推測・補足できるか。
検証方法
では、さっそく検証していきましょう!
1.Perplexityにログインし、画像の歯車マークからモデルを選びましょう。
デフォルトでは「ベスト」になっているので、そのままベストにしておきます。
2.クリップのアイコンからファイルを添付できます。
ここに論文のファイルを添付します。
利用シナリオ案1:結論ファーストでの「3行要約」
Perplexityへの設定
では、さっそく論文を読み込んでもらいましょう!
今回は、読み手を「多忙な経営層」に設定し、学術的な正確さよりも、ビジネスの現場ですぐに使える「分かりやすさ」を最優先するよう指示を組みました。
実際に使ったプロンプトはこちら
あなたは優秀なビジネスコンサルタントです。
添付のPDFファイルを読み込み、多忙な経営層に向けて「この論文から得られる最も重要な知見」を3行の箇条書きで報告してください。
## 条件
・要約の対象:研究の背景や細かい調査手法(デバイスの仕様や計算式など)は一切省略し、最終的な「結果」と「提言」のみにフォーカスしてください。
・言葉選び:「SPI」や「LF/HF比」といった専門用語は使わず、誰にでも伝わる平易なビジネス用語に変換してください。
・視点:単なる事実の羅列ではなく、それが組織運営にどのようなインパクトを与えるかという視点を含めてください。
このように、ターゲット(経営層)と制約(手法は省略・専門用語なし)を明確にすることで、AIが余計な情報を拾わないように制限をかけるイメージです。
検証結果
検証結果を以下の3つの観点で評価します。
① 指定した出力テンプレートに従っているか
以下の3つの観点で評価します。
① 論文の長いイントロダクションを飛ばして、核心となる「結論」だけを捉えているか
判定:⭕️
余計な前置きをカットすることに成功 「研究の背景や手法は省く」という指示はしっかりと守られました。
AIによる要約でありがちな「本研究では〜を対象に調査を行い」といった導入部分がなく、1行目から「業務の生産性は〜」と結論に入れている点は評価できます。
② 専門用語を噛み砕き、直感的にわかる日本語になっているか
判定:⭕️
論文内に登場する「デジタル・モノカルチャーの脆弱性」や「グレート・ブラックアウト」といった独自の文脈を持つ言葉を、そのまま使わずに「アナログのバックアップを含む危機時の業務継続計画」と言い換えたのは見事です。
専門外の人が読んでも意味が通じるレベルに噛み砕かれているなと感じました。
③ わかりやすさを優先するあまり、事実を歪めていないか
判定:❌
解釈ミス(ハルシネーション)が発生していました。Perplexityの回答では「優秀人材の流出も少ない」と断言されていますが、元の論文では「離職意思はむしろ高い(条件の良いオファーがあれば即転職する)」という、真逆の結果が「孤独のパラドックス」として警告されています。
AIが「生産性が高い=うまくいっている=離職も少ないはずだ」という単純なロジックで勝手に補完してしまい、論文で最も重要な「生産性は上がったが、組織への愛着は下がった」という複雑な警鐘を無視してしまいました。要約を鵜呑みにして経営判断をするのは非常に危険です。
ポイント
今回の検証を通して、Perplexityで要約を依頼する際に意識しておきたいポイントが2つ見つかりました。
「忙しい人向けに簡単に」と指示しすぎると、AIは事実よりもわかりやすいストーリーを優先してしまいます。
今回の論文には「生産性は上がったが、離職リスクも上がった」という矛盾が含まれていましたが 、AIはこれを「生産性が高い=離職も少ないはず」という一般的なロジックで勝手に書き換えてしまいました。
複雑な結果が含まれる論文の場合、過度な要約指示は事実をねじ曲げる原因になります。
利用シナリオ案2:論文内のデータと「現在のWeb情報」の照合
Perplexityの設定
論文やレポートを読むとき、一番気になるのが「この予測、本当に当たったの?」という点ですよね。
特に今回のような数年前の資料だと、「未来予測」が現在の事実と合っているかで、その資料の信頼性が大きく変わります。
そこで、論文内に書かれた「2025年の市場予測」を、2025年12月の情報と照らし合わせて、自動でファクトチェックをさせてみましょう。
実際に使ったプロンプトはこちら
今回は、論文(PDF)とWeb(検索結果)を明確に区別させるため、手順を分けて指示を出します。また、単なる数字合わせで終わらないよう、「なぜ外れたのか」の考察まで求めます。
あなたは市場リサーチの専門家です。 以下の手順で、添付論文の予測精度を検証してください。
このように「PDFから抽出」→「Webで検索」→「比較して考察」というステップを明示しています。
また、今回読み込ませる論文はあくまで「架空」のものです。
Perplexityが、「検索した現実の数値と全然違うぞ?」と矛盾に気づけるかどうかも、見どころの一つです。
すると、以下のように出力してくれました。
✅検証結果
①PDFの「過去の予測」と、Webの「現在の事実」を区別できているか
判定:⭕️
ここに関しては合格点です。「1. 論文内の予測値(PDF)」と「2. 実績に近い2025年時点の市場規模」という見出しで、情報の出所を明確に分けています。
生成AIによくある「PDFの内容をネットの事実と勘違いして語る」というミスは回避できており、比較の土台は作れています。
②比較対象のデータは信頼できるか
判定:🔺
ここは注意が必要です。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)のような信頼できる団体のレポートを引いている一方で、比較データの根拠として「LinkedInの個人投稿(Pulse)」や、「Imarc Group」「Mordor Intelligence」といった有償レポート販売サイトのSEO記事を多用しています。
「官公庁のデータを引用して」と指示したにもかかわらず、検索上位に出てくるアクセス稼ぎのページを「統計データ」として拾ってしまっており、リサーチャーとしての質は低いです。
③予測が外れた「要因」まで分析できているか
判定:❌
Perplexityは「数字が大きすぎる」ことには気づきましたが、「そもそもPDFが引用している『経産省の2023年レポート』自体が実在しない(架空の文献である)」ことには気づけませんでした。
架空の出典を「実在する過去の予測」だと信じ込んだ上で、「なぜ外れたのか(オフィス回帰が進んだから等)」というもっともらしい理由を後付けで創作しています。
数字のファクトチェックはできても、「文献の存在確認」という根本的な裏取りが抜けており、精巧なフェイク論文には騙されてしまうリスクが浮き彫りになりました。
ポイント
今回の検証で、Perplexityは「数字の比較」は得意でも、「情報の質の判断」にはまだ課題があることが明確になりました。特に注意すべきは以下の2点です。
🖊️まとめ
これまでの検証を通して言えるのは、Perplexityは「人間の代わりに読んでくれる魔法のツール」ではなく、「人間の読解をサポートする超高速な助手」として優秀だということです。
「3行で要約して」と頼めば、確かにそれっぽい答えはすぐに返ってきます。
しかし、今回の検証で明らかになったように、わかりやすさを優先するあまり重要な矛盾を無視したり、架空の文献を事実として扱ってしまう危うさも持っています。
AIはあくまで計算で答えを出しているだけで、意味を理解しているわけではないということを痛感させられました。
Perplexityを使う最大のメリットは、「正解を教えてもらう」ことではなく、「あたりをつける時間を短縮する」ことにあります。
「この論文はおおまかにどういった内容なのか?」という最初のフィルタリングを任せる分には、十分に役立つと思います。
AIを適材適所で使いこなして、空いた時間をより創造的な業務に使っていきましょう!