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画像生成AIの世界において、テキストの正確な描写は長年の課題でした。
特に漢字やひらがなといった複雑な形状を持つ日本語は、多くのモデルが「文字化け」を起こし、実用性に欠ける場面が多々ありました。
こうした中で、Alibaba(アリババ)のAIチームが開発した「Qwen-Image」は、200億という膨大なパラメータ数と独自の設計により、従来の壁を打ち破る可能性を秘めています。
本記事では、このオープンソースモデルが持つ真の実力を、日本語描写と写真のようなリアルな質感、そして一貫性を保った部分編集という3つの視点から詳しく探ります。
単なる画像生成にとどまらない、デザインやビジネスの現場で求められる「制御のしやすさ」と「表現の正確性」に焦点を当てて検証しました。
Qwen-Imageは、Alibaba CloudのAI研究チームによって開発された、オープンソースの強力な画像生成モデルです。
200億ものパラメータを持つこのモデルは、視覚情報とテキスト情報を極めて高い解像度で相互に処理できる点が最大の特徴です。
以下にその核となる技術や特徴を紹介します。
200億パラメータという規模は、オープンソースの画像生成モデルの中でもトップクラスの容量です。
この膨大なデータ量により、AIは単にプロンプトに従って画像を構成するだけでなく、物体の質感や光の反射、影の落ち方といった微細なディテールまでを「理解」して描写します。
例えば、人間の肌の毛穴や産毛、複雑な金属の表面反射など、これまでのモデルでは平坦になりがちだった部分も、Qwen-Imageであれば実写と見紛うほどの密度で表現が可能です。
Qwen-Imageは、MMDiT(Multimodal Diffusion Transformer)という先進的な構造を採用しています。
これはテキストと画像の情報を別々の経路で処理しつつ、同時並行で協調させる技術です。
これにより、プロンプトに含まれる詳細な条件を画像内の適切な場所に配置する能力が向上しました。特に「どの場所にどの文字を置くか」といったレイアウトの指示にも正確に応答できるため、デザイン案の作成やポストカードのレイアウトなど、配置が重要となるタスクでその真価を発揮します。
Qwen-Image-Editは、画像全体の雰囲気を壊さずに特定の要素だけを入れ替える能力に優れています。
従来の編集機能では、一部を書き換えようとすると周囲のピクセルも再計算され、構図が微妙に変わってしまうことがありました。
しかし、Qwen-Imageは「保持すべき情報」を的確に識別するため、背景の夜景や地面の反射パターンを維持したまま、被写体だけをターゲットにして編集できます。
これにより、試行錯誤を繰り返すプロフェッショナルなクリエイティブ現場でも、ストレスなく修正作業が行えます。
編集機能では、最大3枚までの画像を参照して一貫性を保つことが可能です。
例えば、ある画像の背景だけ利用し、そこに別画像の人物などを合成するといった使い方ができます。
また、人物の顔立ちや体型を固定したまま、アイテムだけを差し替えることができるため、ファッション業界での着せ替えシミュレーションや、商品画像のバリエーション展開に非常に有効です。
参照画像の情報を正確に抽出し、ターゲット画像へ自然に馴染ませる合成精度は驚異的です。
Qwen-Imageは、ユーザーのスキルやPC環境に合わせて、主に3つの方法で利用することができます。
Qwen-Imageを最も手軽に体験できるのが、公式に提供されている「Qwen Chat」です。
特別なインストール作業は不要で、ブラウザからプロンプトを入力するだけで画像生成やチャット形式での対話が行えます。
画像生成AIに触れるのが初めての方や、モデルの性能をまず試してみたいユーザーに最適です。
無料で公開されている範囲でも、テキスト描画の正確性やリアルな質感を十分に体感できます。
また、画像をアップロードしてその内容について質問したり、指示を出したりすることも可能です。
開発者やより深いカスタマイズを求めるユーザー向けには、AIプラットフォーム「Hugging Face」上でモデルのウェイトが公開されています。
ここからモデルをダウンロードすることで、自社のサーバーやプログラムに組み込むことができます。
Apache 2.0などの自由度の高いライセンスで提供されていることが多いため、商用利用や独自の研究、特定のデータセットを用いた追加学習(ファインチューニング)にも対応可能です。
世界中のコミュニティが開発した派生モデルや、軽量化されたモデルを探すのにも役立ちます。
自分のPC上でプライバシーを保ちつつ、詳細なパラメータ調整を行いたい場合は「ComfyUI」などのローカル実行環境がおすすめです。
Qwen-Imageは200億パラメータを持つため、快適な動作にはVRAM 16GB以上の高性能なGPUが必要ですが、量子化と呼ばれる軽量化技術を適用したモデルを使えば、一般的なゲーミングPC(VRAM 8〜12GB)でも動作可能です。
ComfyUIのノードベースの画面で、ノイズの調整やステップ数の設定を追い込むことで、モデルの持つ潜在能力を最大限に引き出した高品質な出力を得られます。
Qwenで生成した画像を、チームメンバーやクライアントに共有する作業を手間に感じることはありませんか。
そうした付随する作業を自動化できるのが、Yoomです。
例えば、Google Driveに保存した画像をSlackで共有したり、OneDriveに保存した画像をOutlookで共有したりしたい場合に、Yoomは強力な味方となります。
ここでは、Qwen Chatを利用し、日本語テキストの正確性と写真のようなリアルな表現を検証します。
Qwen-Imageを利用し、以下のプロンプトで画像を生成してみました。
【検証プロンプト】
雨上がりの夜の東京の街角。濡れたアスファルトにネオンが反射している。画面中央におしゃれな木製の看板があり、そこには「和食カフェ あかり」という文字が美しい漢字とひらがなで刻まれている。背景にはぼけた街の明かりが映り、全体が一眼レフカメラで撮影したような高品質でリアルな質感の画像
上記のプロンプトで、以下の画像が生成されました。
実際に画像を生成して、以下のことがわかりました。
日本語テキストの生成において、漢字やひらがなは正確に再現されており、単語レベルのロゴ制作などであれば十分に実用可能なレベルに達しています。
一方で、カタカナの描写精度やスペースが記号に変換されてしまう点、長文の生成にはまだ課題があり、完璧ではありません。
しかし、かつての画像生成AIのような解読不能な文字化けは解消されており、無料ツールとしては驚くべき性能です。
また画質の面では、雨に濡れたアスファルトの質感や、街灯が水たまりに反射する様子など、細部まで写真そのものと言えるクオリティでした。
木目のディテールや光の表現も極めて自然で、テキスト描写の進化と相まって、高い実用性を感じさせる結果となりました。
次に、生成した画像の一部を変更する編集機能「Qwen-Image-Edit」の実力を検証します。
検証1で生成した画像の看板の材質だけを変更してみます。
【検証プロンプト】
添付した画像の木の看板をコルクボード風に変更してください。背景の街並みや雨上がりの質感、文字、全体の構図は一切変えずに、看板の材質のみを自然に変更してください
上記のプロンプトで生成された画像は、以下になります。
【検証1の生成画像】
画像を編集して、以下のことがわかりました。
特筆すべきは、画像の編集精度です。
今回の検証では看板の材質変更のみを指示しましたが、背景の街並みや複雑な雨粒の描写といった「変更すべきでない箇所」が完全に維持されました。
通常、DALL-E 3などの主要モデルであっても、部分的な修正を行う際に周囲の構図や細部が再計算され、微妙に変化してしまうことがあります。
しかし、Qwen-Imageは元画像の情報を完璧に保持したまま、ターゲットとした看板部分だけを自然に編集しました。
無料で利用できるモデルでありながら、雨粒一つ変えずに編集できるこの制御能力は驚異的であり、デザインの微調整が必要なクリエイティブな現場において、極めて優秀なモデルであると断言できます。
Qwen-Imageの登場は、画像生成AIが「ただ絵を描く」段階から「正確な意図を視覚化する」段階へと進化したことを象徴しています。
まだ日本語テキストの描写には課題が残りますが、実写のようなリアルな質感と、一貫性を保ったまま細部を調整できる編集機能を兼ね備えています。
単なる趣味の範疇を超え、プロトタイピングやコンテンツ制作の現場で即戦力となるはずです。
オープンソースとして公開されているため、今後も世界中の開発者によってさらなる高速化や機能拡張が進んでいくことが予想されます。
自身の創造力を具現化するための強力なパートナーとして、このAIを使いこなしていくことが、これからのデジタルクリエイティブにおける1つのスタンダードになるかもしれません。
Yoomを活用すれば、Qwenで画像を生成した後の工程を自動化できます。
画像生成に付随する作業を手作業で行っている方は、ノーコードで業務フローを自動化できるYoomをぜひ検討してみてください。
【出典】
Qwen-Image: Crafting with Native Text Rendering/Qwen Chat/Qwen/Qwen-Image · Hugging Face/GitHub - QwenLM/Qwen-Image: Qwen-Image is a powerful image generation foundation model capable of complex text rendering and precise image editing./ComfyUI