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生成AIは、単に膨大な知識を蓄積し回答するだけでなく、人間のように複雑な問題を「思考」して解決策を導き出せるようになりました。
Alibaba CloudのQwenチームによって開発された「Qwen3-Max-Thinking」は、従来の生成AIが得意としていた文章生成や翻訳といったタスクに加え、高度な数学的推論や論理的な問題解決も得意です。
特に、回答を出力する前に内部で思考プロセスを展開する「Thinking Mode」と、必要に応じて自律的に外部ツールを活用する「Adaptive Tool-Use」という2つの革新的な機能が注目されています。
これにより、ユーザーが細かく指示を出さずとも、AI自身が最適な解決手順を組み立て、実行することが可能になりました。
本記事では、このモデルの仕組みや特徴を深掘りし、実際にどのような挙動を示すのかを検証を通じてご紹介します。
Qwen3-Max-Thinkingは、大規模言語モデル(LLM)の中でも特に「推論(Reasoning)」に重点を置いて設計されたモデルです。
従来のモデルが、学習したデータに基づいて確率的にもっともらしい言葉を繋いでいたのに対し、このモデルは論理的なステップを積み重ねることで正解に到達しようとします。
ここでは、その性能を支える「Thinking Mode」、「Adaptive Tool-Use」、そして「ベンチマークスコア」という3つの側面から、本モデルについて詳しく解説します。
「Thinking Mode(思考モード)」は、Qwen3-Max-Thinkingの最大の特徴であり、AIが回答を生成する前に「考える時間」を設ける機能です。
人間が難しい問題に直面した際、すぐに答えを出すのではなく、頭の中で情報を整理し、計算し、論理を確認してから発言するのと同様のプロセスをAIが行います。
「Adaptive Tool-Use(適応的ツール利用)」は、AIが与えられたタスクを解決するために、必要な道具(ツール)を自律的に判断して使用する機能です。
これまでのAI活用では、ユーザーが「検索して教えて」「計算機能を使って」と明示的に指示する必要がありましたが、Qwen3-Max-Thinkingはその必要をなくしました。
AIモデルの性能を測る客観的な指標であるベンチマークテストにおいても、Qwen3-Max-Thinkingは、世界トップクラスのモデルと肩を並べる実力を示しています。
特に、単なる知識量ではなく、推論能力が問われるテストでの強さが際立っています。
Qwen3-Max-Thinkingのような高度な推論能力を持つAIモデルの登場は、ビジネスの現場における自動化の可能性を大きく広げます。
自動化プラットフォーム「Yoom」を活用すれば、プログラミングの知識がなくても、QwenのようなAIの力を日々の業務フローに組み込むことが可能です。
Yoomは、様々なSaaSアプリやAIモデルをノーコードで連携させることができるため、会議の議事録がデータベースに追加されたら、AIが内容を分析・要約し、重要な決定事項をチャットツールでチームに共有するといったフローも、テンプレートを使って簡単に構築できます。
まずは、以下のテンプレートを使って、AIと業務アプリの連携を体験してみてください。
■概要
Gmailの内容をGeminiで要約しGoogle スプレッドシートに追加するフローです。
Geminiの要約により、メール管理を効率化することができます。
■このテンプレートをおすすめする方
■このテンプレートを使うメリット
メールの情報を都度読んで把握しなければならないのは、時間がかかり他の業務の進行に影響を与えかねません。
このフローは、Gmailで受信したメールを自動でGeminiが要約し、その要約内容をGoogle スプレッドシートに整理します。これにより、重要な情報を一目で確認でき、データ管理がスムーズになります。
また、自動化によって手動入力時のヒューマンエラーを防ぎ、正確なデータ管理が可能になります。業務のミスを削減することで、業務進行を円滑にします。
■概要
データベースに追加された議事録を、ChatGPTを使用してその内容を要約し、指定のSlackチャンネルに通知します。
■設定方法
1. YoomとChatGPT、Slackを連携してください。(マイアプリ連携)
2. データベースのトリガーを「レコードを選択して起動」とし、対象のデータベースやテーブルを設定してください。
3. ChatGPTのオペレーションで、連携アカウントや要約の設定を行ってください。
4. Slackの「チャンネルにメッセージを送る」オペレーションで、連携アカウントや通知先のチャンネル、メッセージ内容の設定を行ってください。
■注意事項
・ChatGPT、Slackそれぞれでアカウントとの連携設定が必要です。
・要約の方法やSlack通知の内容を任意の値に置き換えてご利用ください。
特別なデータやプログラミングの知識がなくても試せる内容で、その「思考」と「ツール利用」の挙動を確認しました。
まずは、Qwen3-Max-Thinkingの推論能力を測るために、条件が少し複雑な論理パズルを出題しました。
直感だけで答えると間違えやすい問題に対し、Thinking Modeがどのように機能し、論理を整理していくかを確認します。
【検証プロンプト】
ある村には「正直者」と「嘘つき」の2種類の住人がいます。正直者は常に本当のことを言い、嘘つきは常に嘘をつきます。
旅人が村人AとBに出会いました。
旅人がAに「あなたは正直者ですか?」と聞くと、Aは「はい」と答えました。
次に旅人がBに「Aは正直者だと言っていますが、本当ですか?」と聞くと、Bは「いいえ、Aは嘘つきです」と答えました。
さらにBは「私は正直者です」とも言いました。
さて、AとBはそれぞれ「正直者」ですか?
それとも「嘘つき」ですか?思考プロセスを順を追って説明し、論理的に答えを導き出してください。
この検証では、以下の回答が生成されました。
※回答の一部を抜粋しています。
以下のように、思考過程を確認できます。
生成された内容から、Qwen3-Max-Thinkingが論理的に正解を導き出そうとする意図が見て取れます。
具体的には、「Aの発言を真とした場合」「Bの発言を真とした場合」というそれぞれの仮定を検証し、論理的に成立する解が2パターン存在することまでを正確に導き出しています。(1枚目の赤枠)
ここで興味深いのは、論理だけでは定まらない結論に対し、強引に答えを1つに絞ろうとした点です。
モデルは心理的な理屈を独自に適用し、結果として「Aは正直者、Bは嘘つき」という1つの回答のみを正解として出力してしまいました。
Qwen3-Max-Thinkingは、確かに確固たる道筋を立てて思考できますが、正解が複数あるケースなどではハルシネーションが生じるリスクがあります。
それでも、思考回路を確認できれば、間違いにも気づきやすくなります。
最終的な事実確認の際は、思考過程を確認することもおすすめです。
次に、Adaptive Tool-Useの機能を検証します。
これは、モデル自身が「検索」と「計算」の必要性を判断し、実行できるかを試すものです。
データを持っていなくても、Web上の情報を基にシミュレーションを行わせます。
【検証プロンプト】
現在の「アメリカの連邦最低賃金(時給)」と「日本の東京都の最低賃金(時給)」を検索してください。
その後、それぞれで1日8時間、月に22日働いた場合の月収を計算し、現在の為替レート(円ドル相場)を使って、両方の月収を「日本円」で比較してください。
差額がいくらになるかも計算してください。計算過程も含めて教えてください。
上記のプロンプトを送信すると、検索や計算を行った上で結果を生成していることがわかりました。
【Webを検索】
【Pythonによる計算】
【出力結果】
検証プロンプトを送信すると、Qwen3-Max-Thinkingは自律的に必要な機能を利用して回答を生成しました。
まず、プロンプト送信時点の「アメリカの連邦最低賃金」「東京都の最低賃金」「ドル円の為替レート」をWebで検索しています。
検索から、「米連邦最低賃金:$7.25」「東京都最低賃金:1,226円」「為替レート:1ドル=153.30円」といった正確な数値を抽出しました。
続いて、抽出したデータを使って、計算を行うフェーズに入ります。
ここで興味深いのは、単にテキストで計算するのではなく、内部でPythonコードを実行して正確に計算していた点です。
「検索して」「計算して」と個別に指示していませんが、モデルが目的達成のために必要なアクションを自動で選択・実行しました。
このようにAIが回答の生成に必要な機能を自ら選択して行えることは、プロンプトを工夫する手間が省けるため、誰でもAIの性能を引き出しやすくなり、かなり有用と言えます。
Qwen3-Max-Thinkingは、Webブラウザだけでなく、APIを通じても利用可能です。
企業が自社システムに組み込む際には、その料金体系や仕様を理解しておくことが重要です。
ここでは、開発者や導入担当者が知っておくべきポイントを解説します。
このモデルの大きな魅力の1つは、入力(Input)トークンの価格設定です。
競合する他のハイエンドモデルと比較しても、入力単価が非常に低く抑えられています。(2026年2月17日時点で$1.2/1Mトークン~)
これは、大量のドキュメントを読み込ませて分析させるタスクや、長文のコンテキストを保持しながら対話を続けるチャットボットの開発において、コストメリットが非常に大きいことを意味します。
例えば、社内マニュアルを丸ごと読み込ませて回答させるRAG(検索拡張生成)システムなどを構築する場合、ランニングコストを大幅に削減できる可能性があります。
注意が必要なのは、「Thinking Mode」で生成される思考プロセス部分のトークン(思考トークン)も、課金対象となる点です。(2026年2月17日時点で$6/1Mトークン~)
これらは通常、「出力(Output)トークン」としてカウントされます。
一般的にLLMのAPI料金は、入力よりも出力の方が単価が高く設定されていることが多いため、AIに深く考えさせればさせるほど、コストが増加する仕組みです。
思考プロセスが長くなれば、回答生成までの時間もコストもかかります。
そのため、APIを利用する際は、思考させる必要性の有無や、思考トークンの上限設定(Thinking Budget)などを適切に管理することが、コスト最適化の鍵となります。
Alibaba Cloudの提供形態によっては、利用するコンテキスト長(一度に入力・処理するデータ量)に応じて料金単価が変動するティア制が採用されている場合があります。
短いやり取りであれば安価ですが、非常に長いデータを扱う場合は単価が上がる可能性があるため、想定するユースケースに合わせて見積もりを行うことがおすすめです。
Qwen3-Max-Thinkingは、生成AIの新たなフェーズを象徴するモデルです。
「Thinking Mode」による深い推論能力と、「Adaptive Tool-Use」による柔軟な行動力は、AIには難しいとされてきた複雑な課題解決を可能にします。
特に、論理的な正確さが求められる分析業務や、最新情報を横断的に扱うリサーチ業務において、強力なパートナーとなります。
Webブラウザでの手軽な利用から、APIを通じた本格的なシステム連携まで、幅広いシーンでの活用が期待されます。
コストパフォーマンスにも優れており、今後ビジネスシーンでの導入がさらに加速していくことは間違いありません。
ただし、検証でもわかったように依然としてハルシネーションのリスクはあるため、ファクトチェックは必ず行いましょう。
Qwen3-Max-ThinkingのようなAIモデルは、単体で使うだけでなく、普段使っている業務ツールと連携させることで、その真価を発揮します。
ノーコード連携プラットフォーム「Yoom」を使えば、APIの複雑な知識がなくても、こうしたAIを自社の業務システムにシームレスに組み込むことができます。
例えば、Googleスプレッドシートに追加された顧客からの問い合わせ内容をAIが自動で読み取り、その緊急度や感情を分析して、対応が必要なものだけをGoogle ChatやSlackに通知するといったフローも作成可能です。また、クラウドストレージに保存されたファイルをAIが要約してデータベースに整理するなど、アイデア次第で無限の自動化が実現できます。
AIとツールを、Yoomを通じて連携することで、より創造的な業務に時間を割くことができます。
以下のテンプレートを参考に、まずは身近な業務の自動化から始めてみてはいかがでしょうか。
■概要
Google スプレッドシートに蓄積される顧客からのフィードバックやアンケート結果などを、都度確認してチームに共有するのは手間がかかる作業ではないでしょうか。このワークフローは、Google スプレッドシートに行が追加されると、その内容をGeminiが自動で解析し、要約した結果をGoogle Chatへ通知します。GeminiとGoogle Chatを連携させることで、情報共有のプロセスを自動化し、チームの対応速度を向上させます。
■このテンプレートをおすすめする方
■このテンプレートを使うメリット
■フローボットの流れ
※「トリガー」:フロー起動のきっかけとなるアクション、「オペレーション」:トリガー起動後、フロー内で処理を行うアクション
■このワークフローのカスタムポイント
■注意事項
■概要
Google Driveに保存したファイルの内容を確認し、手作業でNotionに転記する作業に手間を感じていませんか。
このワークフローは、Google Driveの特定フォルダにファイルがアップロードされると、OCR機能が内容を自動で読み取り、AIが要約した上でNotionのデータベースへ追加します。NotionとGoogle Drive間での煩雑な手作業を自動化し、情報集約の効率を高めることが可能です。
■このテンプレートをおすすめする方
■このテンプレートを使うメリット
■フローボットの流れ
※「トリガー」:フロー起動のきっかけとなるアクション、「オペレーション」:トリガー起動後、フロー内で処理を行うアクション
■このワークフローのカスタムポイント
■注意事項
【出典】
Pushing Qwen3-Max-Thinking Beyond its Limits/Alibaba Cloud Model Studio:Model invocation pricing/Qwen/Qwen3 Max Thinking - Intelligence, Performance & Price Analysis