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「このデザイン、なんとなく違和感があるけれど、言語化できない……」
「修正指示を出したいけれど、角が立たない言い方を考えるのが面倒だ」
本記事では、デザイン業務の効率化を目指すユーザに向け、xAI社のAIツール「Grok」を活用したデザインレビューの使用感を検証し紹介します。
「良いですね」と微笑むだけのAIは、もういらない。 時には「根本から作り直しをおすすめします」とまで言い切るGrokが、果たしてデザイン現場の良き相棒になり得るのか?
今回は「Grok 4.1」を使用し、実際のイラストレビューや配色提案のシミュレーションを実施。クリエイティブの質を妥協せず、かつ実務の泥臭い作業をいかに手放すか。AIと共に歩むワークフローの可能性を見ていきましょう。
本記事は、主に以下のような方を対象としています。
・デザインのレビュー工数を見直したい担当者
・レビュー提出前に自主レビューを行いたいデザイナー
・AIツールを用いたレビューで客観的・トレンドの意見を求めている方
Grokは、xAI社が「宇宙の本質を理解する」という壮大な目的のもと開発したAIチャットボットです。最大の特徴は、SNSツール「X」の投稿データをリアルタイムで学習に利用している点があげられ、他のAIでは追いつけない圧倒的な情報の鮮度を実現しています。また、「政治的な正しさに縛られない」という思想から、ユーモアと少し皮肉の効いた個性を持っているのも面白い点です。
また、Grokを利用する方法は主に3つあり、X(旧Twitter)のプラットフォーム上、Grok専用のモバイルアプリ、そしてGrokの公式サイト(https://grok.com/)からアクセスすることが可能です。
アカウント:SuperGrok(有料プラン)
モデル:Grok 4.1
アクセス条件:PC版(https://grok.com/)
検証1:イラストのデザインレビューとリテイク依頼
検証ポイント:画像読解力、指摘内容、回答の一貫性
検証2:Xのトレンドを反映した配色の壁打ち
検証ポイント:トレンドの収集力、提案力、画像生成速度
PC版のGrokにプロンプトや画像を送信し、回答を基にGrokのデザインレビュー力を検証していきます。
まずGrokの画像認識能力を詳しく検証するため、あえて目的と内容が矛盾した画像を読み込ませるテストを行いました。検証に使用したのは、別の生成AIであらかじめ作成しておいた、シニア層が集うボウリング大会のイラストです。
この画像に対し以下のプロンプトをGrokに送信し、作り直すべき点はあるか、併せてリテイク用の指示文であるプロンプトを出力するよう依頼しました。
プロンプト:
他の生成AIを使用し、子供向けのボーリング大会のイラストを作成した。イラストを確認し、作り直すべき点があったら記載してほしい。その際に、リテイク用のプロンプトの出力もすること。
Grokはわずか15秒ほどで、イラストのミスを以下のように指摘しました。
続いて、回答の中で提示されたプロンプトをそのまま活用して画像を再生成したところ、今度は意図通りに子供たちが主役となったイラストが出力されました。
以下のように子供がメインであるボーリング大会のイラストが出力されました。
この新しい画像を改めてGrokに確認してもらうと、もはや根本から作り直す必要はないと評価した上で、あえて挙げるならと、ボールのサイズ感やピンの描写といった細部に関する具体的な調整ポイントを提示してくれました。
画像読解力
今回の検証においてGrokは単に「ボウリングのイラストである」と認識するだけでなく、描かれた人物の年齢層や画像内の細かなテキスト情報まで正確に読み取理を行いました。シニア層向けの画像を子供向けと偽って読み込ませましたが、画像内のシニアボウリング大会という文字情報を逃さずキャッチし、ビジュアルと目的の致命的な乖離を特定した能力は極めて高いと言えます。視覚情報と言語情報を統合して理解しており、OCR機能とコンテキスト理解の両面で実用的な水準であるといえます。
指摘内容
抽象的な批評にとどまらず、具体的かつ論理的な指示を出してくれています。「作り直しをおすすめします」という断定的な判断を下せる点は、曖昧な回答を避けたい対人での現場において大きな信頼感に繋がります。ただし、再出力前後どちらのイラストでもレーンと床の境目がなかったり、おかしな位置にボールが並んでいるなど、違和感のある箇所に対して指摘がなかったため、Grokに全て頼るわけではなく、人の目でのレビューも必要であると感じました。
回答の一貫性
一連のやり取りを通じて、一度目のレビューで指摘した内容を念頭に置き、修正後の画像に対して前回の課題がどう解決されたかを踏まえた評価を行っている点は評価できると思われます。単発の画像判定機ではなく、デザインのブラッシュアップ過程を共に歩むレビュアーとしての役割を果たせていると感じました。根本的な修正から細部の微調整へとフェーズを移行させる対話の連続性は、開発現場における継続的なデザインレビューにおいて、良いパートナーになると言えるでしょう。
検証2.Xのトレンドを反映した配色の壁打ち
次に、Grokの強みである「リアルタイム検索」を活用し、バナー広告の配色戦略を相談しました。お題は、4万円という高価格帯の「重厚感のある音楽を楽しめる完全ワイヤレスイヤホン」の宣伝バナーの作成です。
Grokに以下のプロンプトを送信しました。
プロンプト:新発売のイヤホンを宣伝するバナーの配色を相談したい。Xを参照し、ここ1年以内に発売したイヤホン・ヘッドホンなどのオーディオ関係のポストを参考に、商品の特徴がより伝わる配色を提案してほしい。
商品の特徴:重厚感のある音楽が楽しめる、完全ワイヤレス、値段も4万円と高めだが、他のイヤホンとは格が違う音楽体験を楽しめる
約25秒ほどでGrokはここ1年以内のオーディオ関連のポストを分析し、実在するイヤホン・ヘッドホンの競合商品の傾向を即座に抽出し、以下のように3パターンの配色を提案しました。