生成AIの進化により、クリエイティブなシーンでの利用も一般的になりました。
そんな中で注目されているのが、Alibaba Cloudが提供する「Qwen3.5」シリーズです。
前モデルから強化された日本語能力に加え、「Native Multimodal Agents」機能により、単なる文章作成だけでなく、複雑なタスクの計画と実行が可能になりました。
特にクリエイターにとって嬉しいのが、表現力の豊かさと検閲の緩やかさです。
本記事では、このQwen3.5を使って実際にショート動画の台本や短編小説を作成し、その実力を徹底検証します。
創作活動の新たなパートナーとして、Qwen3.5がどれほど使えるのか、その真価を探っていきましょう。
✍️Qwen3.5とは?進化した日本語能力と新機能
Qwen3.5は、クリエイティブなライティング業務に最適なモデルの1つです。
ここでは、従来のモデルから進化したQwen3.5の特徴をわかりやすくご紹介します。
日本語表現の豊かさとボキャブラリの拡張
Qwen3.5(Qwen-Max / Qwen3.5-Plus)は、2026年2月に公開されたQwenシリーズのモデルです。このアップデートで最も注目すべき点は、日本語を含む多言語処理能力の向上です。
具体的には、トークンのボキャブラリサイズが従来の150kから250k(正確には248,320)へと大幅に拡張されました。
これは、AIが一度に理解し、扱える「言葉の単位」が増えたことを意味します。
特に対応が強化された言語においては10〜60%もの効率向上を実現しており、日本語の処理においてもこれまで以上にスムーズで繊細な表現が可能になっています。
結果として、小説や脚本の執筆において重要な「文体」や「トーン」の書き分けも、より繊細に行えるようになりました。
これまでの「翻訳調で硬い日本語」から脱却し、感情豊かな表現が可能になった点は、クリエイターにとって最大のメリットと言えます。
最大の特徴「Native Multimodal Agents」
Qwen3.5のもう1つの注目すべき機能が「Native Multimodal Agents(ネイティブ・マルチモーダル・エージェント)」です。
これは、AIが単にユーザーの質問に答えるだけでなく、自ら計画を立て、ツールを使いこなし、タスクを実行する能力を指します。
従来のエージェント機能は、外部のフレームワークや複雑なプロンプトエンジニアリングが必要な場合が多かったですが、Qwen3.5ではこの機能がモデル自体にネイティブ(標準)で組み込まれています。
例えば、「最新のトレンドをリサーチして、それを元に記事構成を考え、最後にタイトル案を3つ出して」というような複合的な指示を出した場合、Qwen3.5は以下のように思考し実行します。
- 計画:まずWeb検索ツールを使ってトレンド情報を探す必要があると判断する。
- 実行:実際に検索を行い、情報を取得する。
- 統合:得られた情報を整理し、記事構成を作成する。
- 出力:最後に魅力的なタイトル案を作成して回答する。
このように、思考のプロセスが自動化されることで、ユーザーはより抽象的な指示を出すだけで、期待通りの成果物を得ることができるようになりました。
クリエイティブライティングへの恩恵
Qwen3.5の「高い日本語能力」と「エージェント機能」の組み合わせは、クリエイティブライティングの現場に革命をもたらします。
- 長文生成能力の向上
Qwen3.5は、モデルにより最大100万トークン(Plusモデルなど)のコンテキストウィンドウに対応しています。
これは、文庫本数冊分に相当する膨大な情報量を一度に記憶できるということです。
長編小説を執筆する際、物語の序盤で提示した伏線を終盤で回収したり、数百ページにわたってキャラクターの性格や口調を一貫させたりすることが容易になります。 - 情報を組み合わせて処理
テキストだけでなく画像の認識や生成プロセスとの連携もスムーズです。
例えば、手書きのプロットやキャラクターのラフ画を読み込ませて、「このキャラクターが言いそうなセリフを考えて」と指示したり、逆に執筆した小説のシーンに合わせて挿絵のイメージプロンプトを生成させたりすることも可能です。 - 検閲
Qwenシリーズは比較的柔軟に検閲ができると評価されています。
過度な規制により、物語上の必要な対立や戦闘描写、少しダークな展開が拒否されるといったストレスが少なく、エンターテインメント性の高い作品作りにおいて自由度が高いのも魅力の1つです。
⭐Yoomは情報収集やアイデア出しを自動化できます
👉Yoomとは?ノーコードで業務自動化につながる!
創作活動において、インプットはアウトプットと同じくらい重要です。
常に新しい情報にアンテナを張り、思いついたアイデアを逃さず記録する。
そんな「創作の準備」を効率化してくれるのが、ノーコード自動化ツールの「Yoom」です。
Yoomを使えば、面倒なルーチンワークを自動化し、クリエイティブな思考に使う時間を増やすことができます。
例えば、毎日の情報収集を自動化することができます。
テンプレートを利用することで、簡単に設定できるので、気になる方は試してみてください。
毎日、OpenAIで特定の内容でweb検索を実施し、Slackに通知する
試してみる
■概要
日々の情報収集で、特定のトピックについてWeb検索を行うものの、手作業では手間がかかり、重要な情報の見落としが起きることはないでしょうか。このワークフローは、指定したスケジュールでOpenAIが自動でWeb検索を実行し、その結果をSlackに通知するため、手作業による情報収集の手間を省きます。OpenAIのAPIを活用した情報収集を自動化することで、業務効率の向上に貢献します。
■このテンプレートをおすすめする方
- OpenAIを活用して、特定のキーワードに関する情報収集を自動化したいと考えている方
- プログラミングの知識がなくても、OpenAIのAPIを利用した業務効率化を実現したい方
- チーム内での情報共有を迅速化し、最新情報に基づいた意思決定を行いたいマネージャーの方
■このテンプレートを使うメリット
- スケジュールに基づき自動で情報収集と通知が完了するため、これまで手作業に費やしていた時間を短縮できます。
- 手動での検索や共有作業で発生しがちな、検索漏れや通知忘れといったヒューマンエラーを防ぐことに繋がります。
■フローボットの流れ
- はじめに、OpenAIとSlackをYoomと連携します。
- 次に、トリガーでスケジュールトリガー機能を選択し、フローを起動したい日時や繰り返し周期を設定します。
- 次に、オペレーションでOpenAIを選択し、「web検索を実施」アクションで検索したい内容をプロンプトとして設定します。
- 最後に、オペレーションでSlackを選択し、「チャンネルにメッセージを送る」アクションで通知先のチャンネルとメッセージ内容を設定します。
※「トリガー」:フロー起動のきっかけとなるアクション、「オペレーション」:トリガー起動後、フロー内で処理を行うアクション
■このワークフローのカスタムポイント
- スケジュールトリガー機能では、フローを実行する日時を「毎日9時」や「毎週月曜日」など、業務に合わせて自由に設定してください。
- OpenAIのアクションでは、Web検索でどのような情報を取得したいか、具体的な指示をプロンプトとして自由にカスタマイズできます。
- Slackへの通知設定では、通知先のチャンネルやダイレクトメッセージを任意で設定でき、本文もOpenAIの検索結果を変数として埋め込むなど柔軟な編集が可能です。
■注意事項
- Gmail、OpenAIのそれぞれとYoomを連携してください。
- トリガーは5分、10分、15分、30分、60分の間隔で起動間隔を選択できます。
- プランによって最短の起動間隔が異なりますので、ご注意ください。
- ChatGPT(OpenAI)のアクションを実行するには、OpenAIのAPI有料プランの契約が必要です。(APIが使用されたときに支払いができる状態)
https://openai.com/ja-JP/api/pricing/ - ChatGPTのAPI利用はOpenAI社が有料で提供しており、API疎通時のトークンにより従量課金される仕組みとなっています。そのため、API使用時にお支払いが行える状況でない場合エラーが発生しますのでご注意ください。
Google スプレッドシートのURLをもとに、OpenAIでweb検索を実施し結果を追加する
試してみる
■概要
企業リストの情報を常に最新に保つためのWeb検索は、手作業で行うと多くの時間と手間を要するのではないでしょうか。特に、OpenAI GPT-3などのAIを活用して企業情報をリッチに補強したいと考えていても、その設定は複雑になりがちです。このワークフローを活用すれば、Google スプレッドシートにあるURLリストをもとにOpenAIが自動でWeb検索を行い、取得した結果をシートに反映させるため、情報収集業務を効率化できます。
■このテンプレートをおすすめする方
- OpenAI GPT-3などを活用し、手作業で行っている企業情報の収集を効率化したい方
- Google スプレッドシートで管理しているリストの情報を補強することに課題を感じているマーケティングや営業担当者の方
- 営業リストや競合調査リストの情報を、定期的に更新・拡充したいと考えている方
■このテンプレートを使うメリット
- URLリストを元に自動で情報収集するため、企業情報を手作業で検索し補強する作業にかかる時間を短縮できます。
- OpenAIで取得した情報が元のGoogle スプレッドシートに直接更新されるため、情報が一元管理され、作業効率が向上します。
■フローボットの流れ
- はじめに、Google スプレッドシートとOpenAIをYoomと連携します。
- 次に、トリガーで「手動起動」を選択し、任意のタイミングでフローを開始できるように設定します。
- 次に、オペレーションでGoogle スプレッドシートの「複数のレコードを取得する」アクションを設定し、情報収集の対象となるURLリストを取得します。
- 次に、オペレーションで「繰り返し機能」を設定し、取得したURLごとに後続の処理を実行するようにします。
- 繰り返し処理の中で、OpenAIの「web検索を実施」アクションを設定し、各URLの情報を検索させます。
- 最後に、Google スプレッドシートの「レコードを更新する」アクションを設定し、OpenAIが取得した情報を元のシートに追記します。
※「トリガー」:フロー起動のきっかけとなるアクション、「オペレーション」:トリガー起動後、フロー内で処理を行うアクション
■このワークフローのカスタムポイント
- Google スプレッドシートのオペレーションでは、レコードを取得したり更新したりする対象のスプレッドシートやシートを任意で設定してください。
- OpenAIにWeb検索を依頼する際の指示内容は、「事業内容を要約して」「最新のニュースを3件教えて」など、取得したい情報に応じて任意で設定できます。
■注意事項
- Google スプレッドシートとOpenAIのそれぞれとYoomを連携してください。
- OpenAIのアクションを実行するには、OpenAIのAPI有料プランの契約が必要です。(APIが使用されたときに支払いができる状態)
- 詳しくはOpenAIの「API料金」ページをご確認ください。
- 「同じ処理を繰り返す」オペレーションは、チームプラン・サクセスプランでのみご利用いただける機能となっております。フリープラン・ミニプランの場合は設定しているフローボットのオペレーションやデータコネクトはエラーとなりますので、ご注意ください。
- チームプランやサクセスプランなどの有料プランは、2週間の無料トライアルを行うことが可能です。無料トライアル中には制限対象のアプリや機能(オペレーション)を使用することができます。
🤔検証1:Qwen3.5で「バズるショート動画台本」を作ってみた
それでは実際に、Qwen3.5を使ってクリエイティブなタスクを行ってみます。
まずは、SNSで需要の高い「ショート動画の台本作成」です。
Qwen Chatでどのように台本が出力されるかを検証します。
検証内容とプロンプト
今回は、ビジネス系のショート動画を作成するため、以下の内容とプロンプトで検証を行いました。
【検証内容】
- テーマ:AIを使って業務効率化する方法
- ターゲット:20代〜30代のビジネスパーソン
- プラットフォーム:TikTok / Instagramリール / YouTubeショート
【検証プロンプト】
あなたはショート動画脚本の専門家です。
以下のテーマで、TikTokやInstagramリールでバズるショート動画(約60秒)の台本を作成してください。
<テーマ>
「明日から定時で帰れる!AIを使った爆速業務効率化術」
<ターゲット>
仕事が忙しくて残業続きの20代若手社員
<要件>
1.冒頭のフック:最初の2秒で視聴者の手を止めさせるインパクトのある言葉を入れること。
2.構成:「問題提起」→「解決策(具体的なツール紹介)」→「メリット」→「行動喚起(CTA)」の流れで作ること。
3.口調:親しみやすく、テンポの良い口語体(タメ口でOK)。「〜だよね」「〜してみて!」などの語尾を使用。
4.視覚的指示:画面にどのようなテロップや素材を表示すべきか、[ ]で囲ってト書きとして入れること。
<紹介するツール>
・ChatGPT(文章作成)
・Yoom(アプリ連携自動化)
※出力はマークダウン形式で、シーンごとに分かりやすく書いてください。
検証結果
上記のプロンプトで、以下の台本が作成されました。
結果から、以下のことがわかりました。
- わずか36秒で1分間のショート動画台本を作成できる圧倒的なスピード
- 指示通りの構成、自然な口調、視覚的なト書きまで網羅した実用性の高さ
- テンプレート化による台本の量産が可能
- 意図しないセリフが混入する可能性もあるため最終的な目視チェックは必須
生成された結果から、Qwen3.5がクリエイティブライティングに適していることが伺えます。
その理由として、例えばわずか36秒という驚異的なスピードで、1分間のショート動画の台本を完成させた点です。
出力された文章は非常に自然な日本語で、指定したターゲット層に合わせた親しみやすい口調や、動画編集に欠かせない視覚的な指示(ト書き)まで完璧に網羅されていました。
今回利用したプロンプトをテンプレートとして活用すれば、テーマやターゲットを変更するだけで台本を容易に量産できるため、動画の制作スピードが飛躍的に向上するはずです。
ただし、使い方を説明する指示を出していないにもかかわらず「保存しないと消えちゃうよ!」といった矛盾したセリフが混入する現象も見られました。
AI特有のハルシネーション(幻覚)が起こる可能性はあるため、そのまま使用するのではなく、必ず人間の目で最終チェックを行うことが重要です。
🤔検証2:Qwen3.5で「ショートショート(短編小説)」を執筆
次に、より高い表現力が求められる小説を執筆してもらいます。
物語の構成力、感情描写、そして読後感の良いオチを作れるかどうかがポイントです。
検証内容とプロンプト
この検証では、ショートショートと言われる短いストーリーを作成してもらいました。
【検証内容】
- テーマ:近未来のAIと人間の友情
- スタイル:心が温まる、少し不思議な世界観
- 文字数:800文字程度
【検証プロンプト】
あなたは新進気鋭の小説家です。
以下の設定で、心が温まるショートショート(短編小説)を書いてください。
<設定>- 舞台は2050年の東京。AIロボットが日常に溶け込んでいる。
- 主人公は、古い型式の家庭用AIロボット「トボ」を捨てられずにいるおじいさん。
- トボは最新のAIとは違い、会話もたどたどしいが、おじいさんのことを深く理解している。
- ある日、トボが動かなくなり、おじいさんはある決断をする。
<要件>- 文体は、優しく、少しノスタルジックな雰囲気で。
- 読んだ後に心がじんわりと温かくなるような結末(オチ)を用意すること。
- 「AIにも心があるのかもしれない」と読者に思わせる描写を入れること。
- 文字数は800文字以内でまとめること。
検証結果
上記のプロンプトで、以下のストーリーが作成されました。