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OpenAIからGPT-5.1がリリースされ、アップデート内容が気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、処理性能の向上に留まらず、「会話の質」を高めたアップデートとされています。
これまでに、「AIが生成した文章は、どこか冷たくて使いにくい」と感じた経験はありませんか?
GPT-5.1は、「温かみのある会話スタイル」や「専門用語のわかりやすさ」を重視しているため、ChatGPTで作成した文章を顧客向けに利用するマーケティング担当者などにとって、コンテンツ生成や顧客対応の質を高める可能性を秘めています。
この記事では、GPT-5と5.1の変更点をはじめ、そうした変更点がどの程度改善されているのかを、具体的な業務シナリオを通して検証した内容をご紹介します!
✍️前提情報 GPT-5.1とは
本記事の想定読者
GPT-5.1へのアップデート内容一覧
今回のアップデートで注目すべきは、処理性能だけでなく会話の質も改善している点です。
こうした改善の背景には、ユーザーから寄せられた「優れたAIは賢いだけでなく、会話も楽しいはずだ」という声があります。
また、OpenAI社は以前より精神的および感情的な面での安全強化に力を入れていました。
取り組みを続けたことで、170人以上のメンタルヘルスの専門家と協力した調査では、ChatGPTが実際のサポートへの案内を行うことを目指した際に、望ましくない反応が65~80%削減されたとされています。
こうした背景があり、性能だけでなく、より人間味のあるAIにアップデートされたのがGPT-5.1です。
まずは、具体的にどのようなアップデートがされたのかを一覧でご紹介します。
【GPT-5.1へのアップデート内容】
GPT-5.1は、公開にあわせて有料プラン(PlusやProなど)向けにロールアウトされました。
無料プランや未ログインのユーザーに向けては、順次展開されていきます。
旧モデルは、GPT-5.1のロールアウトから3カ月は、有料プランのユーザーのみレガシーモデルのタブから利用できます。
旧モデル(GPT-5)との違い
上記のアップデートが行われたGPT-5.1が、前モデルのGPT-5からどのように変わったのかを比較できるように表にまとめました。
特に、会話の質やタスク処理の柔軟性が大きく向上していることがわかります。
🤔GPT-5.1を実際に使ってみた!
それでは、GPT-5.1が旧モデルと比べてどの程度進化しているのか検証するため、実際のビジネスシーンを想定して比較していきましょう。
検証条件
ChatGPTのPlusプランで、GPT-5とGPT-5.1の各モデル(InstantとThinking)の性能を比較します。
検証内容とポイント
検証内容1:新旧のInstantモデルで3つのバリエーションのSNS投稿文を作成して比較する
【検証条件】
※GPT-5.1 Instantでは、作成時間、指示順守の正確性、文章の温かみがアップデートされているため、上記の内容を評価項目としました。
【検証に利用するプロンプト】
検証内容2:新旧のThinkingモデルで簡単なコード修正と複雑なコード修正の比較(各3コード)
【検証条件】
※GPT-5.1 Thinkingでは、処理時間、専門用語のわかりやすさが主なアップデートです。
それらに、多くの方が気になるであろうAIの嘘(ハルシネーション)の発生程度を比較するために、コードの修正数を加えて評価を行います。
【検証に利用するプロンプト】
※コード内の間違いの指摘箇所(#~~)は、削除してプロンプトに追加しました。
※上記のエラーの簡単さと複雑さの判断は、事前にAIにとって見つけやすいエラーと見つけにくいエラーを教えてもらい、自ら作成してもらいました。
検証方法
検証は、以下の手順で行います。
1.ChatGPTアカウントにログイン
2.ChatGPTのモデルを選択
3.プロンプトを入力して検証開始
✅検証結果1:GPT-5と5.1のInstantで3つのバリエーションのSNS投稿文を作成して比較
GPT-5と5.1のInstantの比較検証を行ったところ、以下の結果が出力されました。
【GPT-5 Instant】
【GPT-5.1 Instant】
出力結果を、作成時間・指示の正確性・文章の温かみの程度で比較したものが以下になります。
【GPT-5.1 Autoの温かさの採点】
※④⑤⑥が、GPT-5.1 Instantで作成した文章①②③を示しています。
作成時間
アップデートでGPT-5.1 Instantには、推論が追加されました。
推論時間が増えることで作成時間が長くなると思いましたが、GPT-5と変化はありませんでした。
もしかしたら、今回よりも複雑なプロンプトの場合は、時間差が生じるのかもしれません。それでもGPT-5.1 Instantは、推論が増えて回答の精度が上がるのに作成時間が変わらないのは嬉しいポイントですね。
指示の正確性
GPT-5では、文字数・キーワード・絵文字の3つでミスがありましたが、GPT-5.1では文字数のみ。
今回のアップデートが反映されていることがわかる結果になりました。
指示内容をより正確に反映できるようになったことも、多くのユーザーにとってありがたいですよね。
ただし、文字数の指示は依然として難しいようで、アップデートで多少は指示に近づきましたが、依然として不足しています。
それでも、着実に精度は上がっているので、AIを使って文章を作成する際に、文字数の指示が無視されることで悩んでいるマーケターの方は、次のアップデートに期待しましょう!
文章の温かみの程度
個人的には、GPT-5.1の文章を読んだときに、より人間らしい文章だと感じました。
しかし、「温かさ」という観点では、GPT-5.1の①が最低点になりました。
GPT-5.1 Autoの評価を読むと、以下のように書かれています。
『「怖くない」という表現が少し強調されており、他の投稿よりも少し冷静な印象を与えます。』
温かさという1点から評価すると、「怖くない」という表現がネガティブな印象を与えてしまうようですね。
GPT-5.1 Autoの採点からは、GPT-5.1 Instantはより温かみのある会話ができるようになったとは言い切れませんが、それでも「人間味」は増しているように思います。
✅検証結果2:GPT-5と5.1のThinkingで簡単なコード修正と複雑なコード修正の比較
GPT-5と5.1のThinkingの比較検証を行ったところ、以下の結果が出力されました。
【GPT-5 Thinking 簡単コード】
【GPT-5.1 Thinking 簡単コード】
【GPT-5 Thinking 複雑コード】
【GPT-5.1 Thinking 複雑コード】
出力結果を、修正時間・修正できた数・文章のわかりやすさで比較したものが以下になります。
【簡単なコードの比較結果】
【複雑なコードの比較結果】
【GPT-5.1 Autoのわかりやすさの採点】
※①GPT-5(簡単コード)②GPT-5.1(簡単コード)③GPT-5(複雑コード)④GPT-5.1(複雑コード)
修正時間
修正時間は、GPT-5.1の方が簡単なコードでも複雑なコードでも短かったです。
簡単なタスクをより短時間で行えるようになったのはアップデートの内容通りですね。
一方で、「難しいタスクに多くの時間をかける」という内容の検証は上手くいきませんでした。
プロンプトで利用した複雑なコードのミスがChatGPTにとっては簡単だったため、そこまで推論に時間をかける必要がありませんでした。
ただ、今回利用した「文法的には正しいが実行するとエラーになる」ような複雑なコードも、より短時間で修正できるようになったのは、処理能力が上がっている証拠ですね。
修正できた数
簡単なコードでの比較では大きな差は出ませんでしたが、複雑なコードではGPT-5.1の方が優秀でした。
より短い時間でより正しい回答を出力している点からも、GPT-5.1の処理性能が向上したことがわかります。
ただし、GPT-5.1でも簡単なエラーコードを正しく指摘できていなかったため、依然としてファクトチェックは欠かせませんね。
文章のわかりやすさ
GPT-5.1は、専門用語でも理解しやすい文章を書けるようにアップデートされましたが、採点ではGPT-5の方が高得点でした。
ただし、点数に大きな差はなく、実際に読んでも違いを感じられませんでした。
こうした要因としては、コードの修正を依頼するプロンプトを使用したため、ChatGPTに「ユーザーは基本的なコードの知識がある」と認識されたからかもしれません。
✅追加検証:GPT-5と5.1のThinkingで複雑なコードの出力結果を初心者向けにリライトする
コードの検証ではあまり差が出なかったため、追加検証として複雑なコードの出力結果を初心者向けにリライトしてもらいました。
しかしその結果でも、GPT-5が95点、GPT-5.1は92点と、最初と同じ結果になりました。
もしかしたらプログラミングコードのように、理解しやすい文章を書けるようになったアップデートの影響が反映されにくいジャンルもあるのかもしれません。
【追加検証の結果】
※「1」GPT-5「2」GPT-5.1
🖊️検証結果まとめ
GPT-5.1へのアップデートの内容を検証した結果をまとめると、以下のようになります。
GPT-5.1 Instantは、文章の温かみを上手く測定できませんでしたが、体感として人間味が向上しているため、おおむねアップデートの内容が反映された結果と言えます。
一方のGPT-5.1 Thinkingは、複雑なタスクにかかる時間の比較と文章のわかりやすさの比較が上手くできませんでしたが、基本性能がアップしていることは間違いないですね。
アップデートにより性能が向上し、人間味も増したGPT-5.1を使って、さらに成果を上げていきましょう!
今回のアップデートは第5世代の中での更新のため、いわゆるマイナーチェンジでしたが、本記事の検証では数値でわかる変化がありました。
新しい世代へのアップデートのときは、どれだけ進化するのかすごく楽しみですね!
またYoomでは、Slackなどのチャットツールやメールツール、そのほか様々なSaaSツールとChatGPTを連携できます。たとえば特定の返信を要するメールが送信されたら、ChatGPTに受信メールの返信案を作成してもらい、自動でSlackに通知してもらうという自動化も可能です。ChatGPTと連携して業務の効率化を図りたい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
出典:https://openai.com/ja-JP/index/gpt-5-system-card-addendum-gpt-5-1/
トリガー条件を満たしたメールを受信したら返信案をChatGPTで作成してSlackに通知します