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商談が終わった後、録画を見直して議事録を書き起こし、SFA(営業支援システム)に入力する作業に追われていませんか?
「あの商談、どんな宿題が残っていたっけ?」と記憶を頼りに確認するのは、精神的にも時間的にも大きな負担ですよね。
そうした課題の解決に、圧倒的な長文処理能力と、文脈を深く理解する日本語能力を持つClaudeの導入を考える方も多いと思います。
そこで本記事では、SaaS営業チームにおける商談管理の効率化を目指し、生成AIのClaude(クロード)が、商談の要約に使えるのかを検証していきます。
月間数十時間を費やしている議事録作成業務を、劇的に圧縮するためのヒントになれば幸いです。
Claudeは、OpenAIの元研究者らが設立したAnthropic社が開発した対話型生成AIです。
「Constitutional AI(憲法AI)」という設計思想に基づき、人間にとって有益かつ無害であることを最優先に開発されています。
商談の要約で利用する際に、特筆すべきポイントは以下の通りです。
圧倒的な長文処理能力:
最大200Kトークンを一度に読み込めます。
これにより、1時間を超える商談の書き起こしテキストも分割することなく、文脈を維持したまま処理可能です。
データの途中が抜けてしまう、「ロスト・イン・ザ・ミドル」も起こりにくいです。
自然な日本語と文脈理解:
日本語のニュアンスを汲み取ることが得意で、他の生成AIと比べても人のように文脈を理解する能力が高く、機械的な翻訳調になりにくい特徴があります。
「Constitutional AI」というアプローチにより、強化学習に依存するのではなく、事前に定義された倫理ガイドラインを通じてモデル行動を形作っていることが、文脈理解に貢献しています。
商談管理に役立つ機能:
Claudeには、 関連資料をまとめて学習させる「プロジェクト」機能や、生成結果を別ウィンドウで整理できる「アーティファクト」機能など、ビジネス利用に適した機能が充実しています。
こうした機能を活用することで、要約の精度を高めたり、要約結果の視認性を高めたりすることが可能です。
モデル展開:
高速な「Haiku」、バランスの良い「Sonnet」、最高性能の「Opus」があり、用途に合わせて選択可能です。
バランスの良い「Sonnet」は、議事録作成などの一般的なタスクに適しているとされています。
ただし、Opusを利用できるのは、有料プランからです。
ここからは、実際に2つの商談の文字起こしデータを用いて、Claudeの実力を検証していきます。
比較対象として、1つの検証ではGoogleの「Gemini」も同時にテストし、それぞれの強みを探ります。
検証条件
今回は、実際のビジネスシーンを想定し、以下のモデルとプランで検証を行いました。
【検証1】
【検証2】
検証内容とポイント一覧
検証は、営業現場で最もニーズの高い「事実の正確な抽出」と「顧客心理の深掘り」の2つの観点で行います。
検証1:商談事実の要約
検証2:商談の要約と感情分析
検証方法
【Claude】
※検証1と2共通
1.アカウントにログイン
2.モデルを選択
入力欄の右下からモデルを選択できます。
3.ファイルの添付と機能の選択
「じっくり考える」(時計マーク)をクリックします。
続いて、「+」マークをクリックし、「ファイルまたは写真を追加」を選択し、テキストファイルを添付します。
※「じっくり考える(拡張思考)」機能を利用することで、Claudeが複数の処理プロセスを検証できるようになり、結果の精度を高めることに繋がります。
4.プロンプトを入力して作成開始
設定が完了したらプロンプトを入力して送信します。
今回は、それぞれの検証で以下のプロンプトを入力しました。
検証1用プロンプト
あなたは優秀な営業アシスタントです。
以下のテキストは、Zoomで行われた顧客(通販会社)との「AIチャットボット導入商談」の文字起こしデータです。
この会話ログから、ノイズ(挨拶や接続確認、無駄話)を除去し、ビジネス上の重要な情報を抽出して、以下の3つのセクションに整理した「議事録まとめ」を作成してください。
1. 顧客の課題
顧客が抱えている悩みや現状の課題を具体的に箇条書きしてください。
2. 商談での決定事項
会議内で合意に至った決定事項(導入範囲、プラン、ルール、KPIなど)を明確に記載してください。
3. ネクストアクション
「誰が」「いつまでに」「何をするか」というタスクを抽出してください。
日付や期日は正確に拾い、曖昧な表現(来週など)は具体的な日付(〇月〇日)に変換して記載してください。
※制約事項
推測は含めず、会話内の事実のみに基づいて記述すること。
読みやすいMarkdown形式の表(テーブル)や箇条書きを活用すること。
検証2用プロンプト
あなたは戦略的なコンサルタントです。
以下のテキストは、MAツール「MarkeFlow」のデモ商談の文字起こしです。
現場担当者(本田)と決裁者(松岡)の温度差や、発言の裏にある意図を分析し、Artifacts機能を使って、次回商談の対策に使える「顧客反応分析ダッシュボード」を作成してください。
## 作成要件
Reactコンポーネントを使用し、以下の3つの機能を持つ視覚的にわかりやすいダッシュボードを描画してください。
1.反応ヒートマップ・提案した各機能(メールエディタ、AI機能、LINE連携など)について、顧客が「ポジティブ(興奮・同意)」だったか「ネガティブ(懸念・懐疑)」だったかを分類して表示してください。・誰が(本田or松岡)その反応を示したかも明記してください。
2.懸念点と回答リスト
・顧客(特に決裁者)が示した鋭い「懸念・リスク」と、それに対する営業の「回答」をペアにしてリスト化してください。
・営業の回答で懸念が払拭しきれていない、あるいは条件付き合意となった項目には「【要注意】」タグを付けてください。
3.次回への対策メモ
・次回のクロージングに向けて、営業担当者が準備すべき資料や、強調すべきポイントをAIの視点で3点アドバイスしてください。
## デザイン要件
・営業チームがパッと見て状況を把握できる、モダンで見やすいUIにしてください。
・Tailwind CSSなどを使用してスタイリングしてください。
【Gemini】
1.アカウントにログイン
2.モデルを選択
入力欄の右下からモデルを選択します。
3.ファイルの添付
「+」マークをクリックし、「ファイルをアップロード」からテキストファイルを添付します。
「ツール」をクリックすると、Geminiの機能を追加できるため、必要に応じて設定してください。
4.プロンプトを入力して作成開始
Claudeと同じプロンプトを入力して作成を開始します。
✅検証1:事実の要約
まずは、要約の基本となる「情報の正確性」と「スピード」の比較です。
実務レベルでどこまで信頼できるのかを見ていきます。
生成された結果は以下になります。
※出力が長いため、一部を掲載
【Claude】
【Gemini】
【出力されるべき項目一覧】
検証結果
Claude(Sonnet 4.5)とGemini(Gemini 3 思考モード)の結果を、3つの検証ポイントで評価すると、以下の通りです。
1つ目の検証で、両者の「得意領域」がはっきりと分かれました。
Claudeはすべての項目において100%の精度を叩き出し、特に間違いが許されない「期日」の抽出において完璧な仕事を見せました。
一方でGeminiは、期日に1件のミスがあったものの、処理スピードは18秒と驚異的です。
Claudeの約6倍の速さで完了するため、スピード重視のタスクではGeminiに軍配が上がります。
今回の検証では約15,000字という長文データを使用しましたが、両モデルとも「顧客の課題」「決定事項」「ネクストアクション」という重要項目を抜け漏れなく抽出できています。
これはAIの文脈理解レベルが、実務に耐えうる水準へ確実に到達している証拠です。
対面の商談でメモ書きや簡易的な議事録を作る場合、情報量はもっと少なくなるため、精度はさらに高まると考えられます。
少なくとも、ClaudeにしてもGeminiにしても、商談の要約をサポートしてくれる優秀なアシスタントとして十分な性能が証明されました。
処理スピードに差はあれど、人間が手作業で行う場合と比較すれば、その効率は圧倒的です。
通常、1時間の商談を要約するには10分以上の時間を要しますが、AIを使えば長くても2分弱で完了します。
Geminiの1件のミスも目視チェックで修正可能な範囲です。
正確性を重視するならClaudeが優位ですが、目視チェックを前提とするなら、Geminiも十分に実用的です。
検証したSonnet 4.5とGemini 3 思考モードは、いずれも無料プランで利用できるため、まずは試してみて利用環境に合うAIを選ぶことが、導入を成功させるポイントになります。
✅検証2:商談の要約と感情分析
次に、Claude独自の強みである「Artifacts(アーティファクト)」機能を使い、単なるテキスト要約を超えた「顧客分析ダッシュボード」の作成を試みました。
検証結果
同じClaudeの上位モデルである「Sonnet 4.5」と「Opus 4.5」で、アウトプットの質を比較します。
結果として、モデルに関わらずアーティファクト機能のデザイン性は非常に高く、営業チームがパッと見て状況を把握できるダッシュボードが生成されました。
テキストだけの議事録では埋もれてしまいがちな「商談の温度感」や「懸念点」が、色分けされたヒートマップやリストとして可視化される点は、Claudeを選ぶ大きな理由になります。
上司への報告や商談を振り返るシーンでは、視認性の高さが業務の効率化に直結するため、アーティファクト機能の活用をおすすめします。
両モデルの違いは情報のまとめ方に表れました。
Opusは情報を細分化して記載しており、抜け漏れを防ぎたい場面に適しています。
一方、Sonnetは事実だけでなく、顧客が発した「感情的な言葉」も拾い上げてまとめているため、商談現場のリアルな温度感が伝わりやすい結果となりました。
商談内の感情的な発言は、どちらも正確に把握できているため、感情を理解する基本性能は高いことがわかります。
これらの点を踏まえて、経緯やニュアンスを重視するならSonnet、事実を構造化して一覧性を高めたいならOpus、という使い分けが有効です。
作成時間は両モデルとも2分半程度でした。
「サクッと報告したい」時には少し長く感じるかもしれませんが、運用でカバーできる範囲です。
例えば、商談が終わった直後、PCを片付けたり次の移動準備をしたりしている間に生成を依頼しておけば、作業が終わる頃には分析が完了しています。
結果としてタイムロスにはならず、むしろ移動中の振り返りが高品質なものに変わります。
🖊️検証結果まとめ
今回の検証で、Claudeは「正確性」と「視覚的な整理能力」において、営業の強力な武器になることが証明されました。
Geminiのスピードも魅力的ですが、タスクの「期日ミス」を減らし、次のアクションへ確実に繋げるためには、Claudeの高い文脈理解力が不可欠です。
▼検証からわかった「使い分け」の指針
SFAへの入力用テキストなら通常の要約を、チームへの共有や次回提案の作戦会議にはアーティファクト機能を活用するなど、用途に合わせて使い分けることで、商談の要約の質は向上します。
ぜひ、次回の商談の要約からClaudeを使ってみてください。
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【出典】
Claude(クロード) 日本語無料版/拡張思考の使用/アーティファクト/Claude モデル概要/Claude プラン/Gemini プラン/Gemini モデル