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2025年に登場したOpenAIの新モデルGPT-5。前世代のGPT-4oと比べて、より強い推論能力や思考(Thinking)モードが強化されています。そのため、競合リサーチやレポート作成などを行う業種にとって大変使いやすいモデルとも言えます。
とは言え実際の業務ではどのように利用するのが良いのか、またGPT-4oとの違いなど、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、GPT-5が実務でどこまで使えるのかを徹底検証!
同じプロンプトをGPT-4oにも投げかけ比較した上で、GPT-5をどのように活用するのが上手な使い方なのか解説します!
✍️そもそもChatGPT-5とは?GPT-4oとの違いを解説
本記事の想定読者
ChatGPT-5とGPT-4oとの違い
GPT-5の上手な使い方を理解するうえで、まずは基本スペックとGPT-4oとの違いを把握していきましょう。2つの違いをまとめると、以下のようになります。
という風に解釈できます。
【出典】
Introducing SWE-bench Verified: A Benchmark for Real-World Software Engineering
Introducing GPT-5
GPT-5 is here
GPT-4o mini: Advancing cost-efficient intelligence🤔【使ってみた】ChatGPT-5の使い方とGPT-4oとの比較
それでは、GPT-5の実力を検証しながらGPT-4oとの違いを比較し、GPT-5をどのように使うのがおすすめなのか見ていきましょう。
まずは検証内容を2つ紹介します。
検証内容
検証条件
検証①レポート作成
GPT-5とGPT-4oの100ページ超相当の長文ホワイトペーパー群を読み込ませ、要点、GPT-5とGPT-4oの機能比較、そしてマーケティング業務での使い分けの具体例をまとめたレポートを作成する。
【プロンプト】
分析タスク:
添付資料:
https://cdn.openai.com/gpt-5-system-card.pdf?utm_source=chatgpt.com
https://cirra.ai/articles/pdfs/gpt-5-technical-overview.pdf?utm_source=chatgpt.com
https://cdn.openai.com/gpt-4o-system-card.pdf?utm_source=chatgpt.com
https://arxiv.org/pdf/2410.21276?utm_source=chatgpt.com
検証②競合LP → 1枚スライド作成
OpenAI・Gemini・Claude(Anthropic)の公式LP/料金ページを読み込み、比較表(機能・価格・導入障壁)+勝ち筋メモ3行の“1枚資料”を作成する。
【プロンプト】
目的:競合3社のLPと料金ページをもとに、意思決定に使える1枚の比較スライドを作る。
入力:公式LP/料金ページURL(OpenAI/Gemini/Claude)を渡す。画像・脚注・但し書きも情報源として扱う。
作業指示:
情報の取得と正規化
プラン名/料金(通貨・課金単位)/無料枠/コンテキスト長・レート制限など主要制限/サポート体制/商用可否・利用条件(要審査・本人確認など)を抽出。
用語を統一命名(例:無料枠→Free tier、リクエスト上限→Rate limit)。不明は「不明」と明記。
比較表(Markdown)
列:ベンダー(OpenAI/Gemini/Claude)
行:主要機能、代表モデル、価格の起点、無料枠、制限(コンテキスト長・Rate limit 等)、導入障壁(審査/規約/KYC 等)、サポート(SLA・Enterprise有無)、備考(但し書き・注意点)。
勝ち筋メモ(3行)
それぞれ「どの顧客像/導入条件」で優位かを1行ずつ。
根拠は表の行(機能・制限・料金)に対応づけて短く。
注記・出典
取得日(YYYY-MM-DD)を明記。
数値・条件に脚注番号を付け、LPの該当箇所を出典として列挙。
推測は不可。未確認は「要確認」と付記。
出力形式:タイトル(20字以内)比較表(Markdown)勝ち筋メモ(3行)注記/脚注/出典(最小限)
添付資料:
OpenAI(ChatGPT / GPT-5, 4o)
Introducing GPT-5
OpenAI API Pricing
ChatGPT Plans
Google Gemini
Gemini
Google AI for Developers
Google Cloud
Anthropic Claude
メモ:価格・制限は変動しやすいので、取得日を必ず記録し、金額・条件は通貨と単位を統一してください。 1枚で判ることを最優先に、文章は短文+脚注で。
✅検証①レポート作成
GPT-5でレポートを作成してみた
まずはGPT-5にプロンプトを入力し資料を添付して送信したところ、約2分半で6500文字のレポートが生成されました。
要点
データとしてはこれだけでも十分であり、専門用語を出しつつもすぐ後に簡潔な補足を入れてくれている点が好印象です!
ただ、要点というより分析のようなイメージを持ちました。研究レポートのようですね。
機能比較
各行の最後に補足コメントがついていて、そこを読むだけで「だからこの作業はこっちのモデルがいいんだな」と理解できるようになっています。この表だけでも差を理解できますね!
ただ、1つのマスの中に説明・理由・補足がぜんぶ入っているので、読むのに少し力がいるなとも感じました。
使い分け案
具体的な仕事に分けて説明されており、実際のマーケティング現場での使い分けが想像しやすいと感じます!
中でも「競合レポート」を作る場合は1つの仕事を2モデルで分担する流れが提案されていて、GPT-5とGPT-4oを実際に社内でどう使えばいいかが明確でわかりやすかったです。
まとめ
「何をどっちでやるか」という点が具体的なため、読んだ人がすぐ行動できる内容だと思います。
ただやはり文がしっかり書かれすぎていて少し重たい印象です。深い思考のGPT-5だからこそ、分析的で濃い文章になるのかもしれません。
GPT-4oとの比較結果
GPT-4oは約10秒で2000文字のレポートの生成が完了しました。これはGPT-5が深い思考で生成を行うため、このような差が出たものと思われます。
また生成結果もあきらかな差が出たので、検証項目ごとに見ていきましょう要点のまとめ方
要点整理について、左がGPT-4o、右がGPT-5の結果です。GPT-4oは文字の装飾や改行が多く、パッと読んでも理解しやすい印象。専門知識がなくても「ざっくりとした違い」がつかめるなと感じました。
一方でGPT-5は深く正確な要約である一方、文字の装飾や改行もあまりないため読みにくいです。内容もより専門的なものとなっています。そのため、とりあえず概要をつかみたい方にはGPT-4oのほうが向いていると感じます!
機能比較の厚み
左がGPT-4o、右がGPT-5の出力結果です。GPT-4oは難しい言葉が少なく、ITに詳しくなくてもざっくりと理解できます。ただ、「なぜそうなのか」「どのくらい違うのか」という部分が抜けていて、信頼性をあまり感じられませんでした。また表層的な内容にとどまっており、薄い印象を持ちました。
一方でGPT-5は理論的なうえ、補足コメントに具体的な比較例があります。これにより何がどれくらい違うのか情報の信頼性が担保され、実用イメージも沸きやすいと感じました。
使い分け案の妥当性
左がGPT-4o、右がGPT-5の出力結果です。GPT-4oは業務シナリオごとの整理がシンプルで、初見でも全体像をつかみやすい構成でした。ただ、内容が概要レベルにとどまり、どのように実務へ落とし込むかの具体性が弱い印象です。
一方のGPT-5は、各業務領域に対して明確な使い分け提案があり、文章の意図が“実務導線”を意識して構成されています。特に「どのモデルをどの順番で使えば成果が出るのか」という視点が整理されており、具体的な業務フローをイメージしやすくなっています。
個人的に、GPT-5が単なる比較にとどまらず、活用戦略の設計まで踏み込んでいる点から、よりビジネス現場で再現性のある出力だと感じました。
まとめの簡潔さ
左がGPT-4o、右がGPT-5の出力結果です。GPT-4oはポイントが簡潔に整理されており、全体像をつかみやすい反面、内容が概要レベルにとどまっていて、実務でどう使うかの具体性が弱い印象でした。そのため、読んでいても活用イメージがやや掴みにくく感じますね…。
一方GPT-5は比較だけでなく活用戦略まで踏み込んだ記述が多く、業務フローの中でどう使い分けるべきかが明確に整理されています。
なぜその提案に至るのかの理由付けもあり、実際の導入を想定した再現性の高い内容だと判断しました!
✅検証②比較スライド作成
約45秒で約2100文字の生成が完了しました。
GPT-5で比較スライドを作成してみた
スライド比較
プロンプトに沿って情報を正確に正規化し、「用語の統一」「未記載・要確認の明示」「通貨・単位の統一」を徹底してくれています!
また、導入障壁やSLAなどの数値では表せない項目なども空欄にせず「要確認」と記載されており、確認漏れを起こしにくい構造になっている点が秀逸です。
ただ、価格の起点や制限の欄で、複数の条件(例:≤200k / >200k)や例外補足まで詰め込まれているため、一瞬で比較したい時には解りにくいスライドかな?とも感じます。
勝ち筋メモの内容
勝ち筋メモにおいては、単なる印象論にとどまらず「誰が・どんな条件で導入すべきか」がハッキリ明示されていて解りやすいです。
さらに優れているのは、それぞれの根拠が「価格」「制限」「機能」といった比較表の行と脚注に対応していること。特に企業導入担当者が、導入候補の選定根拠を説明・転用しやすいよう配慮された設計になっているので、汎用性が高いですね!
注記/出典/補足
プロンプト条件を忠実に反映しているため、「商用可否・KYCは明記なし」や「Rate limitは未記載」のように、記載がなかったこと自体を書いてくれています!
同じようにプロンプトに沿い、取得日を明記したうえで、脚注番号と出典の役割を明確に整理しています。各URLがどの情報の裏付けかを明示しているため、表内の数値を検証する導線も明快ですね!
GPT-4oとの比較結果
4oの生成は5秒スライド比較のまとめ方
左がGPT-4o、右がGPT-5の出力です。GPT-4oは表の見通しがよく、項目ごとの情報が整理されていて「パッと見で全体を把握したい」場面では使いやすいと感じました。
ただし、価格や制限に関する前提や条件が省略されがちな点が残念です。
一方、GPT-5の出力は各項目に脚注番号を付けたうえで、脚注にしっかりと出典と条件を明記しており、法人や契約担当者が「あとで確認・検証できるか」という観点で信頼性が高いと感じました!
そのため、実務で導入判断を行う場面では、GPT-5の出力が比較し易く実用的です。
勝ち筋メモの厚み
左がGPT-4o、右がGPT-5の出力結果です。GPT-4oは要点の絞り方がうまく、「こんなときに強い」という訴求軸が明確ですね!ただし、GPT-5のように根拠が書かれておらず、やや印象論に寄っている点は気になりました。
一方でGPT-5は、「機能/制限/価格体系」といった表内の該当行を脚注つきで明示しています。これはプロンプトの「勝ち筋メモには根拠を対応づけること」という指示に準拠しているため、読み手が「なぜその結論になるのか」を自力でたどれる構造になっています。
結果として、GPT-4oは読みやすく伝わりやすい一方で、導入判断において裏付けが不足する懸念があるかもしれません。また、GPT-5の出力の方がプロンプトの目的に対して適合性が高いと判断しました。
注記/出典/補足の正確さ
左がGPT-4o、右がGPT-5の出力です。GPT-4oは構成がシンプルで視認性が高く、ざっと確認したいときには使いやすい印象を受けました。
ただし、「出典の対象」「未記載」「要確認」の判断基準があいまいで、注記の粒度もやや粗く、実務での検証作業には不安が残りました。
一方でGPT-5は、脚注ごとにどの種別の出典かを明記し、補足欄では限定条件もしっかり示してくれています。導入時に参照元を照合・監査する用途でも実用性が高いと判断しました。
結果として、GPT-4oは簡易な提示には適しているものの、用途上「判断根拠と検証可能性の明示」が重視されるこのタスクでは、GPT-5の出力の方が精度・再現性の観点で優れていると考えます!
🖊【比較結果】GPT-5の上手な使い方
結論から言えば、GPT-5は「考える工程」をAIに任せたい人にとって最も力を発揮するモデルです。
深く、広く、複雑な情報を整理しながら、論理の通ったアウトプットに仕立ててくれるため、そんな「頭脳」としての使い方がベストだと、今回の検証で感じました。
その理由を、GPT-4oとの違いや検証結果をもとに具体的に解説していきます!
①「考える」工程を任せると、真価を発揮する
GPT-5の特徴は、答えを出すだけでなく、その背景や理由を丁寧に構造化して説明してくれる力にあります。
実際に、100ページ超のPDF群を読み込ませたレポート生成タスクでは、GPT-5は「要点」「背景」「使い分け」「活用方針」まで含めた6500字超の網羅的レポートを出力しました。
たとえば機能比較表では、各項目の最後に「なぜそうなのか」「どちらが適しているのか」の補足コメントが加えられ、表を見るだけで実務上の判断がつくレベルまで情報が整理されていましたよね。
このように、単に情報を並べるのではなく、筋道だった思考としてまとめてくれる力が、GPT-5最大の強みです!
② 戦略設計や業務構築の「頭の中の整理」に向いている
マーケティング業務の使い分けシナリオでも明らかになったように、GPT-5は「この業務にはこのモデル」といった静的な割り当てだけでなく、業務の流れそのものをどう設計すべきかという提案も得意です。
実際、「競合レポート作成」という例では、GPT-4oで一次出力→GPT-5で分析という役割分担型の活用提案までしてくれました。
これはGPT-5がただ機能を知っているだけでなく、目的に応じた使い方のシナリオを自ら設計できることを意味します。
そのため、企画構成やプロジェクト設計、マーケティング戦略など、「考える+構造を組む」が求められるタスクには抜群に相性が良いと感じました!
③ GPT-4oが向いている場面もある
とはいえ、あらゆる場面でGPT-5が勝るわけではありません。スピードと軽快さではGPT-4oに軍配が上がる場面も多くあります。
たとえば同じプロンプトを与えた場合、GPT-4oは約10秒でレポートを出力したのに対し、GPT-5は約2分半かかりました。また、GPT-4oの出力は装飾や改行が多く、ざっくりと内容を把握したい人にとっては視認性が高く、読みやすいという特徴がありますよね!
特に以下のようなシーンでは、GPT-4oの方が向いていると言えます。
Yoomでできること
YoomはGPT-5とノーコードで連携可能な他、様々なSaaSツールと組み合わせた業務の自動化が行えます。例えば、以下のようにChatGPTを活用した業務フローの自動化が可能です!
フォームで問い合わせが送信されたら、GPT-5で要約と一次回答案を生成し、Zendeskにチケットを作成するフローです。
GPT-5の得意とする「深く考える力」を活用することで、問い合わせに対しどのような対応をとるべきか複数のシナリオを提案してもらうといった活用方法が自動で行えるようになります。
[Yoomとは]
🖊まとめ
今回の検証で明らかになったのは、GPT-5が情報を整理し、考え、行動を提案できるビジネスパートナーとして設計されているという点です。
特に、長文分析やレポート構築のような思考と構成が求められるタスクでは、GPT-5が強みを発揮します。
一方で、スピードやコミュニケーション能力を発揮するタスクではGPT-4oが優れていると言えるかもしれません。
そのため、GPT-5を戦略設計や分析業務に活用し、GPT-4oを顧客対応や発信業務に活かすことで、AIの強みを最大限に引き出せそうですね!
考える工程に時間がかかっていた方や、複雑な情報をまとめるのが苦手な方には、GPT-5が頼もしい味方になってくれそうです。
日々の業務に少し取り入れるだけでも、思考のスピードとアウトプットの質が変わるはずです!ぜひ一度、その思考力と生成精度を体験してみてください。