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生成AIの活用が進む中、「Geminiは使っているけれど、Claude(クロード)はどう使えばいいのか分からない」「もっと業務効率を上げたい」と悩んでいませんか?
特に、議事録の要約や問い合わせ対応、データの分析といった業務で、AIを使っている方は多いはずです。
Claudeは、その人間らしい自然な日本語と高度な分析能力で、こうした業務の質を向上させるポテンシャルを持っています。
本記事では、Claudeの基本的な設定方法の解説をはじめ、実際のシーンでどの程度使えるのかを検証します。
モデルの比較からGeminiとの比較まで紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事は、以下のような方を想定して執筆しています。
Claudeは、米国のAnthropic(アンソロピック)社が開発した対話型生成AIです。
OpenAI社の元メンバーらが設立した同社は「安全性と倫理性」を最優先しており、企業でも安心して導入できる信頼性の高さが特徴です。
利用するにあたり、料金プランと利用できるモデルの特徴を簡単にご紹介します。
【料金プランの比較表】
【モデルの比較表】
Claudeには、長文の処理能力の高さやリーチに優れた機能など、特筆すべき機能がたくさんあります。
ここでは、そうした機能を活用してできることを5つご紹介します。
ビジネスの現場では、数100ページに及ぶ契約書、技術仕様書、あるいは財務レポートを短時間で把握しなければならない場面が多々あるはずです。
Claudeは、20万トークンのコンテキストウィンドウがあるため、市販の書籍数冊分に相当すると言われる情報量でも一度に読み込むことが可能です。
また、単に要約するだけでなく、特定の情報のみを抽出するといった利用もできます。
人間なら数10分はかかる作業を1分ほどで作成するため、業務の効率化に直結します。
Claudeには、チャット画面の右側に作成したコンテンツを即座に表示・操作できるアーティファクト機能があります。
これまでAIにコードを書いてもらった場合、それを別の環境にコピペして動作確認をする必要がありましたが、その手間が不要になります。
例えば「売上推移のインタラクティブなグラフを作って」と頼めば、動かせるグラフがその場に現れます。
エンジニアでなくとも、頭の中にあるアイデアを「動く形」や「洗練されたドキュメント」として視覚化できるため、企画会議やプレゼン資料作成の概念が根本から変わります。
案件や部署ごとに、専用の知識を持ったClaudeの作業スペースを作成できる、プロジェクトという機能もおすすめです。
例えば「広報ブログ用プロジェクト」を作成し、過去の良質な記事や自社のブランドガイドライン(トーン&マナー)をアップロードしておきます。
すると、そのプロジェクト内でのClaudeは、常に自社らしい口調や専門用語を使って執筆するようになります。
チャットを変えるたびに「弊社のターゲット層は…」と一から説明する必要はありません。
社内Wikiや議事録を読み込ませておけば、「いつもの文脈」を理解した優秀な新入社員が即戦力として配属されるような感覚で、チーム全体の業務品質を標準化・効率化できます。
単なるウェブ検索とは一線を画す、自律的な調査能力がリサーチ機能です。
例えば「競合他社AとBの過去3年の価格戦略の変化と、それに対するSNS上の反応を調査して」と指示したとします。
Claudeは自ら検索キーワードを考案し、数10、数100のWebページを閲覧・精査します。
もし一度の検索で終わらず、足りない情報があれば深掘りも行います。
そうして信頼できるソースのみを統合して一つのレポートにまとめ上げるため、リサーチとレポート作成の概念が変わるはずです。
また、人間がブラウザのタブを大量に開いて行うような「情報収集・取捨選択・構造化」という一連の泥臭いプロセスを代行してくれるため、マーケターや企画職は、集まったデータの「解釈」と「戦略立案」だけに集中できるようになります。
これは主にエンジニア向けの機能ですが、ビジネスへのインパクトは計り知れません。
従来の「チャットでコードを相談する」スタイルを超え、Claudeが開発環境(ターミナル)の中で直接コマンドを叩き、ファイルを編集できるClaude Codeという機能があります。
「この新機能を追加して」「発生しているバグを修正して」と自然言語で指示するだけで、Claudeはプロジェクト全体の構造を理解し、複数のファイルを横断してコードを書き換え、テストまで実行します。
まるで熟練のペアプログラマーが隣に座ってキーボードを操作してくれるような感覚です。
開発速度が数倍になるだけでなく、単純作業から解放されたエンジニアは、より本質的なシステム設計やUX改善に時間を割けるようになります。
ここでは、Claudeの真価を発揮する具体的な使い方を解説します。
今回は、一般的なチャットの使い方に合わせて、多くの方が利用するであろうプロジェクト機能とリサーチ機能について詳しく解説します。
まずは、プロジェクト機能の使い方を解説し、その後、リサーチ機能の使い方を解説します。
1.アカウントにログイン
2.プロジェクトを選択
メニューから「プロジェクト」を選択します。
3.プロジェクトの作成
「+新規プロジェクト」を選択します。
4.プロジェクトの概要を設定
「何に取り組んでいますか?」「何を達成しようとしていますか?」を入力し、「プロジェクトを作成」をクリックします。
5.ファイルの添付
ファイル欄の「+」マークをクリックし、「デバイスをアップロード」からプロジェクトに追加したいファイルを選択します。
文章をそのまま追加することや、GitHub、Google Driveからファイルを追加することも可能です。
6.回答のカスタマイズ指示
もし回答に指示をしたい場合(例:「丁寧なサポート担当者として回答してください」など)は、手順の「+」マークから任意で指示を追加できます。
以上で、プロジェクトの作成は完了です。
作成したプロジェクトは、一覧から利用できます。
プロジェクトを利用する際は、通常のチャットのようにモデルの選択や「じっくり考える」機能の選択、ファイルの添付を行うことも可能です。
※じっくり考える機能(拡張思考)を使うと、Claudeが回答を導くための複数のプロセスを検討できるようになるため、回答の精度向上に繋がります。
続いて、リサーチ機能の使い方を解説します。
1.チャット画面を開く
ログインすると、チャット画面が表示されます。
もしプロジェクトなど、他のメニューを開いている場合は、メニュー一覧から「新規チャット」(オレンジの「+」マーク)を選択してください。
2.リサーチ機能の選択
「+」マークをクリックし、リサーチを選択してください。
リサーチ機能をオンにすると、自動的に「じっくり考える」機能もオンになります。
また、ウェブ上の資料を調査する場合は、「ウェブ検索」もオンにしましょう。
あとは、プロンプトを入力して送信すると、リサーチとレポートの作成が開始します。
ここからは、実際の業務でClaudeを使ってみた内容をご紹介します。
「議事録からのタスク抽出」と「競合リサーチ」という2つの頻出タスクにおいて、Claudeがどこまで使えるのか、モデルごとの比較検証と他のAIとの比較検証をしました。
1.複数のデータから横断的にタスクを抽出してガントチャートを作成(モデル比較)
プロジェクト機能を利用し、会議の議事録とウェビナーのメモという、異なる2つのデータソースから担当者のタスクを抽出し、ガントチャートを作成させました。
【検証条件】
使用モデル: Sonnet 4.5 / Opus 4.5(Claude Proプラン)
利用機能:プロジェクト/じっくり考える
検証内容: 会議・ウェビナーの文字起こしデータを横断的に処理し、タスク抽出とガントチャートを作成(Sonnet 4.5とOpus 4.5の性能比較)
添付ファイル: 以下の2つのテキストファイルをプロジェクト機能に追加しました。
検証ポイント:
検証プロンプト:
プロジェクト内に保存されているデータベースSaaS新商品企画会議の議事録と、タスク管理SaaSタスクマエストロ活用ウェビナーのメモをすべて読み込んでください。メモの中から、田中・佐藤・池山が担当するタスク名、期日、出典(ファイル名)を抽出し、タスクリストを作成してください。
そのタスクリストを反映し、アーティファクト機能を使用してプロジェクト全体のガントチャートを視覚化してください。担当タスクがない場合は、「タスクなし」と出力してください。
ガントチャートは、①タスク一覧を確認できるもの、②担当者の一覧を確認できるものを切り替えられるようにしてください。また、①のタスク一覧では、プルダウン機能を付けて期日・担当者・ファイル名を確認できる機能を付けてください。
※「タスク一覧」「担当者別」のタブの切り替えがわかるように、別々に撮影したスクリーンショットを並べて掲載しています。
【Sonnet 4.5】
【Opus 4.5】
検証ポイントをもとに結果を評価すると、以下のようになりました。
検証結果から見えてきたポイントは以下の3点です。
タスクの抽出精度に関しては、モデル間で差が出ました。
Opusの方が期日ミスがなく優秀ですが、それでも3件のタスク漏れが発生しています。
詳細に結果を分析すると、Opusが正確に抽出できたウェビナーの文字起こしデータには「ウェビナー内でタスクを再確認する発言」が含まれていました。
AIに正確な抽出を求めるなら、会議の最後に「誰がいつまでに何をするか」を口頭で復唱するなど、議事録に残る形での人間側の配慮が精度向上のポイントです。
両モデルともに、指示の忠実度が非常に高いことがわかりました。
今回は意地悪なテストとして、議事録には「池田」とある名前を、プロンプトで「池山」とタイプミスして指示しましたが、AIは文脈から「池田」と判断して処理しました。
また、出力してほしいタスクの情報や指定したアーティファクトの機能も完璧に守られています。
やるべきことが明確な定型業務において、Claudeは非常に信頼できるパートナーで、ミドルモデルのSonnetでも指示の順守能力や応用力が高いと言えます。
作成されたガントチャート(アーティファクト)の品質では、Opusが完璧な挙動を示しました。
Sonnetはプルダウン操作が、「タスク一覧」タブと「担当者別」タブで連動してしまう不具合がありました。
しかし、チャットで『「タスク一覧」タブと「担当者別」タブでタスクのプルダウンが連動しているから解除して』と指示すればすぐに直りました。
こうしたSonnetの修正しやすさと、Opusの利用回数の制限の厳しさを考慮すると、日常使いにはSonnetをメインにする運用が最も現実的でコストパフォーマンスに優れています。
2.ウェブ調査を行い比較用のレポート作成(Geminiと比較)
次に、画像生成AI(Midjourney、DALL-E 3、Adobe Firefly)の最新情報をウェブ検索し、比較レポートを作成させました。
ここでは、検索に強いとされるGoogleの「Gemini 3(思考モード)」と比較します。
【検証条件】
使用モデル:
利用機能:
検証内容: Midjourney、DALL-E 3、Adobe Fireflyの3つの最新情報をウェブ検索で調査し、著作権対応や料金体系を比較した報告用ボードを作成(ClaudeとGeminiの性能比較)
検証ポイント:
検証プロンプト:
2025年12月時点のMidjourney、DALL-E 3、Adobe Fireflyの情報を調査してください。
各ツールの月額料金、商用利用の可否、日本語プロンプトへの対応状況、および生成画像の得意分野を比較してください。
もし上記以外で各ツールを導入する際に知っておくべき情報があれば追加してください。
調査結果を元に一目で違いがわかる比較表にまとめてください。
最新の料金や機能は、公式サイトの情報のみを参照してください。
出典となったURLも情報の記載箇所に併記し、レポートの最後にも一覧でページタイトルとURLを記載してください。
※出力結果が長いため一部を掲載しています。
【Claude:Sonnet 4.5】
【Gemini:Gemini 3 思考モード】
ClaudeとGemini、それぞれの結果を検証ポイントで比較すると以下のようになります。
検証結果から見えてきたポイントは以下の3点です。
料金情報の精度において、Claudeは記載した情報にミスがありませんでした。
一方のGeminiは、より詳細なプランまでリサーチしてくれましたが、1件の料金ミスが発生しました。
これらの結果から、情報の信頼性(ハルシネーションの少なさ)という点ではClaudeが優勢で、詳細なレポートという点ではGeminiが優勢です。
ただし、どちらのAIも一部のプランが漏れてしまっているため、目視によるファクトチェックは必須になります。
ちなみにファクトチェックでは、今回のプロンプトのように公式サイトを重視する指示をすれば、簡単にチェックできるのでおすすめです。
実際に使ってみて、両者のスタンスの違いが明確になりました。
Claudeはプロンプトで指示された順番通りにレポートを構成し、比較表に求められた情報も漏れなく記述する「忠実なアシスタント」です。
対してGeminiはプロンプトの意図を汲み取り、サマリーを追加したり、比較表に掲載する料金プランを選定したり、表を見やすく分割したりと、指示以上の気を利かせる「自律的なパートナー」の動きを見せました。
また、提案力を比較するために、「導入する際に知っておくべき情報」を出力させると、Claudeも役立つ情報を示してくれましたが、情報量としてはGeminiに軍配が上がりました。
こうした特徴から、厳密なフォーマットが決まっている調査ならClaude、ざっくりとした指示から良い提案が欲しいならGeminiという使い分けが最適です。
処理時間はどちらも6〜7分かかりました。
Geminiの方がやや速いですが、今回の調査では大きな差はありませんでした。
ただ、Geminiの方が詳細にまとめているのにもかかわらず速く処理が完了している点を考えると、複雑な調査になるほど処理スピードではGeminiの優位性が上がりそうです。
それでも、今回利用したリサーチ(Deep Research)機能は、通常のチャットのような即答は期待できないため、あくまでも「別の作業をしている間に、裏で調査させておく」という使い方が基本になります。
今回の検証を通じて、Claudeが「指示に忠実」であり、「情報の正確性」に強みを持つAIであることが確認できました。
特に、あらかじめ決められたフォーマットで資料を作成したり、膨大なマニュアルから正確に情報を抜き出したりする業務において、その能力を発揮できます。
2つの結果からわかったClaudeのモデルの使い分け、Geminiとの使い分けを整理すると以下のようになります。
実際にClaudeを使ってみて、かなり優秀なAIということは分かりましたが、毎回議事録をコピペしたり、チャットを開いて指示を入力したりするのは手間がかかりませんか。
そこで役立つのが「Yoom」です。
Yoomは、様々なSaaSやAIをノーコードで連携させて業務を自動化するツールです。
例えば、以下のようなフローを簡単に実現できます。
「Claudeを使ってみたけれど、毎回の入力が面倒」という方は、ぜひYoomを活用して、AIを業務フローの中に組み込んでみてください。
[Yoomとは]
【出典】
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