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「問い合わせ対応に追われて、本来やるべき顧客分析や改善活動に手が回らない」
「ベテラン社員しか答えられない質問が多く、対応が属人化しているのを感じる...」
成長期のSaaS企業やWebサービス運営において、このような課題は深刻です。
本記事では、Difyの高度なAI判断能力を活用して、問い合わせの受付から情報分析、緊急時のアラート通知までを自動化する仕組みを構築します。
これまで1件あたり十数分かかっていた対応時間を減らせるので、チーム全体の生産性を劇的に向上するためのヒントとなるはずです!
専門知識がない方でも迷わず設定が完了できるよう、実際の検証データに基づいた設定手順を丁寧に解説。
これまで生成AIツールに触れてこなかった方にこそ、読んでいただきたい内容となっています。
Dify は、プログラミング不要(ノーコード)で、AIアプリケーションを開発できるオープンソースのプラットフォームです。
直感的な視覚ワークフロービルダーや各種モデルとの連携、外部ツールとの統合、モニタリング機能などが備わっており、専門的な開発知識がなくてもAI機能を実装できます。
類似のAIチャットボット作成ツールと比較しても、Difyは「柔軟なワークフロー設計」と「圧倒的なコストパフォーマンス」で高い評価を得ています。
単なるQ&Aボットにとどまらず、複雑な条件分岐や外部ツールとのAPI連携が容易な点が大きな強みです
主な特徴
Difyは無料プランから使用できるツールです。
プランにより利用制限がかかることもありますが、個人でも気軽に導入できるのは嬉しいですね!
※2025年12月現在の情報です。利用料金はレート換算となり、日々変動する可能性があります。最新情報は公式サイトの料金ページをご確認ください。
※上記は日本での利用を想定した比較表です。
※上記比較表に記載されている機能・サービスは一部です。詳細は公式サイトをご確認いただく必要があります。
ハイパーオートメーションツール「Yoom」では、Difyと連携して様々な業務を自動化できます。たとえばメールを受信したらChatGPTで要約してDifyで翻訳するなど、多様なAIツールや複数のSaaSツールと連携が可能です。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね👀
Difyを顧客対応業務に導入することで、主に以下の3つのことが実現します。
1. 問い合わせ内容の高度な自動分析
従来のキーワード一致型ボットとは異なり、Difyは文脈を理解します。
例えば、「ログインできない」という問い合わせに対し、それが「パスワード忘れ」なのか「システムエラー」なのかを判断することが可能です。
そのため、適切な担当者やチャットチャネルへ自動で振り分けることができるようになるでしょう。
2. 社内ナレッジに基づく正確な回答ドラフト生成
NotionやPDFなどの社内資料をDifyに読み込ませることで、自社の仕様に基づいた正確な回答文を自動生成できます。
担当者はAIが作成した下書きを確認・修正するだけで済み、ゼロから文章を考える時間を削減できます。
3. 緊急対応の即時エスカレーション
自由度の高いフロー構築により、「クレーム」や「システム障害」に関わるキーワードや感情をAIが検知した後のエスカレーション体制が実現します。
問題発生時にチャットツールで担当スタッフに通知を送る緊急対応フローを組むことで、リスク対応の遅れが減るでしょう。
Difyの機能を活用するにあたり、顧客対応業務で役立ちそうな利用シナリオ2つを考案しました。
使用ツール:Dify 無料プラン
①多言語対応CS:Difyのナレッジ機能の活用、ワークフロー機能で構築
②緊急対応自動アラート:Difyのテキストジェネレーター機能を活用
①言語翻訳や要約、回答文の生成というプロセスをシームレスかつ正確に情報処理できるかを判定
②文脈から適切に緊急度を判断し、状況に合わせた状況判断ができるかを検証
①ナレッジ作成→ワークフローの構築(ノードやLLMの設定)→対象の入力→結果の確認
②利用機能の選択→役割の付与→対象文章の投稿→結果の確認
といった手順で検証を行っていきます!
まずは、複数のLLMを選択してワークフローに組み込める強みを活かし、インバウンド対応が必要なホテル・観光業スタッフが使用する多言語CSアプリを作成してみます!
さまざまな言語の文脈を理解、その後日本語に翻訳し、日本語での回答を再度翻訳して返信するというプロセスをスムーズに処理できるかをジャッジしていきましょう。
構成ワークフロー
翻訳とナレッジの参照、回答文の生成という簡単なワークフローを構築してみました!
各LLMのノード(gpt-5を指定)では、「あなたはインバウンド対応に精通したプロのカスタマーサポートAIです。」や「あなたはプロの翻訳者です。」といった役割をそれぞれ与えています。
ノード配置はこれよりも省略できるのですが、今回は視覚的にわかりやすくしました。
では、アプリを公開して問い合わせ文を投稿してみましょう!
3名の予約ですが、一人は歳を取っていて、足が良くありません。
狭い家の庭でも歩くことが難しい時もあります。
駅から離れていると聞きますが、車やタクシーなどを使ったホテルへの送迎はありますか?
ベジタリアンが2名いますが、料理のだしは何を使っていますか?
エビは軽いアレルギーがありますので、専用メニューを考えて欲しいです。
以下の内容が生成されました!
【① 日本語翻訳】【② 要約(スタッフ向け)】【③ 日本語回答(下書き)】【④ 外国語での最終回答】の形式で出力するように指示していましたが、正しく出力できているようです!
問い合わせの原文に記載されていない情報(送迎の詳細や乳製品や卵の可否、魚介だしの可否といった連絡事項の提供)もありますが、AIが補完したものと推察します。
顧客対応ではこの辺も考慮しなければならない部分となるので、AIによる要約の時点で必要情報として生成されている、と考えて問題ないかなと思います。
回答文も確認したところ、元言語の英語での回答文が生成されていました。
アレルギーに関する文章についても、マニュアル内の「アレルギー対応項目」を参照して、誤のない文章を生成しています!
情報の処理と文章の生成にかかった時間は約3分ほどでした。
人の手で翻訳と情報処理、回答文の作成に再翻訳という行程を行うと、最低でも15〜20分はかかるため、この抽出結果は目を見張るものがあります!
なお、要約結果をもとにナレッジを参照して回答文を生成するフローとなっているので、原文ではなくAIが補完した文章を参照する場合、余計な情報を顧客に提供する可能性もあります。
そのことを考慮すると、Difyの生成結果をそのまま使用するのではなく、プロンプトで『問い合わせ原文をそのまま正確に翻訳・要約し、余計な情報を補完しないでください』と追記したり、生成結果をCSリーダーに査読してもらう、などの確認を行った方がいいでしょう。
次の検証は、問い合わせフォームから入った内容をDifyが分析し、「食中毒」や「アレルギー」などの単語が含まれる場合にオーナーへSlackや電話で通知するための原文を作成することを想定します。
Difyの高い分析能力により「感情分析」や「キーワード分類」を行い、通常対応と緊急対応の振り分けがどの程度円滑になるのかをジャッジしていきます。
オーケストレーションの構成内容
接頭辞プロンプトと変数は、以下のように設定しました!
この内容でアプリを公開し、以下の情報を投稿します。
生成された結果は以下の通りです。
5秒たらずでこの内容が生成されたので、緊急対応時の情報処理速度としては優秀な結果となりました!
「身体の損傷により、健康被害あり」「早急な事実確認と対応が必要」と、文脈から状況を適切に読み取っていますね。
また、オーナーへの報告として、【Slack通知文】【読み上げスタイルの電話報告文】を設定した形式で抽出できています!
店にとっての想定リスクの提示も納得のいく範囲のものであり、高い精度で結果を生成していると感じました!
なお、このようなケースは対応の即時性が求められるので、あらかじめDifyのAPI連携でSlackを接続しておき、「出力結果をSlackに渡す」といったワークフローを別で組む運用を検討してもいいでしょう。
ちなみに、追加検証した緊急度の低めな投稿も、しっかりと判断できていましたよ!
検証を行った結果、Difyを導入することで1件あたり15〜20分を要していた多言語対応や情報処理が、わずか3分程度にまで短縮可能です。
ノーコードでありながら、文脈の理解や社内ナレッジの参照、さらには5秒以内での緊急アラート生成までこなすその実力は、CS業務のあり方を根本から変える可能性を秘めています。
もちろん、AI特有の情報処理やコンテンツ生成には注意が必要であり、最終的な「人の目による査読」は欠かせません。
しかし、定型業務や一次対応のサポーターとしてDifyをおくことで属人化が防がれ、チームが本来注力すべき「顧客体験の向上」や「サービス改善」にリソースを集中できるようになるでしょう。
まずは無料プランを活用し、自社の業務フローに合わせた小さなワークフロー構築から始めてみてくださいね!
Yoomと連携させることで、問い合わせフォームに入力された内容をDifyに自動投稿したり、生成結果をリアルタイムに近い形で共有できるようになります。
「管理ツールに情報を追加するだけ」といった最小限の操作で、Googleフォーム→Difyで問い合わせ業務の時間短縮、Dify→Discordで重要情報の迅速な共有といった、魔法のようなワークフローが完成するはずです。
気になった方はぜひ試してみてくださいね!