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中国のAIスタートアップ企業が発表した完全自律型AIエージェントManus(マナス)は、これまでのチャット型AIとは一線を画す存在として注目を集めています。「自ら考え、計画し、実行する」というこのツールは、ビジネスの現場にどのような革命をもたらすのでしょうか。
「Manusを使ってみたいけれど、海外ツールだし始め方が難しそう」
「話題になっているけれど、具体的に自分の業務にどう役立つのかイメージが湧かない」
本記事ではそんな方々に向けて、Manusの無料での始め方から初期設定、そして具体的な活用方法までもを徹底解説します!
招待制が解除され、誰でも利用可能になった今こそ、この強力なAIツールを迎え入れるチャンスです。
本記事の手順通りに設定を完了すれば、アカウント登録から最初のタスク実行までを迷わず進めることができ、リサーチや定型業務の自動化による工数削減への第一歩を踏み出せます!
本記事は、主に以下のような方を想定して執筆しています。
Manusは、2025年3月に発表された完全自律型の汎用AIエージェントです。
従来の「人間がチャットで指示し、AIが答える」対話型とは異なり、Manusは「◯◯について調べて、社内共有用のレポートにしてほしい」といったゴールだけを伝えると、自動でタスクを細かく分解し、計画を立て、Webブラウザの操作や各種ツールの実行までまとめて進めてくれます。
これまでのAIツールのように思考するだけでなく「実行(Action)」まで完結できるのが最大の特徴です。
現在は高速・高精度なフル機能版「Manus 1.5」と、コスト効率を重視した「Manus-1.5-Lite」の2ラインナップがあります。Liteは誰でも使える汎用モデル、1.5はより高度な処理を求める有料ユーザー向けの位置づけです。
他、Wide Researchという大規模リサーチ機能により、Manusが多数のWebサイトや資料を並列的に調べ上げ、比較表や要点を短時間で整理するといった使い方も可能です。
Manusを導入すると、具体的にどんな業務がラクになるのでしょうか。ここでは、業務でそのまま使える代表的な活用シーンを4つに絞って紹介します!
「◯◯業界の最新トレンドと競合5社をざっくり知りたい!」と投げるだけで、Manusが公式サイトやレビュー、ニュースをまとめて調査し、機能・価格・ターゲットの違いを表や箇条書きで整理してくれます。人が半日〜1日かけるリサーチのたたき台を、短時間で用意できるのがポイントです。
「毎週月曜9時に数値を取りに行って、スプレッドシート更新→Slack通知までやっておいて!」といった一連のPC作業を、自動フローとして任せられます。画面変更やログイン周りの設計は少し手間ですが、週次レポート生成などシンプルな定期タスクなら、無料プランでも現実的に運用できます。
「○○の最新トレンドでブログ構成とドラフトを」「社内勉強会用に10枚のスライド案を」と伝えると、Manusがリサーチ込みで見出し案や本文のたたき台、スライドのアウトラインまで一気に出してくれます。最終版は人が仕上げる前提ですが、ゼロから考える時間を大きく短縮できるのが強みです。
「簡易なリード管理ツールを試したい」といった要件を文章で伝えるだけで、画面設計からコード生成、テスト、デプロイまでを自動で実行し、動くWebアプリを立ち上げてくれます。エンジニアが手を動かす前の試作品を素早く用意できる一方、本格的な業務システムレベルではクレジットや安定性の面で有料プラン前提になる点には注意が必要です。
今回、紹介した活用シーンから実際に2つの検証を行いManusを動かしてみました。その結果、驚くべき成果と興味深い挙動が確認できました!
新規SaaSプロダクトの競合調査レポートと仮定し、リサーチを行いました。テーマは「GPTとManusの違い」です。本来であれば、複数の公式サイトやレビュー記事を行き来しながら資料作成を行うという、とても手間がかかる作業と言えます。
なお、今回はWide Research機能を使い、以下のような簡単な指示だけでどこまで自動化できるか試しました。
【使用プロンプト】
GPTとManusの機能・料金・得意なユースケースの違いを、主要な出典付きで表形式にまとめ、その内容を短くレポートにしてください。
処理完了までの所要時間は約11分。出力されたのは単なるテキストレポートではなく、なんと5枚ほどのスライド資料でした!
「表形式で短いレポート」という指示に対し、Manusはプレゼンで使用できるレベルのデザインされたスライドを生成してくれたということになります。
スライドの日本語精度:違和感のない自然な日本語。中華フォントの混入もなし
スライドの情報量:カーソルを合わせると詳細な数値が表示されるリッチなグラフ付き
コスト:無料クレジットを247消費
11分という待ち時間は長く感じられますが、ゼロからスライドを作成する手間を考えれば許容範囲です。そのまま会議で投影できるクオリティには目を見張るものがあります。
次に、カスタマーサクセスや社内ヘルプデスク担当者の業務効率化を狙い、FAQリストの自動生成を行いました。対象はYoomのヘルプセンターです。
単一ページの要約ではなくManus自身にヘルプセンター全体を回遊させることで、「初めて使うユーザーがつまずきそうなポイント」を判断させます。
この検証で特に興味深かったのが、画面右側に表示される「ライブ映像」です。
ManusのコンピューターがYoomのサイト内を実際にクリックし、ページを遷移しながらリサーチしている様子がリアルタイムで確認できました。「AIがWebサイトを操作している」という実感が湧きます…!
プロンプト送信から約5分後、Markdown形式のファイルが生成されました。
内容:指示通り、各FAQに参照リンクが付与された表形式
ユーザビリティ:生成された表はYoomのヘルプセンター全体を網羅した充実した内容。エクスポートして保存可能なため二次利用のしやすさは抜群
コスト:無料クレジットを202消費
ただし、画面上では横スクロールが必要な表として表示されるため、見やすさには課題が残りますね…。
それでは、ここから実際に、Manusのアカウント登録から、実際に使える状態にするまでのステップを画像付きで解説します!
作業に入る前に、以下のものを準備してください。
Manusは現在、特別な招待なしで誰でも無料プラン(またはトライアル)から開始可能です!
※2025年12月現在の情報です
【今回使用した条件】
デバイス:Google Chromeブラウザ
プラン:無料プラン(Manus 1.5 Liteモデル使用)
ネットワーク:一般的なWi-Fi環境
まず、Manusの公式サイトにアクセスします。
トップページ右上のログインボタンをクリックすると登録画面が表示されます。今回は手軽なGoogleでログインをしましたが、もちろんその他の方法でのサインアップが可能です!
なお、メールアドレスで登録する場合は、アドレス入力後に届く認証コードの入力が必要となります。
AppleやGoogleアカウントとの連携確認画面が出たら使用するアカウントをクリックして進みます。
以上でManusのアカウント作成は完了です!
注意点:以前は招待制でしたが、現在はどなたでもすぐに利用可能です。ただし、電話番号認証(SMS認証)が求められる場合があるため、携帯電話を手元に用意しておきましょう。
ログインに成功すると、プラン選択画面に移ります。
今回はアカウント作成のみで利用可能な完全無料でManusを始めてみるため、右上の×マークをクリックしました。
なお、7日間無料利用プランの場合でも、事前にクレジットカードの登録は必須となるため注意が必要です。
また、左上から使用モデルを選択できます。
アカウント作成のみの無料版では1.5Liteのみ使用可能ですが、有料登録を行うと1.5通常モデルも使用可能です。
チャット入力画面にプロンプトを入力してManusに仕事を依頼しましょう。
ChatGPTなどに同じく、プロンプトの送信は右の矢印をクリックするだけでOKです!
ここからは、Manusの強みを活かせる2つの具体的なシナリオを検証した手順もお見せします!
Manusが初めての方でもすぐに実践できる検証内容であり、どちらも無料プランとブラウザだけで完結します。尚且つManusならではの強みが見えやすいパターンです!
まずは競合調査レポート作成を試してみましょう。大規模なリサーチが行えるWide Researchを利用するため、ホーム画面下部の「Wide Research」をクリックします。
Wide Researchの表示がされたことを確認したらプロンプトを入力し、送信します。
画面が切り替わります。同時にManusがリサーチを開始しました。
リサーチ中はどのような思考でどのようなデータを収集しているのかが表示されます。
具体的な資料やURLなどを支持していない状態ですが、どこまで深掘りしたデータをまとめてくれるのか期待です!
約11分後に回答が出そろいました!
表形式にまとめた上で短いレポートを依頼しましたが、5枚ほどのスライドを生成してくれたようです。11分もの時間を要したのはこのせいかもしれませんね。
中身を見てみましょう。
日本語も違和感なく、中華フォントなども使用されていませんでした。
とても短いプロンプトでしたが、比較し易い表までもを挿入してくれていますね!
カーソルを合わせると数値までも表示してくれるリッチな表です。
デザインもシンプルで解りやすく、このままプレゼンなどにも使用できると感じました。
なお、無料クレジットは今回247消費しました。
無料で使用したい場合、今回のように意図しないスライド生成などによるクレジット消費を抑えるためにも、プロンプトには注意が必要と言えます。
短いプロンプトだけで、ここまで作り込まれた比較スライドが出てきたのは正直かなり驚きでした。表やグラフも自動でレイアウトされ、日本語も違和感なく、そのままプレゼンで使えるレベルです。
一方で、処理時間は約11分、クレジットも247消費と、無料枠で「ちょっと試す」にはやや重い印象でした。「表+テキストで十分な場面では、スライドは不要」と最初に明示するなど、出力のゴール設計が大事です。
続けてFAQリストの自動生成を行います。今回は出力形式を定めました。
なお、Wide Researchなどモードを指定せずにこのまま送信してみます。
Wide Researchを指定した際と同じ思考画面になりました。前回はスライド生成により11分の時間を要しましたが、今回のプロンプトではどうなるでしょうか。
なお、赤枠の部分をクリックすることで、Manusのコンピューターがサイト内でどのようなリサーチを行っているのかライブ映像として確認できます。
画像右側がライブ映像です。これは大変興味深いですね…!
待つこと約5分。Markdownファイルが生成されました。
表の右側には指示通り、ヘルプサイトのリンクが記載されていますね!
なお、この表はこのままエクスポートや保存が可能です。二次利用がしやすいのは嬉しいポイントです!
ただ、指示通り表として生成してくれたものの、スクロールが必須の表のため、全てのデータを見比べることができません。その点は残念に感じました。
なお、残りクレジットは851となりました。つまりシナリオ2で202クレジット消費したこととなります。
シナリオ1は11分で5枚のスライド生成により247クレジットを消費しましたが、それと比較すると、表1枚だけで202はやや多く感じました。憶測ではありますが出力形式や出力の量よりも、Manusが裏側でどれだけサーチなどを行い動いたかにより、クレジット消費の量が決まるのかもしれません。
YoomのサイトをManusが実際にクリックしながら回遊しているライブ映像は、「AIが本当に画面を操作している」感があり、見ていてかなりワクワクしました。
約5分で生成されたMarkdownのFAQ表は内容が充実しており、各行に参照リンクも付いていて二次利用もしやすそうです。
ただ、表が横長でスクロール前提な点や、表1枚でも202クレジット消費した点は気になりました。実務で使うなら、列数や対象範囲をもう少し絞り込む工夫が必要です。
表形式+短いレポートでというざっくり指示に対し、5枚のスライド生成に約11分、クレジットも247も消費することに。内容そのものは日本語も自然でデザインもきれいですが、たたき台がほしいだけ用途だと明らかにオーバースペックでした。
無料枠で使うなら出力形式の制約をきっちり書くのが必須だと痛感しました。
FAQリストの自動生成では、最初の反省を生かして「出力は文章か箇条書きのみ。スライドは生成しないこと」と明記した結果、約5分かけてMarkdownファイルを生成する形に。
Yoomヘルプセンター全体をかなり丁寧に巡回してくれたおかげで内容は充実しているものの、「10個のFAQならもっとサクッと出てきてほしい」というのが正直なところでした。
軽めのタスクはChatモードで済ませる、重めはWide Researchに任せるなど、モードの使い分けを意識した方が良さそうです。
FAQ結果はちゃんと表形式で出力され、各行に参照URLも付いていて、二次利用のしやすさは高いと感じました!
ただ、実際の画面では横スクロール必須のワイドな表になっており、一覧でザッと比較したいというニーズには少し不向きです。
Manusは最後までやってくれる感が強い一方で、アウトプットをどう見せたいかは人間側で設計しておかないと、微妙に使い勝手の悪い形で仕上がることがある、というのが今回の学びでした。
Manusは「一問一答のチャットAI」というより、調査や画面操作をまとめて任せられる自律型のデジタルメンバーに近い存在です。
一方で、Wide Researchを多用したり、出力をリッチにしすぎると、時間やクレジットの消費が想定以上に大きくなることも分かりました。
そのため、まずは無料プランとLiteモデルで、今回紹介したような小さめのリサーチやFAQ叩き台づくりから試してみて、チームの業務フローのどこまでをManusに委ねるのかを見極めていくのが現実的なアプローチと言えそうです!
なお、業務自動化ツールのYoomでもManusのような「一気貫通タスクの自動化」が行えます。
例えば、独自の入力フォームを作成して社内からの問い合わせを集約したり、受信メールから氏名やメールアドレスなどの送信者情報を自動で抽出したり、といったことも簡単に自動化できます!
無料アカウント作成ですぐにはじめられるので、業務効率向上のためにも、ぜひご覧ください!
[Yoomとは]
【出典元】