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メールでの日程調整や定型的なメール文面の返信に時間を割かれていませんか?メール文面の作成は地味に時間がかかりますし、目上の人に送る場合などはより一層気を遣うもの。
またメール文面のたたき台をAIに作ってもらえるようになったものの、一から指示文を書かなければいけないなどなかなか業務効率化につながらないという課題を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、メール作成においてすぐに使えるあなた専用の「メール作成AI」をGPTsで作成してみます!この記事を読めば、誰でも簡単かつ安全に自分だけのメール業務アシスタントを作ることができます。それでは早速GPTsの作り方を学んでいきましょう。
GPTsとは、特定のタスクに特化した、あなただけのチャットボットを作成できるChatGPTの機能。通常のChatGPTが「あらゆる質問に答えてくれる博識な汎用アシスタント」だとすれば、GPTsは「『自社の営業メール作成』など、特定の業務だけを完璧にこなすために育てた、あなた専用の部下や専門家」のような存在です。
【従来手法との違い】
【利用上の重要事項】
GPTsを安全かつ効果的に利用するために、以下の点は必ず押さえておきましょう。
想定されるユースケース2点をもとにGPTsを実際に使ってみました。設定方法も載せているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ChatGPTのPlusプラン
モデル:ChatGPT5.2 Thinking
想定されるユースケース:顧客へのビジネスメールを簡単に生成する
想定されるユースケース:社内メンバーに対し、特定のトーン(例:効率的かつ丁寧)や必須のフォーマット(例:所要時間、スケジュール入力先リンクの記載)を守った会議日程調整メールを自動作成する。
・指定した出力テンプレートに従っているか
・実際に業務に使える出力となっているか
・パターンにない指示を出しても的を射た回答が返ってくるか
1.ChatGPTにログインし、左カラムにある「GPT」欄から「調べる」を選択します。
2.すると下記のような画面が表示されるため、右上の「作成する」を選択します。
3.GPTsを作成する方法は、ChatGPTと会話しながらGPTsを作る方法と指示プロンプトなどをあらかじめ入れてGPTsを作る方法の2つあります。今回は、ChatGPTと会話しながらGPTsを作る方法で作成します。
【会話しながらGPTsを作る画面】
まずは、「顧客へのビジネスメールを簡単に作成する」という目的のもと、以下の方法でGPTsを構築しました。
名前:定型的なメール返信GPTs
指示:
メール返信アシスタントとして、顧客に対するメール文を作成して下さい。下記3パターン以外の場合、ビジネスメール文を臨機応変に作成してください。
##パターン1 顧客に対してのリマインドメール
(パターン1の返信文)
お世話になっております。株式会社○○の▼▼と申します。
先日はお打ち合わせにてお時間をいただき、誠にありがとうございました。
お打ち合わせさせていただきました内容に関しまして、その後いかがでしょうか。
ぜひ貴社内でのご検討状況などお伺いできれば幸いです。
お忙しい所大変恐れ入ります、何卒よろしくお願いいたします。
##パターン2 顧客に対してのアポ取りメール
(パターン2の返信文)
お世話になっております。株式会社○○の▼▼と申します。
先日はお問い合わせをありがとうございました。
ぜひ、その件に関する資料をお持ちさせていただきたく、お伺いできればと存じます。
(30分ほどお時間を頂戴できますと幸いです)
つきましては大変恐れ入りますが、ご都合の良い日とお時間帯を、いくつかピックアップいただけませんでしょうか。
お忙しい所大変恐れ入ります、何卒よろしくお願いいたします。
##パターン3 顧客に対してのお時間くださいメール
(パターン3の返信文)
お世話になっております。株式会社○○の▼▼と申します。
メールありがとうございました。拝受いたしました。
頂戴した件につきまして、早急に確認してご連絡させていただきます。
恐れ入りますが、社内各所との調整が必要なため、今しばらくお時間を頂戴できますでしょうか。
確認次第、早急にご連絡させていただきたいと存じます。
恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
会話のきっかけは、下記いずれかのボタンを押すこと
・顧客に対してのリマインドメール
・顧客に対してのお時間くださいメール
・顧客に対してのアポ取りメール
知識:社内データなどを入れられる。今回は使っていない。
設定完了後、さっそく「会話のきっかけ」ボタンを押してテストを行いました。検証結果を以下の3つの観点で評価します。
判定:❌ 指示通りに出力されないケースが発生
テンプレートを一言一句そのまま出すように指示しましたが、一部のパターンではAIによる独自の解釈が強く働いてしまう結果となりました。 具体的には、「リマインドメール」のボタンを押した際、テンプレートにはない「お支払いのリマインドについて」という件名の請求督促メールが出力されてしまうなどAIの独自の解釈が入ってしまいます。
一方で、特に厳密に指定していなかったメール末尾の署名欄については、文脈に合わせて適切な形式で自動生成されるという柔軟さも見られました。
判定:🔺 そのまま送信するにはリスクがあり、手直しが必須
生成された文章は日本語として自然ではあるものの、ビジネスの文脈(シチュエーション)がズレているため、そのままでは使えないものが目立つ印象です。 例えば「お時間くださいメール」を生成させたところ、「突然のご連絡をお許しください」から始まる、まるで新規営業のような他人行儀な書き出しになってしまいました。
本来は「既存のやり取りへの返信」として少し待ってほしいという意図でしたが、AIにはそれが伝わっておらず、実務で使うには大幅なリライトが必要という結果になりました。
判定:⭕️ 想定以上に高品質な回答
逆に、事前に登録していない「顧客への謝罪メール」という指示をアドリブで出してみたところ、こちらは非常に的確な回答が返ってきました。 状況説明から謝罪、今後の対策まで網羅された構成で、「まあまあ使える(手直しが少なくて済む)」レベルの合格点と言えます。型が決まっているものよりも、ゼロから生成させるタスクの方が、今のChatGPTの強みを活かせるのかもしれません。
名前:社内で使う日程調整メールGPTs
説明:社内で使う日程調整メールを作成する
指示:
あなたは社内調整アシスタントです。
ユーザーからの要望に応じて、以下の【行動指針】に従い、メール文を出力してください。
# 行動指針
1. パターン1, 2, 3 のいずれかが指定された場合
- 下記の【定型文リスト】から該当する文章を一言一句変えず、そのまま出力してください。
- 挨拶の追加や、語尾の修正、敬語の変換は一切行わないでください。
2. 上記以外の依頼の場合(パターン指定がない場合)
- 社内メンバー向けの簡潔かつ明確なビジネスメールを新規に作成してください。
- 重要: 社内メールのため、「お世話になっております」等の社外向けの挨拶は禁止です。「お疲れ様です」から始めてください。
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【定型文リスト】
## パターン1 日程候補提示のメールを送りたい場合
お疲れ様です。●●部の▼▼です。
標記の件につきまして、打ち合わせの時間をいただきたくご連絡いたしました。
つきましては、以下の日程候補よりご都合の良い日時をご教示いただけますでしょうか。
(所要時間は30分~1時間を予定しております)
<候補日>
・〇月〇日(曜) 00:00~00:00
・〇月〇日(曜) 00:00~00:00
・〇月〇日(曜) 00:00~00:00
お忙しいところ恐れ入りますが、〇月〇日までにご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
## パターン2 日程確定の連絡をしたい場合
お疲れ様です。●●部の▼▼です。
日程調整にご協力いただき、ありがとうございました。
標記の件につきまして、皆様のご都合が合いましたので、以下の日時で実施いたします。
<日時>
〇月〇日(曜) 00:00~00:00
<場所>
会議室A(またはZoom URLなど)
<議題>
・●●について
・××の共有
当日は何卒よろしくお願いいたします。
## パターン3 日程変更・リスケの連絡をしたい場合
お疲れ様です。●●部の▼▼です。
〇月〇日に予定しておりました標記のミーティングですが、
急な業務都合により(または具体的な理由)、実施が難しくなってしまいました。
直前のご連絡となり、大変申し訳ございません。
つきましては、改めて別の日程で再調整させていただきたく存じます。
以下の候補日より、再度ご都合の良い日時をご教示いただけますでしょうか。
<再調整候補日>
・〇月〇日(曜) 00:00~00:00
・〇月〇日(曜) 00:00~00:00
お手数をおかけしてしまい恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
会話のきっかけ:
## パターン1 日程候補提示のメールを送りたい場合
## パターン2 日程確定の連絡をしたい場合
## パターン3 日程変更・リスケの連絡をしたい場合
知識:社内データなどを入れられる。今回は使っていない。
判定:❌ 指示通りに出力されないケースが発生
こちらも検証1回目と同じく、「一言一句変えず」という強い指示をもってしてもテンプレ通りには出力されませんでした。これは、常に新しい言葉を紡ぎ出そうとするGPTsの根本的な特性によるものと考えられます。
判定:🔺 社内用のため、少しの手直しで良さそう
こちらは大いに評価できる結果となりました。指示文を微調整したことで、「ビジネスライクな表現」や「少し柔らかな表現」など、TPOに合わせた使い分けが可能になりました。また定型文の縛りから解き放たれた結果、むしろ実務での利用シーンに即した柔軟で使い勝手の良いツールに仕上がっています。
判定:⭕️ 想定以上に高品質な回答
あえてパターン外の「上司にとある件についてお伺いを立てたい」という指示を出してみたところ、文脈を捉えた的確な文面が返ってきました。想定外のシチュエーションでも意図を汲み取って形にしてくれるため、臨機応変な対応力は十分に備わっていると言えます。
今回の検証で、GPTsを思い通りに動かすためには文脈(コンテキスト)の明文化が重要だと分かりました。単にテンプレートを貼るだけでなく、「どのような状況で送るメールなのか」まで指示に含めないと、AIは勝手なシチュエーション(請求督促など)を捏造してしまいます。
またこれまでの検証を通して言えるのは、カスタムGPTsは「そのままコピペで送信完了」を目指すツールではなく、「7〜8割の完成度の下書きを瞬時に作るツール」として優秀だということ。生成された文章は多少の手直しが必要ですが、ゼロから文面を考える時間は確実に削減できます。ぜひ業務効率化の一助として活用してみてくださいね!
様々なツールを組み合わせて業務を自動化できるYoom。このYoomとChatGPTを組み合わせることで、より効率的に業務を進められます。
以下の「テンプレート」をコピーするだけで、簡単にChatGPTと複数のツールを組み合わせて自動化が可能です。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!