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AIを軸に働き方が変化する中で、新しいアプリやエージェントを活用した業務フローが次々と登場しています。
特に業務標準化のためのマニュアル作成は、多くの企業で避けて通れないタスクです。
しかし、ツールのアップデート頻度が高まる昨今、人の手による作成・更新作業は大きな負担になっています。
そうした課題の解決方法の1つとして、生成AIであるMicrosoft Copilotの導入が挙げられます。
本記事では、Microsoft Copilotを活用することでマニュアル作成を本当に効率化できるのかを検証します。
実際に作成してみてわかったMicrosoft Copilotの限界と対策もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
しかし、完璧にタスクを実行できるわけではなく、あくまでもアシスタントという位置づけになるため、利用する際には注意すべきこともあります。
ここでは、マニュアル作成をする前に知っておくべきポイントを一覧でご紹介します。
業務マニュアルに社内の独自ルールや機密情報が含まれる場合は、入力したデータがAIの学習に使われない設定(商用データ保護)が必要です。
Microsoft Copilotは優秀なアシスタントですが、ゼロからすべての情報を生み出すことはできません。
「マニュアルを作って」と丸投げするのではなく、「人間が素材を与え、AIが構成・執筆する」という役割分担が重要です。
既存の資料(仕様書、メモ、過去の議事録など)を読み込ませることで、ハルシネーション(もっともらしい嘘)を防ぎ、実態に即したマニュアルを作成させることができます。
複数のSaaSやAIツールを連携して業務を自動化できる「Yoom」では、日々蓄積される業務データをもとに、AIでマニュアル案を自動生成することも可能です。
たとえば、Notionに追加された業務データやMicrosoft Teamsの投稿内容を起点に、AIがマニュアルのたたき台を作成し、Google スプレッドシートやMicrosoft Excelに整理して蓄積できます。属人化しやすいマニュアル作成を、日常業務の流れの中で自然に自動化できる点が大きな特長です。下記の自動化テンプレートを活用すれば、マニュアル作成・更新の手間を大幅に削減できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
今回の検証では、実際の業務シーンを想定して、初心者ライター向けの執筆マニュアルの作成と、ツールの設定マニュアルの作成を行いました。
アカウント:Microsoft Copilot 無料版(Smart、Think Deeper、学習と勉強モードの比較)
【検証2】
アカウント:Microsoft 365 Business Basic(+Copilotアドオンライセンス)
検証1:Yoomで公開されている3つの記事をもとに執筆マニュアルを作成
参照元にした記事は以下の3つです。
検証ポイント
検証2:Yoomを使いDiscordで受信したファイルをOneDriveに自動保存する設定のマニュアル作成
検証ポイント
それぞれの検証を行った手順をご紹介します。
【検証1】
1.Microsoft Copilotにログイン・モデルを選択
今回は、Smart、Think Deeper、学習と勉強モードで評価を行っています。
「+」マークをクリックすると、ファイルを添付することも可能です。
3.プロンプトを入力して送信
マニュアルを作成するためのプロンプトを入力して送信します。
【検証プロンプト】
あなたはWebメディアの編集長です。
以下のURLにある記事を素材として、初心者ライター向けの「記事執筆マニュアル」を作成してください。
記事の構成や文章のトーン&マナーの重要ポイントを抜き出し、執筆後に使えるチェックリスト形式を含めて構造化してください。 URL:
https://lp.yoom.fun/blog-posts/zoho-crm-api-application-integration-case-study-no-programming
https://lp.yoom.fun/blog-posts/intercom-api-application-integration-case-study-no-programming
https://lp.yoom.fun/blog-posts/microsoft-onedrive-api-application-integration-case-study-no-programming
【検証2】
1.アカウントにサインイン・新規チャットを開く
サインインするとチャット画面が開きます。
3.画像を添付
「+」マークをクリックして、マニュアルに使う画像を添付します。
4.プロンプトを入力して送信
マニュアルを作成するためのプロンプトを入力して送信します。
【検証プロンプト】
あなたは社内ITツールの導入担当者です。以下の設定情報と添付画像(設定画面)を素材として、Yoomを使ってDiscordとOneDriveを連携してファイルを自動保存する設定の手順マニュアルを作成してください。
ターゲットはITスキルが高くない社員とし、専門用語を使わず平易な言葉で説明してください。
構成はステップ形式で番号付きリストにし、各手順の最後には必ず[ここに設定画面のスクリーンショットを貼る]というプレースホルダーを挿入してください。
手順は以下の通りです。前提:
- Discordのトリガーアクション設定(トリガーアクションは「チャンネルでメッセージが送信されたら」。トリガーの起動間隔をプルダウンから設定し、サーバーID、チャンネルIDを候補から設定が必要)
- Discordのオペレーション設定(アクションは「メッセージ内のファイルをダウンロードする」。ファイルURLを取得した値から設定)
- OneDriveのオペレーション設定(アクションは「ファイルをアップロード」。ドライブIDを候補から選択。格納先フォルダ名を入力。格納先フォルダのアイテムIDを候補から選択。ファイル名を取得した値から選択。ファイルの添付方法をプルダウンから選択。)
- 作成したフローボットのトリガーをONにする
- DiscordとOneDriveがYoomとマイアプリ連携が完了していること
Web上の記事を読み込ませ、3つの会話モード(Smart、Think Deeper、学習と勉強)でマニュアル作成の精度を比較しました。
作成されたマニュアルは、それぞれ以下になります。
【Smart】
※出力が長いため一部を省いています。
【Think Deeper】
【学習と勉強】
作成されたマニュアルを、検証ポイントごとに比較すると以下になります。
プロンプトで指示した「記事構成」「トーン&マナー」「チェックリスト」といった基本要件は、全てのモードでマニュアル内にしっかりと反映されていました。
生成AIを利用する際、指示内容の一部が無視されてしまう「指示漏れ」が実務上の課題になることが多々あります。
しかし、今回のように明確な構成指示を与えれば、どの会話モードを選んでも土台となる構造は忠実に再現してくれることが実証されました。
特に「チェックリスト形式を含めて」という構造化の指示に対し、すべてのモードで漏れなく対応できた点は高く評価できます。
この結果から、Microsoft Copilotは、マニュアルの骨組み(ドラフト)を作成するツールとして、一定以上の信頼性があると言えます。
他の2つのモードが指示内容を機械的かつ簡潔に出力するにとどまったのに対し、Smartモードだけは、プロンプトで明示していなかった「記事の目的と読者像」や「禁止事項」といった、初心者が作業する際に指針となる情報を自律的に追加していました。
Think Deeperや学習と勉強モードのアウトプットは、内容は正しいものの情報量が少なすぎて、実務経験のない初心者がこれだけを見て作業するのは困難です。
現場で使える「親切なマニュアル」を目指すなら、文脈を読み取り、行間を補う能力が高いSmartモードを利用するのが正解です。
検証では「参照元の記事と同じ見出し構成にする」ことを期待しましたが、どのモードもAI独自の解釈で構成を要約・再構築して出力しました。
その中でもSmartモードは構成ミスが1箇所のみで最も原文に近い形でしたが、Think Deeperモードに至っては導入とまとめ以外すべて異なる構成になってしまいました。
AIは「情報をコピーする」よりも「情報を要約して最適化する」動きを優先する傾向があります。
そのため、既存の優れた記事の構成要素をそのまま抽出してマニュアル化したい場合でも、AIに任せきりにせず、出力されたものをベースに人間が修正・加筆する工程は必須となります。
次に、Microsoft 365 Copilotを使用し、Yoomの設定手順を画像付きマニュアルにする検証を行いました。
作成されたマニュアルは以下になります。
作成されたマニュアルを検証ポイントで評価すると、以下になります。
検証の結果、ターゲット(ITスキルが高くない社員)に対する配慮不足が浮き彫りになりました。
「専門用語を使わず平易な言葉で」と指示したにもかかわらず、マニュアル内には「マイアプリ」や「トリガーの起動間隔」といったYoom特有の専門用語が、解説なしでそのまま使用されていました。
Microsoft CopilotはWeb検索に強いため、Yoomのヘルプページを参照して用語解説を補足することを期待しましたが、自発的な補足は行われませんでした。
「平易な言葉」という指示は主観的であり、AIにとって判断が難しい領域です。
ITリテラシーが高くない層に向けたマニュアルを作る場合は、AIの解釈に委ねるのではなく、「『マイアプリ』や『トリガー』という単語には必ず注釈を入れて」や「冒頭に用語集を作成して」といった、具体的なアクションまで落とし込んだ指示出しが必要不可欠です。
今回の検証でも、「構成はステップ形式で番号付きリストにする」「各手順の最後に[ここに設定画面のスクリーンショットを貼る]というプレースホルダーを入れる」という構造に関する具体的な指示は、100%正確に実行されました。
前述の専門用語の件と比較すると明確ですが、「平易な言葉で」という曖昧な指示は無視されやすく、「リスト形式で」「プレースホルダーを入れて」というルールベースの明確な指示は遵守されます。
マニュアル作成を成功させる鍵は、AIに「どう書けばいいか」を考えさせるのではなく、「どのような形式で出力するか」を解釈の余地がないほど具体的かつ構造的なプロンプトで定義できるかにかかっています。
検証用素材として8枚の画像を提供し、初心者向けの手順書作成を依頼したにもかかわらず、Microsoft Copilotが用意した画像挿入箇所はわずか4箇所でした。
通常、初心者向けマニュアルであれば、操作画面の画像は多ければ多いほど親切であり、提供された画像はすべて使うのが理想的です。
しかし、Microsoft Copilotは「画像を貼る場所を作る」という指示は守りましたが、「初心者が迷わないように画像をふんだんに使う」という文脈上の意図までは汲み取れませんでした。
AIは「気の利いた判断」を人間と同じようにできるレベルには、まだ達していません。
画像の枚数や配置頻度についても、「各設定ごとに必ず画像を配置する」といった強制力のある指示を人間側で工夫する必要があります。
Microsoft Copilotを使ったマニュアル作成の検証から、以下のことが明らかになりました。
検証の結果、Microsoft Copilotは「ゼロからマニュアルを全自動で作る魔法の杖」ではありませんが、「構成案と下書きを爆速で作ってくれる優秀なアシスタント」であることは間違いありません。
特に、白紙の状態からドラフト(たたき台)を作成する時間を大幅に短縮できる点は、多忙な担当者にとって強力な武器になります。
本記事では、マニュアル作成を効率化する方法としてMicrosoft Copilotをご紹介しました。
【出典】
Microsoft Copilot/Microsoft Copilotの会話モード/Microsoft 365 Copilot