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「質の高いプレゼン資料を作りたいが、構成を練ってデザインを整えるのに何時間もかかる」
「AIでスライドを作っても、結局手直しばかりで余計に時間がかかる」
B2B SaaS企業のマーケティング担当者や、商談資料を日々作成する方は、このような悩みがありませんか?
本記事では、Claude(クロード)を活用したプレゼン資料の作成方法をご紹介します。
Claudeを活用すれば、プレゼン資料自体を作成することも可能です。
設定方法から役立つ機能、実際に使ってみてわかったポイントまで解説するので、参考にしてみてください。
本記事は、以下のような方におすすめです。
Claudeは、Anthropic社が開発した、人間のような自然な文章生成と高度な論理的推論を得意とするAIアシスタントです。
複雑な指示を理解する能力(推論力)が高いため、文章を作成・編集するだけでなく、人と同じように自律的に作業プロセスを考えて実行することもできます。
そんなClaudeをプレゼン資料で使うなら、以下の機能を押さえておきましょう。
Claudeを活用したプレゼン資料作成では、主に以下の3つのことが実現できます。
通常のチャットとの対話やリサーチ機能を利用することで、プレゼンの成否を分ける「構成案」の作成を効率化できます。
自社製品の概要やターゲット属性を入力するだけで、聞き手の課題に寄り添ったストーリー構成や、各スライドで伝えるべきキーメッセージなどを提案可能です。
B2Bマーケティングで重要な、論理的で説得力のある骨子を短時間で構築できるだけでなく、競合比較や導入メリットの訴求ポイントまで深掘りすることもできます。
リサーチ段階からClaudeを思考のパートナーとして活用することで、資料の「質」そのものを底上げできます。
従来のAIは「構成案の作成」までが限界でしたが、Claudeはチャット上でプログラムを実行することで、実際のパワーポイント形式(.pptx)のファイルを直接生成できます。
構成が決まった後、「この内容でスライドファイルを作成して」と指示するだけで、テキストが流し込まれ、整理されたデザインのファイルが作成されます。
もう、AIが出力したテキストを1枚ずつスライドにコピー&ペーストする必要はありません。
もし自社のテンプレートがあれば、それに合わせて資料を作成することもできるため、実務レベルの資料作成スピードが飛躍的に向上します。
複雑なB2Bの仕組みや業務フローを、視覚的に分かりやすい「図解」として書き出せます。
特に強力なのがSVG形式での出力です。
Claudeに図解のイメージを伝えると、アーティファクト機能を通じてクオリティの高いベクター画像が生成されます。
SVG形式は拡大しても画像が粗くならず、パワーポイント上で色や形の微調整も可能なため、デザインの柔軟性が極めて高いのが特徴です。
概念図やフローチャートをゼロから描く手間を省き、プロフェッショナルな印象を与えるスライドを直感的な操作で仕上げることができます。
ここでは、Claudeでプレゼン資料を作成するための具体的な使い方を解説します。
1.アカウントにログイン
2. 各機能をオンにする
Claudeの設定を開き、機能から必ず「アーティファクト」と「コード実行とファイル作成」のトグルをオンにしてください。
3.モデルを選択
入力画面の右下からモデルを選択します。
4.ファイルの添付と機能の設定
「+」マークをクリックし、「ファイルまたは写真を追加」から作成する資料や画像に使うファイルを添付します。
また、「ウェブ検索」を選択すると、ウェブ上を調査して最新の情報を調査することも可能です。
本格的な調査を行いたいときは、「リサーチ」を選択します。
また、入力欄の時計マークを選択すると、「じっくり考える」機能をオンにできます。
この機能を使うと、Claudeが指示を実行する際に複数のプロセスを検証できるため、時間はかかりますが、回答の精度向上に繋がります。
5.プロンプトを入力して送信
ファイルや画像を作成するためのプロンプトを入力して送信すれば、結果が自動で出力されます。
ここからは、実際にClaudeでできるプレゼン資料の作成を2パターン、画像付きでご紹介します。
それぞれの使用方法を試してみてわかったポイントも解説していきます。
まずは、最も手間のかかる「構成案の作成からスライド化」までの一連の流れです。
【検証条件】
使用モデル: Sonnet 4.5 / Opus 4.5(Claude Proプラン)
利用機能:アーティファクト/コード実行とファイル作成/ウェブ検索/じっくり考える
検証内容: AI画像生成ツール3社の比較調査結果をもとに、社内会議でそのまま配布できる叩き台資料を作成(Sonnet 4.5とOpus 4.5の性能比較)
添付ファイル:事前に、ClaudeでAI画像生成ツール3社の比較調査結果(テキストデータ)を作成しておきました。
※長いため一部を掲載しています。
検証ポイント:
検証プロンプト:
AI画像生成ツール3社の比較リサーチ結果をもとに、社内報告用のパワーポイント資料(.pptx)を直接作成してください。
構成は表紙、目次、3社の料金表比較表、3社の機能比較表、3社それぞれの強みと弱み、導入の結論の全8枚としてください。
コンサルタントのような論理的な構成を意識してください。
データ内の誤字脱字や表記ゆれは、正式な情報に修正してスライドに反映してください。
上記の条件で出力された結果は以下の通りです。
【Sonnet 4.5】
チャット上の出力結果
パワーポイント上の出力結果
【Opus 4.5】
チャット上の出力結果
パワーポイント上の出力結果
出力結果を、検証ポイントで比較すると、以下になります。
これまで構成を練り、スライドに落とし込む作業に数時間費やしていたものが、データを渡すだけで約15分後には「使える叩き台」として完成しました。
これは劇的な業務効率化と言えます。
ただし、8ページ程度の資料でも生成には15分ほど要します。
人間が操作する必要がないため、その間はメール返信や別の企画業務を進められる「バックグラウンド処理」として活用するのがおすすめです。
特筆すべきは、今回の検証ではハルシネーション(嘘の情報の生成)がなかった点です。
両モデルとも提供した資料の数値や機能を正確に反映し、さらに元のデータにあった誤字や表記ゆれも自動で修正していました。
勝手な書き換えが起きるとチェック工数が跳ね上がりますが、今回の検証でClaudeの高い忠実性が証明されました。
もちろん目視チェックは必須ですが、最高モデルのOpusはもちろん、Sonnetでも指示を完璧に順守しており、安心して任せられるレベルです。
この機能を使えば、資料作成のスキルに依存せず、誰でも一定レベルの資料を作成できるようになります。
「新人に任せた資料の手直しに時間がかかる」「デザインが苦手で時間がかかる」といった課題は過去のものとなります。
デザイン崩れについても、Sonnetで9箇所発生しましたが、いずれもすぐに修正できる軽微なもので数分で完了しました。
こうした結果からSonnetでも十分に資料作成が可能ですが、Opusに至っては崩れゼロという驚異的な結果を出したため、ここぞという重要資料ではOpusを選択するのが賢明です。
2.比較マトリクス図を作成
次に、自社のテンプレートのデザインに合わせた説得力を高める「図解」の作成です。
【検証条件】
使用モデル: Sonnet 4.5 / Opus 4.5(Claude Proプラン)
利用機能:アーティファクト/コード実行とファイル作成/じっくり考える
検証内容: AI画像生成ツール3社の比較調査結果を、視覚的に分かりやすく整理した図解を作成し、自社のプレゼン用デザインに合わせて調整する(Sonnet 4.5とOpus 4.5の性能比較)
添付ファイル:1つ目と同じAI画像生成ツール3社の比較調査結果とYoomの会社紹介ページのスライドを添付しました。
検証ポイント:
検証プロンプト:
添付した画像生成AI3社の内容を視覚的に整理した比較マトリクス図をSVG形式で作成してください。
Artifacts機能を使用して画面右側にプレビューを表示してください。
各社のブランドイメージに合わせた配色を使用し、添付した自社のプレゼン資料に合うデザインにしてください。
【Sonnet 4.5】
【Opus 4.5】
図解作成においては、各ポイントを比較すると以下になります。
Sonnetはデザイン崩れがなく綺麗な図解を作成しましたが、指示した「自社のプレゼン資料のデザイン」との一貫性は見られませんでした。
一方、Opusは下部に軽微な崩れがあったものの、指定した自社テンプレートのデザインを的確に捉えていました。
「既存のデザインに合わせる」という複雑な文脈理解が求められるタスクでは、Opusが無難な選択肢となります。
ただし、デザインの崩れ自体は発生することがあるため、目視チェックは必須です。
SVG形式での出力は、パワーポイント上で拡大しても画質が荒れないため、非常に実用的です。
また、もしデザインが崩れていても、Claudeなら「下の枠線がずれているから直して」とチャットで指示するだけで修正できます。
ただ、今回のような枠から文字がはみ出る程度の崩れであれば、パワーポイントにSVGファイルを貼り付けて、「グラフィックス」タブの「図形に変換」を選択すれば個別要素を調整できるので、手作業でも大きな負担にはなりません。
それでも、チャットに指示するだけでデザインを作成・修正できることは、自分自身で1から作成する手間と比較すれば、圧倒的に楽に作業が完結します。
どちらのモデルでも、作成に約2分という時間がかかりました。
自分でゼロから図解を作成するよりは圧倒的に速いですが、AIの即答性に慣れていると「じれったい」と感じてしまいます。
しかし、デザインの知識がなく、プレゼン資料の作成に慣れていなくてもプロフェッショナルな品質のベクター画像が2分で手に入ると考えれば、十分許容範囲と言えます。
そのため、プレゼン資料の作成に慣れている方よりも、経験が浅い方ほど作業の効率化が可能です。
今回はClaudeを活用したプレゼン資料作成について、設定方法から実務での検証結果まで解説しました。
検証からわかった、モデルごとの使い分けの目安は以下の通りです。
ただし、Opusは利用頻度が高いと制限にかかりやすくなるため、運用しながらSonnetでできる範囲を最大限に広げることも、コスト効率の観点で重要になるので忘れないでくださいね。
Claudeは単なる文章作成ツールではなく、リサーチから資料のドラフト作成、図解のデザインまで一貫して任せられる強力なパートナーです。
特に「バックグラウンドで作業させ、その間に人が別の仕事をする」というスタイルは、多忙なB2Bマーケターにとって大きな武器になります。
最後に、本メディアを運営する「Yoom」を活用して、このフローをさらに効率化する方法をご提案します。
Claudeで資料作成は楽になりますが、「データの収集」や「ファイルの保存・共有」といった前後の作業は依然として手作業が残ります。
Yoomを使えば、ノーコードでAIとSaaSツールを連携できるため、Google スプレッドシートなどに顧客情報を登録すれば、Claudeでリサーチを行い、結果を自動で更新することも可能です。
Claudeを使ったさまざまな業務を自動化できるので、気になる方はぜひ試してみてくださいね!
[Yoomとは]
【出典】
Claudeでファイルを作成・編集する/アーティファクト/プロジェクト/Claudeに関する研究の使用/Claude(クロード) 日本語無料版/拡張思考の使用/Claude モデル概要/Claude プラン