・
市場調査や競合分析は、マーケティングや営業活動において不可欠ですが、膨大な時間がかかる業務です。
「複数のタブを開いて情報を探し回る」「情報を整理してレポートにまとめる」といった作業に、多くのリソースを割かれていませんか?
本記事では、Anthropic社が提供するClaude(クロード)を使って、実際に市場調査で使えるかを検証していきます。
営業の競合調査から、マーケティングの市場分析まで、Claudeがどれくらい使えるのかを評価するので、ぜひ参考にしてみてください。
Claudeは、Anthropic社が開発した大規模言語モデル(LLM)です。
人間らしく自然な日本語を生成する能力や、長文処理能力に定評があります。
市場調査において特に重要なのが、以下のポイントです。
こうした特徴を持つClaudeは、単なる検索ツールではなく、情報を自律的に調査して整理する機能を兼ね備えた、強力なビジネスパートナーと言えます。
今回の検証では、営業現場で頻繁に発生する「競合調査」と、新規事業立案に欠かせない「市場トレンド分析」の2つのシナリオを用意しました。
今回の検証における具体的なタスクと、評価の基準となるポイントは以下の通りです。
検証1:競合調査
内容: 国内主要CRM/SFAツール(Salesforce、HubSpot、kintone)の機能アップデート、最新料金、導入傾向を調査し、営業資料用の比較表を作成する。
検証ポイント
検証2:市場調査と分析
内容: 2024〜2025年の国内フィットネス業界における市場トレンド、技術動向、法規制の変化を調査し、PEST分析レポートを作成する。
検証ポイント
検証には、以下のAIモデルを使用しています。
Claudeのモデルごとの能力差と、他社生成AI(Gemini)との比較を行います。
検証1:競合調査(モデル間比較)
検証2:市場調査と分析(他社ツール比較)
【Claude】
※検証1と2共通
1.アカウントにログイン
入力欄の右下からモデルを選択できます。
「じっくり考える」(時計マーク)は、オンになっているため、「ツール」マークを開き、「ウェブ検索」「リサーチ」もオンにしました。
設定が完了したらプロンプトを入力して送信します。
今回は、以下のプロンプトを入力しました。
検証1用プロンプト
国内の主要なCRM / SFAツール(Salesforce、HubSpot、kintone)について、2025年10月~12月で行われた最新の機能アップデート、2025年12月時点の最新の料金プラン、導入企業の傾向を調査し、営業資料として使える比較表を作成してください。
検証2用プロンプト
2024年から2025年にかけての国内フィットネス業界における市場トレンド、技術動向、関連する法規制の変化について詳細に調査し、PEST分析のフレームワークを用いてレポートを作成してください。
【Gemini】
1.アカウントにログイン
2.モデルを選択
入力欄の右下からモデルを選択します。
3.機能の選択
Claudeの「リサーチ」機能にあたる、「Deep Research」を選択しました。
ファイルを追加する場合は、「+」マークから追加できます。
また、参照するソースをGoogle 検索以外も選択可能です。
今回は、Google 検索のみにしています。
4.プロンプトを入力して作成開始
Claudeと同じプロンプトを入力して作成を開始します。
GeminiのDeep Researchは、プロセスを送信すると以下の画面が表示されます。
リサーチプロセスを変更する場合は、「計画を編集」から調整可能です。
今回は、このまま「リサーチを開始」を選択しました。
まずは、Claude内でのモデル比較です。
「Sonnet 4.5」と「Opus 4.5」で、競合他社の最新情報をどこまで正確に拾えるかを検証しました。
出力された結果が以下になります。
※出力が長いため、一部を掲載します。
【Sonnet 4.5】
※アーティファクト機能により、チャットの右側にウィンドウが現れ、そこに結果が表示されます。
【Opus 4.5】
両モデルで生成されたレポートの品質と精度を、3つの検証ポイントをもとに比較した結果は、以下の通りです。
最も大きな違いが現れたのは「料金プランの正確性」です。
Sonnet 4.5は半数以上の項目でミスが発生し、特にSalesforceとHubSpotに関しては価格改定前の古いデータを参照していました。
一方、Opus 4.5は引用元に古い情報が掲載されているURLが含まれていたものの、レポートに出力された数値自体は正確でした。
見積もりや提案書に直結する「数字」を扱う調査において、Sonnet 4.5の精度には不安が残ります。
公式サイトの情報を確実に拾うようプロンプトで厳密に指示するか、より賢いモデルであるOpusを選択することをおすすめします。
プロンプトで指定した「2025年10月〜12月」という期間指定に対し、Opus 4.5はほぼ忠実に2025年後半の情報を収集しました。
対してSonnet 4.5は、2024年12月の情報を掲載するなど、情報の鮮度判断において指示からのズレが見られました。
「いつ」の情報を求めているのかという時間軸の指定は、市場調査において極めて重要です。
この点において、複雑な指示を正確に理解し実行する能力は、Opus 4.5に軍配が上がります。
調査時間はOpus 4.5の方が約2分長くかかりました。
しかし、Sonnet 4.5が出した誤情報を人間が裏取りして修正する手間を考えれば、このタイムロスは誤差の範囲です。
むしろ、正確性が求められる調査では、時間をかけてでもOpusを利用する価値があります。
ただし、Opusは利用回数の制限が厳しいため、すべてのタスクで使うのは現実的ではありません。
簡単な要約といったタスクはSonnet、正確性が命の調査はOpusといった使い分けが重要になります。
また、リサーチを多用する環境では、有料プランであるProプランでも制限がかかりやすいため、より上位のプランへの加入をおすすめします。
そのため、市場調査でClaudeを使う場合、コスト効率を検討することも重要です。
次に、Claude(Opus 4.5)とGoogleのGemini(Gemini 3 Pro)を使って、より広範囲な市場調査と分析能力を比較しました。
出力された結果が以下になります。
※出力が長いため、一部を掲載します。
【Claude】
フィットネス業界のPEST分析を作成し、3つの検証ポイントを比較した結果は以下の通りです。
調査時間は両者とも約9分で、人間が手作業で行う場合に比べて圧倒的な効率化を実現しています。
情報の参照先も、信用調査会社、B2Bメディア、公式サイト、noteなど多岐にわたり、複数の情報源を統合できています。
ただし、noteのような個人メディアも参照情報に含まれてしまうため、公的機関や特定のデータソースに絞りたい場合は、プロンプトでの詳細な指示が不可欠です。
また、情報の統合で特筆すべきは、Geminiの参照リンク数の多さです。
Claudeの約3倍にあたる37件のソースを提示し、見出しごとに文献が整理されていました。
情報の裏取り(ファクトチェック)のしやすさという観点では、Geminiが優れています。
PEST分析の精度自体は、両者とも調査データに基づいた多角的な視点を提供しており、十分に実用的です。
どの分野も同じ情報量があり、特定の分野だけ内容が薄いといった偏りもありませんでした。
こうした分析結果から、ClaudeもGeminiも市場環境を理解するためのパートナーとして申し分ありません。
違いが出たのはアウトプットの「プラスアルファ」です。
Claudeはあくまで情報の整理と分析に留まりましたが、Geminiは分析結果に基づき「参入時のアイデア」まで提案しました。
単なる調査員ではなく、コンサルタントのような動きを期待する場合、Geminiの方がより実用的なエージェントとして機能します。
Claudeは自然な日本語文章の作成や、アーティファクトによる視覚的な整理が得意であり、市場調査において非常に優秀です。
一方で、より多くの情報源を統合してレポートの品質を強化したい場合や、分析から一歩踏み込んだ提案が欲しい場合はGeminiが適しています。
「綺麗なレポートを仕上げるClaude」と「情報統合と提案で力を貸してくれるGemini」という特性を理解し、目的に応じて使い分けるのが最適解です。
今回の検証を通して、Claudeは市場調査の工数を削減する強力なツールであることが確認できました。
しかし、万能ではなく、モデルの特性や他社ツールとの違いを理解して使うことが成功のポイントです。
検証結果から得られた知見をあらためて整理すると、以下のようになります。
まずは、現在手作業で行っている「競合の価格調査」や「業界ニュースのまとめ」から、Claude(Opus)に任せてみてください。
空いた時間を、より戦略的な思考に使えるようになるはずです。
また、こうした市場調査だけでなく、Claudeを使った他の業務の効率化に興味がある方には、Yoomもおすすめです。
Claudeとさまざまなツールをノーコードで連携できるため、簡単に業務フローを自動化できます。
今使っているツール同士を連携して、更なる効率化を図りましょう。
【出典】
アーティファクト/拡張思考/リサーチ/ウェブ検索/Claude モデル概要/Claude プラン/Gemini プラン/Gemini モデル