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ChatGPTのDeep Researchは、単なる情報検索を超え、AIが自律的に複数サイトを調査・分析し、出典付きの包括的なレポートを生成する機能です。
これまでは、新規事業やマーケティング戦略の立案において、「複数サイトからの情報収集・統合に1テーマあたり10時間」「リサーチ作業にかかる工数が月間40時間以上」という会社も珍しくはありませんでした。
Deep Researchは、膨大なリサーチ工数を削減する可能性を秘めています。
本記事でご紹介する手順に沿ってDeep Researchを活用すれば、これまで競合調査や市場分析に費やしていた時間を、戦略立案などのコア業務に充てることができます。
スクリーンショットを多用しながら一つ一つの手順を丁寧に解説するので、参考にしてみてくださいね。
✍️前提情報
本格的な使い方ガイドに入る前に、Deep Researchの基本的な情報と、利用前の準備について確認しておきましょう本記事の想定読者
ChatGPTのDeep Researchとは?
Deep Researchは、AIが自ら考えてアクションを起こせる自律型エージェントです。
ChatGPTを使った通常のチャットでは、AIが自身に保存されたデータの中から回答を返信します。
質問すると、すぐに結果を得られるのは、このためです。
一方のDeep Research機能は、ユーザーの質問に対して、まずAIがどのように回答を作成するかを考えます。
その後、作成したプロセスに沿って最新のウェブデータや添付データなどの調査を行い、まとめた結果をユーザーに返答します。
このように、まるで人間のように自分で考えて答えを返すことが、自律型エージェントと言われる理由です。
ChatGPTのDeep Researchは、無料プランから利用できますが、プランごとに利用回数の上限が異なります。
本格的に活用する場合は、Plusプラン以上がおすすめです。
※2025/11時点の情報です。
引用:ChatGPTの料金
※利用最初の使用日から30日単位のロール制です。
毎月1日にリセットされる方式ではない点に注意してください。
※Deep Researchには、最新モデルを使った完全バージョンと旧モデルを使った軽量バージョンがあり、それぞれのプランによって利用できる内訳が変わります。(上記は、各バージョンの合算値です)
完全バージョンの利用が上限に達すると、自動で軽量バージョンに切り替わります。
引用:ChatGPTのDeep Research
💻Deep Researchで結局何ができる?できること3選
自律型エージェントと呼ばれるDeep Researchは、その機能ゆえに通常のチャットにはできないことができます。
Deep Researchだからこそできることを知っておくことで、その真価を最大限に引き出せるはずです。
1.最新情報へアクセス可能
Deep Researchは、アクセスできる情報源の幅が広がります。
通常のチャットでは、ChatGPTがあらかじめ与えられた情報の中から回答を生成します。これにより、ユーザーへ素早い返答が可能です。
一方のDeep Researchは、リアルタイムで更新される情報へアクセスできます。
このリサーチプロセスが入るため、返答には数分~数10分かかりますが、最新情報をリサーチできます。
また、コネクターが有効になっているアプリを検索対象にすることも可能です。
2.信頼性の向上
最新かつ広範囲のデータをリサーチできることで情報の信頼性が向上し、誤情報(ハルシネーション)のリスクが低減されます。
また、すべての情報に出典リンクが付与されるため、ファクトチェックも簡単です。
ただし、ハルシネーションがゼロになる訳ではないため、人によるチェックは必要です。
3.膨大なリサーチと高度な分析業務の効率化
人間なら数時間かかるリサーチ作業を、わずか数分〜数10分で完了させることが可能です。
とくに専門的なリサーチに強く、市場調査、競合分析、戦略の立案、SWOT分析などのフレームワークを活用したレポート作成もできます。
リサーチからレポート作成までが10分以内で終わることもあり、リサーチ業務の効率化を図れます。
ただし、自律型エージェントであるゆえにリサーチとまとめ工程が入るため、簡潔に結論を知りたい場合や一般論の答えを知りたい場合は、通常のチャットの方が便利です。
✅ChatGPTのDeep Research機能の使い方
ここからは、実際の業務シーンを想定した具体的な使い方を解説します。
使用した条件
今回は、以下の条件でDeep Researchを行います。
使い方の手順
1.ChatGPTアカウントにログイン
2.ChatGPTのモデルを選択
有料プランでは、左上のプルダウンから利用するモデルを選択できますが、今回は無料プランのため、モデルの選択はできません。
3.Deep Researchの設定
入力欄の「+」ボタンをクリックし、Deep Researchを選択します。
リサーチで参照したいファイルなどがあれば、任意で追加してくださいね。
有料プランの場合は検索範囲の自由度が高く、コネクターが有効になっているアプリなども検索対象に設定できます。
今回は、無料プランのため以下の設定はできません。
4.プロンプトを設定してリサーチの開始
🤔ChatGPTのDeep Research 使用例3選
Deep Researchには、「最新情報へアクセス可能」「信頼性の向上」「膨大なリサーチと高度な分析業務の効率化」という特徴があります。
これらを活かせるシーンとして、以下の3つの状況で実際に使ってみた内容をご紹介します。
1.最新情報へアクセス可能:生成AIの最新情報の調査と予測
最新情報へアクセスできるDeep Researchは、情報の更新頻度が高いジャンルの調査に向いています。
そこで以下のプロンプトを利用し、生成AIの未来予測を行います。
【プロンプト】
生成AI技術に関する最新トレンドを調査し、3年、5年、10年後に生成AIの技術がどのように進化するかをまとめてください。
調査対象は、以下です。(20件以上の情報源を調査してください)
1.直近3ヶ月以内に公開された情報を主な対象とし、今注目のAI技術をリストアップして内容をわかりやすくまとめてください。
特に、以下のキーワードを含む情報を調査してください。
2.調査した情報をもとに、3年、5年、10年後に文章・画像・動画を作成する際に利用する生成AIがどのように進化するかを、2025年11月現在と比較した表にまとめてください。
3.レポート作成に利用した資料は、以下の情報も必ず明記してください。(レポートの最後に列挙してください)
プロンプトを送信すると質問されたため、以下のように入力して送信しました。
送信後、Deep Researchが始まりました。
※ChatGPTのDeep Researchでは、ユーザーの意図をより深く理解するために質問が返ってくることがあります。
調査の結果
上記のプロンプトを送信して出力された結果が以下です。
※出力が長いため、一部を掲載しています。
プロンプトで指示した調査資料に関する項目をまとめると以下のようになります。
調べた資料の期間は、指定外のものが半分以上ありましたが、リサーチ当日に公開された情報も引用資料となっています。
これは、最新情報にDeep Researchがアクセスできることの証明です。
通常のチャット調査では、ウェブをリアルタイムでクロール・アクセスして最新情報を自動で取得することはできませんが、Deep Researchなら、それが可能になります。
特に変化のスピードが速い業界の調査では、Deep Researchの利用がおすすめです。
2.信頼性の向上:生成AI8社の最新のプランと月額料金の調査
最新情報や幅広い情報源にアクセスできるDeep Researchは、正確性が求められる調査にも向いています。
料金などの数字が関わるリサーチは、古い情報が出力されることもあるため、特におすすめです。
今回は、以下のプロンプトで調査を行います。
【プロンプト】
以下のAIサービスについて、公式ウェブサイトおよび信頼できるニュース・発表資料をもとに、最新料金をプラン別に調査してください。
各サービスごとに次の情報を整理して表にまとめてください。
プロンプトを送信すると質問されたため、以下のように入力して送信しました。
送信後、Deep Researchが始まりました。
調査の結果
各生成AIのプランと料金を調べてまとめた結果が以下になります。
プロンプトで指示したプランと料金に関する正確性をまとめた内容が以下になります。
出力結果に反映されていない指示には、LovableとCursorの一部プランで年額料金の記載漏れ、Difyの調査漏れがありました。
しかし、出力結果の誤記については、Perplexityのプラン名のミスのみです。
レポート内の料金は、すべて最新の内容でした。
AIを使った料金調査では、古い情報を参照して更新前の情報が出力されることがあります。
こうしたリスクを、Deep Researchは広範囲の調査を行うことで低減しています。
一部の指示漏れや誤記のリスクは依然としてありますが、それでも通常のチャット調査よりも、高い精度で情報を収集できるため、正確性が求められる調査にもDeep Researchはおすすめです。
3.膨大なリサーチと高度な分析業務の効率化:日本国内のメールアプリ市場分析とまとめ
膨大なリサーチと高度な分析を得意にするDeep Researchは、専門家でも数時間かかる調査を10分以内で完了できることがあります。
そこで、メールアプリの市場調査とSWOT分析という専門的なレポートを作成してみます。
【プロンプト】
日本国内のメールアプリ市場を調査してください。
分析対象は以下の3つです。
以下の手順と項目で整理してください。
1.各社についてSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)を実施してください。
2.各社のSWOTをもとにクロスSWOT分析を行い、競合優位性や差別化戦略の視点から比較してください。
3.その結果を踏まえて、各社が取るべき具体的なアクション提案をレポート形式でわかりやすくまとめてください。
4.各分析および提案に使った参照情報の出典(URL)と公開日を必ず併記してください。
プロンプトを送信すると質問されたため、以下のように入力して送信しました。
送信後、Deep Researchが始まりました。
調査の結果
メールアプリの調査をまとめた結果が以下になります。
上記のレポート作成は、以下の条件で作成されました。
レポートを作成するために、検索エンジンで63件のクエリを検索し、その内21件のページを調査しています。
また、調べた中でレポート作成に利用した資料は6件です。
これらの調査を行った上で分析も行い、7,700文字もの文章にまとめているため、見やすく成形する手間もありません。
レポートは、WordやPDFとして出力でき、そのまま配布資料として利用することもできます。
これだけ膨大なリサーチと分析を行い、8分30秒でレポートにまとめられる人はいないはず。
さらに、ChatGPTのDeep Researchでは、レポート内の数値情報に、参照元資料の該当箇所へ直接飛べるリンクが掲載されるため、ファクトチェックも簡単です。
最終的には人によるファクトチェックは必須ですが、時間がかかるレポート作成ほど、Deep Researchが活躍します。
🖊️まとめ
ChatGPTのDeep Researchは、収集する情報の新しさと正確さ、そして調査と分析の効率化に大きなメリットがあり、特に競合調査や市場分析といった時間がかかるレポートを作成するときにおすすめです。
また、参照元がわかりやすく明記されるため、信頼性が求められる資料作成の際にも便利な機能です。
一方で、指示漏れや誤情報といったリスクは残るため、人によるファクトチェックは必須です。
それでも、調査と資料作成に多くの時間がかかっている方にとって、ChatGPTのDeep Researchは強力な武器になると思うので、ぜひ一度、ご自身の業務で試してみてはいかがでしょうか。
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