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動画コンテンツが情報伝達の中心となる現代において、膨大な映像データから必要な情報を効率的に抽出する技術が求められています。
会議の録画、製品のデモ動画、教育用の教材など、ビジネスの現場では日々多くの動画が生成されていますが、それらをすべて視聴し、内容を確認するには多大な時間と労力を要します。
こうした課題を解決するのが、AIによる動画解析技術です。
Googleが提供するAIモデルのGeminiは、テキストだけでなく、画像、音声、動画を同時に理解するマルチモーダルな能力を持っています。
本記事では、Geminiを活用した動画解析の仕組みや具体的な手順、ビジネスでの活用事例、そして利用時の注意点について詳しく解説します。
Geminiの動画解析機能は、単に動画内の音声を文字起こしするだけではありません。
映像に映っている物体、人物の動作、画面上のテキスト、そして音声のトーンや背景音までを含めた総合的な情報をAIが読み取り、理解する機能です。
これにより、人間が動画を見て内容を把握するのと同じように、AIも動画の「意味」を理解することができます。
Geminiは、Googleが開発した高度なマルチモーダルAIです。
このAIの最大の特徴は、テキスト・画像・音声・動画・コードなど、異なる種類の情報をネイティブに理解できる点です。つまり、事前に別の形式へ変換する必要がありません。
従来のAIでは、動画を解析する際にいくつかの前処理が必要でした。たとえば、動画を手動で分割したり、音声をテキストに変換したりするといった作業です。
一方、Geminiではこうした前処理を行わず、動画データをそのまま入力して処理することが可能です。
また、Gemini*非常に長いコンテキストウィンドウ(扱える情報量)を持っています。そのため、短い動画だけでなく、長時間の動画でも内容をまとめて理解できます。
例えば、次のようなコンテンツでも処理できます。
このようなデータでも文脈を保ったまま内容を理解し、要約や質疑応答を行うことができます。
さらにGeminiは推論能力にも優れており、動画内の断片的な情報から状況を推測し、文脈を踏まえて論理的な結論を導くことも得意です。
このように、複数の情報を組み合わせながら高度な理解や分析を行える点が、Geminiの大きな特徴です。
Geminiが動画を解析する際、内部的には動画を「連続した画像フレーム」と「音声波形」の組み合わせとして処理しています。
具体的には、動画ファイルから1秒間に1フレームの画像をサンプリングし、同時に音声トラックを解析します。
この仕組みにより、音声がない動画(無音の防犯カメラ映像や、BGMのみのプロモーションビデオなど)であっても、映像内の動きや変化を捉えて内容を説明することが可能です。
逆に、映像の変化が少ない動画(スライドが固定されたままのプレゼンテーションなど)では、音声やスライド内の微細な文字情報を重点的に解析します。
さらに、マルチモーダルな理解力によって、「誰が(視覚情報)、何を言ったか(聴覚情報)」を正確に紐付けることができ、話者の特定や発言内容の属性分析も高い精度で行うことができます。
Geminiを活用することで業務の効率化を図れますが、得られたテキストデータやインサイトを、実際の業務フローに組み込み、次のアクションへと繋げることで、真の自動化が実現します。
Yoomは、Geminiを含むさまざまなAIやSaaSアプリをノーコードで連携させ、複雑な業務フローを自動化するプラットフォームです。
例えば、Googleドライブに動画ファイルがアップロードされたタイミングで自動的にGeminiで解析を行い、その要約や議事録をSlackなどのチャットツールに通知するといったフローを構築できます。
これにより、手動でファイルをアップロードしたり、解析結果をコピー&ペーストして共有したりする手間が一切不要になります。
■概要
Google Driveにアップロードされる画像を都度確認し、その内容をチームに共有する作業に手間を感じていませんか。このワークフローを活用することで、Google Driveに新しい画像が追加されると、Geminiが自動で画像内容を解析し、その結果をChatworkへ即座に通知する一連の流れを自動化でき、手作業による画像確認や報告の手間を省くことが可能です。
■このテンプレートをおすすめする方
■このテンプレートを使うメリット
■フローボットの流れ
※「トリガー」:フロー起動のきっかけとなるアクション、「オペレーション」:トリガー起動後、フロー内で処理を行うアクション
■このワークフローのカスタムポイント
■注意事項
Geminiは非常に強力なマルチモーダル解析能力を持っていますが、利用にあたっては倫理的な配慮や技術的な制約から、いくつかの重要な制限と注意点が設けられています。
これらを正しく理解し、適切に利用することで、予期せぬトラブルを防ぎ、AIの能力を最大限に引き出すことができます。
Geminiには、個人のプライバシーを保護するための厳格な制限が組み込まれています。
動画や画像内に映っている人物について、特定の個人名を同定したり、個人情報を抽出したりすることはできません。
例えば、「この動画に映っているのは有名人の〇〇さんですか?」といった質問や、「社員のAさんが映っているシーンを探して」といった指示に対しては、AIが回答を拒否するか、一般的な「人物」としての記述にとどめる挙動を示します。
これは、AI技術が生体認証や監視目的に悪用されることを防ぐための措置です。
動画解析を行う際は、特定の個人の追跡や特定を目的とするのではなく、あくまで動画全体の文脈理解や、行動・状況の把握(例:「プレゼンテーションを行っている男性」「赤い服を着て走っている人」など)に焦点を当てる必要があります。
また、解析結果を公開する場合も、映り込んでいる人々の肖像権やプライバシーに十分配慮し、必要に応じてぼかし処理などの対策を行うことが求められます。
Geminiを使用してYouTube動画や市販の映像コンテンツを解析する場合、著作権法や各プラットフォームの利用規約を遵守する必要があります。
YouTube動画を解析する際は、その動画が一般公開されている(Public設定である)ことが前提となります。
限定公開の動画については、チャット版では解析が拒否される場合がありますが、Google AI StudioやAPI経由での利用であれば、URLを指定することで限定公開動画の解析も可能です。なお、いずれの方法でも、完全にアクセスが制限された「非公開(Private)」の動画や有料コンテンツは解析できません。
また、AIによって生成された要約や分析結果を利用する際も注意が必要です。
元となる動画が第三者の著作物である場合、その要約をそのまま自社のコンテンツとして公開したり、商用利用したりすることは、著作権侵害にあたる可能性があります。
特に、動画内の創作的な表現(脚本、音楽、演出など)を詳細に描写した出力結果は、翻案権などの権利に関わる場合があります。
業務で利用する際は、自社が権利を持つ動画を使用するか、著作権者の許諾を得た上で解析を行うことが安全です。
Gemini(ブラウザ・アプリ版)およびAPI経由での動画解析には、読み込めるファイルサイズや動画の長さに物理的な上限があります。
なお、APIを利用する場合、これらの制限は「コンテキストウィンドウ(トークン数)」にも依存します。
動画は画像フレームと音声に分解されてトークン化されるため、解像度やフレームレートが高い動画は、時間が短くても多くのトークンを消費し、モデルの上限(例:100万トークン)に達してしまう場合があります。
Geminiの動画解析は、動画の全フレームを連続して見ているわけではなく、一定の間隔で画像を間引いて認識しています。
Geminiを動画の解析に利用することで、さまざまな業務が効率化されます。
具体的な活用事例を知っておくことで、活用の幅はさらに広がります。
1時間を超えるような定例会議やウェビナーの録画データをGeminiにアップロードすることで、会議の要点や決定事項を瞬時に抽出できます。
従来、録画データを見直して議事録を作成するには、動画の再生時間以上の作業時間が必要でしたが、Geminiを使えばその時間を数分に短縮できます。
また、単なる会話の文字起こしだけでなく、「誰がどのような発言をしたか」という話者分離や、「次のアクションアイテムは何か」といったタスクの抽出も可能です。
映像内のホワイトボードに書かれた文字や、共有されたスライドの内容も解析対象となるため、音声だけでは拾いきれない情報も補完された、質の高い議事録が自動生成されます。
これにより、会議に参加できなかったメンバーへの情報共有もスムーズに行えます。
膨大な動画アーカイブの中から、必要な情報が含まれているシーンだけをピンポイントで見つけ出すことができます。
例えば、製品のユーザーテストの録画データが数十時間分ある場合、「ユーザーが操作に迷っているシーン」や「エラー画面が表示された瞬間」などをGeminiに検索させることができます。
Geminiは「15分30秒付近で、画面右上にエラーメッセージが出ています」といったように、該当するタイムスタンプとともに結果を提示します。
これにより、動画全体を視聴することなく、改善が必要な箇所だけを効率的にピックアップできます。
カスタマーサポートにおける通話録画の分析や、教育現場での授業動画の見直しなど、特定のトピックや状況を素早く参照したい場面で非常に有効です。
PCの画面操作を録画した動画を元に、ソフトウェアや業務システムのマニュアルを作成する作業も、Geminiによって効率化できます。
操作画面のキャプチャ動画をGeminiに読み込ませ、「この動画の手順をステップバイステップで説明するマニュアルを作成してください」と指示するだけで、操作の流れを記述したテキストが生成されます。
Geminiは画面上のボタン名やメニュー項目、入力されたテキストなどを視覚的に認識するため、「『設定』メニューをクリックし、『ユーザー管理』を選択します」といった具体的な指示を含んだマニュアルを作成できます。
人間がいちいちスクリーンショットを撮り、説明文を考える手間が省け、動画が誰でも簡単に高品質なマニュアルを作成できるようになります。
Geminiで動画解析を行う場合、チャット版以外でも利用できます。
ここでは、プラットフォームごとに、Geminiで動画を解析する方法を解説します。
一般のビジネスパーソンや個人ユーザーにとって最も手軽な方法は、ブラウザ版のGemini(gemini.google.com)やスマートフォンアプリを利用することです。
直感的なインターフェースで、専門的な知識がなくてもすぐに動画解析を始められます。
利用手順は非常にシンプルです。
まず、Geminiのチャット画面を開き、入力欄にある「+」ボタン(または画像アップロードアイコン)をクリックします。
そこからローカルに保存されている動画ファイルを選択してアップロードするか、解析したいYouTube動画のURLをプロンプト入力欄に貼り付けます。
動画の読み込みが完了したら、「この動画を要約してください」「○○について話している箇所を教えて」といった指示をテキストで入力し、送信します。
数秒待つだけで、AIからの回答が得られます。
エンジニアや開発者が、自社のアプリケーションに動画解析機能を組み込んだり、大量の動画データをバッチ処理したりする場合は、Google AI StudioまたはGoogle CloudのVertex AIを利用します。
これらのプラットフォームでは、GeminiのAPI(Application Programming Interface)を通じて機能を利用できます。
Google AI Studioは、プロトタイピングや実験的な利用に適した開発環境です。
Webブラウザ上でAPIキーを取得し、GUIベースでモデルのパラメータ調整やプロンプトのテストを行えます。
動画ファイルをアップロードし、Gemini 3.1 Proなどのモデルを選択して実行ボタンを押すだけで、API経由での解析結果を確認できます。
一方、Vertex AIは、より大規模な商用利用や、セキュリティとガバナンスが重視されるエンタープライズ環境向けです。
Pythonなどのプログラミング言語を使ってコードを記述し、システムの一部として動画解析プロセスを統合することが可能です。
Geminiの実力を確かめるため、実際にYouTubeで公開されている動画を読み込ませ、その内容を解析できるか検証を行いました。
今回は、Yoomの公式チャンネルで公開されている以下の5本の動画を対象とします。
1本8~10分の動画で、合計約45分の動画を一度に処理できるかを検証しました。
今回は、Google AI Proプランを利用して、YouTube動画を要約してもらいます。
動画は、Yoomのチャンネルで公開されている以下の動画を利用します。
【検証動画】
【検証プロンプト】
以下のYouTube動画の内容を解析してください。
動画URL:【指示内容】
- https://www.youtube.com/watch?v=MJXCjFfdNGQ&pp=0gcJCb4KAYcqIYzv
- https://youtu.be/jUU3lZK350Q?si=yDbK6ywGaafFPQ5a
- https://www.youtube.com/watch?v=gyhy0GSHgKs&t=6s&pp=0gcJCb4KAYcqIYzv
- https://www.youtube.com/watch?v=JFHeAbml3FA
- https://www.youtube.com/watch?v=Sgzq7V4gbD0&t=1s&pp=0gcJCb4KAYcqIYzv
それぞれの動画のポイントを3つ箇条書きでまとめてください
上記のプロンプトで検証したところ、以下の結果となりました。
解析結果から、以下のことがわかりました。
合計45分にも及ぶ5本の動画を、わずか1分程度で解析できたことは非常に魅力的です。
動画視聴にかかる時間を大幅に削減し、ストレスのない業務効率化が期待できます。
また、単なる文字起こしにとどまらず、字幕や音声を認識し、文脈を深く理解している点も優秀です。
例えば、1つ目の動画内にある「セミオート運営」という言葉を、より一般的な「ハイブリッド運営」と言い換えるなど、自然で親しみやすい要約が作成されていました。
一方で、解析精度は完璧ではない点に注意が必要です。
2つ目の動画では、実際には4つの機能が紹介されているにもかかわらず、「強力な3つの機能」と要約されるなど、一部の情報に抜け漏れが発生していました。
Geminiの動画解析をビジネスで活用する際は、AIの出力結果をそのまま使用するのではなく、重要な数字や要素について人間の目で最終確認を行うプロセスを取り入れることをおすすめします。
Geminiの動画解析機能は、ビジネスにおける動画活用の可能性を大きく広げる革新的な技術です。
長時間の会議動画からの議事録作成、膨大な映像アーカイブからの情報検索、そしてマニュアル作成の自動化など、その応用範囲は多岐にわたります。
マルチモーダルな理解力と長いコンテキストウィンドウを持つGeminiは、動画の内容を人間と同じように、あるいはそれ以上の速度と精度で把握することを可能にします。
しかし、その能力を最大限に引き出し、実際のビジネス成果に繋げるためには、単にツールを使うだけでなく、業務フロー全体を最適化する視点が不可欠です。
Yoomのような自動化プラットフォームと組み合わせることで、動画解析を日々の業務に自然な形で組み込み、生産性の向上に繋がります。
ぜひ、GeminiとYoomを活用して、新しい時代の業務効率化を実現してください。
Yoomを活用することで、Geminiの動画解析機能を既存の業務フローにシームレスに統合できます。
動画データの移動、解析の実行、結果の通知といった一連のプロセスを自動化することで、人間の作業ミスを減らし、業務スピードを向上させることができます。
例えば、以下のようなフローボットを作成することが可能です。
■概要
フォームに回答後、Geminiで要約しGoogle スプレッドシートに追加するフローです。
フォームで収集した情報をGeminiで自動要約し、Google スプレッドシートにスムーズに連携することができます。
■このテンプレートをおすすめする方
■このテンプレートを使うメリット
フォームで受信した内容を素早く確認するために、Geminiによる要約はは活用できますが、手動での要約には時間がかかります。
このフローでは、フォームに送信された内容を自動でGeminiで要約し、結果をGoogle スプレッドシートに追加することができます。これにより、データの整理や手動入力の手間を削減し、業務効率を向上させます。
これまで手作業にかかっていた時間を大幅に削減することで、業務全体の進行速度を上げることができます。
またGoogle スプレッドシートに情報を一元管理することで、チームの情報アクセス性を高めるでしょう。
■概要
フォームからの問い合わせやアンケートの回答内容は重要な情報ですが、その一つ一つを確認し、要点をまとめてデータベースに入力するのは時間と手間のかかる作業ではないでしょうか。このワークフローを活用すれば、フォームに回答が送信されると、その内容をGeminiが自動で要約し、Notionのデータベースに新しい項目として追加できます。これにより、情報整理の手間を省き、迅速な情報共有と管理を実現します。
■このテンプレートをおすすめする方
■このテンプレートを使うメリット
■フローボットの流れ
※「トリガー」:フロー起動のきっかけとなるアクション、「オペレーション」:トリガー起動後、フロー内で処理を行うアクション
■このワークフローのカスタムポイント
■注意事項
営業担当者が商談の録画データをフォームに送信するだけで、Yoomがそれを検知してGeminiに送り、生成された内容が自動的にデータベースに保存される。
そのような新しい働き方を、Yoomは今すぐ実現します。
【出典】
Google Gemini/Google AI for Developers/Vertex AI Platform | Google Cloud