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「競合サイトを分析しているだけで、気づけば半日が経っていた……」
「狙いたいキーワードは浮かんでいるのに、本当に正しいのか判断できない」
SEO担当者やマーケターであれば、こうした悩みに心当たりがあるはずです。 キーワード選定や構成作成は重要な工程である一方、時間と労力がかかりやすい作業でもあります。
ChatGPTなどのAIを使ってみたものの、ツールを行き来したり、出力を確認したりするうちに、思ったほど効率化できていないと感じている方も少なくありません。
こうした課題に対する解決策の一つが、ノーコードで使えるAIプラットフォーム「Dify(ディフィ)」です。 Difyを使えば、プログラミングの知識がなくても、自社のSEOノウハウを反映したAIアプリを自分たちで作れます。
本記事では、Difyを活用してSEO業務を効率化する方法を、実際の検証フローをもとに解説します。
ここでは、本記事がどんな方の役に立つのか、またDifyを使ううえで知っておきたいポイントを簡単に整理します。
本記事は、以下のような悩みを持つ方におすすめです!
Difyは、オープンソースで提供されているLLM(大規模言語モデル)アプリの開発プラットフォームです。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、「AIを使った業務用アプリを、専門知識がなくても作れる仕組み」と考えるとイメージしやすいでしょう。
Difyの特徴は、プログラミングをしなくても、画面操作だけでAIアプリを作れる点にあります。直感的なドラッグ&ドロップ操作で構築できるため、エンジニアでなくても扱いやすいのが魅力です。
また、ChatGPTやClaude、Geminiなど、主要なAIモデルを用途に応じて切り替えて使えるのもポイントです。
さらに、自社の資料やデータをもとに回答精度を高める「RAG(検索拡張生成)」や、複数の処理を組み合わせて業務全体を自動化できる「ワークフロー」機能も、標準で備わっています。
【Difyの主な強み】
SEO分野では、「キーワードを入力すると構成案を出力するアプリ」や「競合サイトを分析し、差別化ポイントを提案するアプリ」といったツールを、現場担当者が自作できるツールとして注目されています。
Difyを活用してSEO業務をどこまで効率化できるのか、実務で想定される2つのシナリオで検証しました。
【想定されるユースケース】
上位表示に必要な見出し構成と検索意図を自動出力し、ライターへの発注書作成時間を短縮する。
【検証条件】
ワークフロー vs チャットフロー
【検証項目】
【想定されるユースケース】
ライターから提出された記事を自社のマニュアルに沿って校正する。
【検証パターン】
高品質インデックス(全文検索) vs 高品質インデックス(ハイブリッド検索)
【検証項目】
各シナリオの検証方法をまとめます。
「テレワーク 集中する方法」
# 役割
あなたはSEO記事構成の専門家であり、ライター向けに質の高い執筆指示書を作成するディレクターです。
# 依頼内容
キーワード「{ユーザーが入力したキーワード}」でGoogle検索1位を狙うための、網羅的かつ独自性のある記事構成案を作成してください。
# 制約条件
- 上位記事の要素を網羅した上で、それらを上回る付加価値を提示すること。
- ライターが執筆時に迷わないよう、各見出しの「執筆意図(何を、なぜ書くのか)」を具体的に記述すること。
# 上位記事の内容
{WEB SCRAPERの出力テキスト}
# 出力形式
1.ターゲット読者像:(職業、状況、抱えている具体的な不満や悩み)
2.検索意図の定義:(なぜこのキーワードで検索し、読了後にどうなりたいのか)
3.見出し構成(H2/H3): - ## [H2見出し] - ### [H3見出し] - 執筆のポイント:(具体的な内容、推奨する論調、盛り込むべき根拠など)
4.他社との差別化ポイント:(この記事だからこそ提供できる独自視点やデータ)
# 指示
上記の形式に従って、最適な構成案を出力してください。
作成したワークフローは以下です。
今回は、上位1記事のURLのみで検証します。
ポイントはWEB SCRAPERノードです。
ユーザーが入力したURLを使ってWeb検索を行い、各記事の情報を収集します。
チャットフローもワークフローと同様の設定で作成します。
ワークフローとチャットフローの出力結果を比較します。
【ワークフロー】
【チャットフロー】
# 役割
あなたは自社メディアの品質を担保するシニア編集者です。
社内の執筆ガイドラインを理解しており、推測や一般論ではなく、ナレッジに記載されたルールのみを根拠として校正を行います。
# 指示
ナレッジ(執筆ガイドライン)を厳守して、提出された記事を校正してください。
# 制約事項
・ナレッジ内の「禁止語句」を使わずに、「推奨語句」を使用すること
・構成の順序はナレッジ内の「標準フォーマット」に従うこと
・専門用語はナレッジで定義された正式表記を初出時に使用すること
・ナレッジに記載のないルールを自己判断で追加しないこと
# 出力要件
1. 校正後の記事全文
2. 実施した修正内容の一覧 - 修正前 → 修正後 - 参照したガイドライン項目名
# 記事
{テキスト抽出ノードの出力テキスト}
# ナレッジ
{ナレッジの内容}
執筆ルールを記載したPDFファイルを以下2つの検索方式でナレッジに登録します。
【高品質インデックス(全文検索)】
【高品質インデックス(ハイブリッド検索)】
今回作成したチャットフローの全体図は以下です。
テキスト抽出ノードで、ユーザーから送られたファイルのテキストを読み取ります。
ナレッジは「知識検索」ノードを使って取得します。
全文検索とハイブリッド検索の出力結果を比較します。
【全文検索】
【ハイブリッド検索】
各シナリオの検証結果をまとめます!
①指定したフォーマット通りの構成案が出力されるか
判定:ワークフロー ◯ / チャットフロー ◯
どちらのフローも、指示したフォーマットに沿った構成案を出力できていました!
H2・H3の階層構造は適切に保たれており、「ターゲット」「検索意図」「構成」「差別化」という4つの項目も、いずれも漏れなく含まれています。
プロンプトの内容がしっかり反映されており、構成案としてそのまま制作工程に進められる完成度だと感じました。
②各見出しに対して「何を・なぜ書くのか」という執筆意図をライターが理解しやすいか
判定:ワークフロー ◎ / チャットフロー ◯
この点では、ワークフローのほうが、より具体的でライターにとって理解しやすい印象です。
ワークフローの出力には、「具体的なデータや調査結果を引用する」「科学的な視点で説明する」といったように、どのように情報を補足すべきかまで踏み込んだ指示が見られました。
一方、チャットフローも実務で使える内容ではありますが、「共感できる情景を描写する」など、やや抽象的な表現に留まる部分もあります。情報の具体性という点では、ワークフローのほうが少し優位だと感じました。
③追加指示により、前の文脈を維持したまま納得のいく修正ができるか
判定:ワークフロー × / チャットフロー ◯
この項目では、両者の特性の違いがはっきりと表れました。
ワークフローは、あらかじめ与えた入力をもとに一度で処理を完了する仕組みのため、途中で会話を重ねながら修正していく使い方には向いていません。
その点、チャットフローは会話の流れを保持できるため、「この見出しだけ少し直したい」といった追加の要望にも柔軟に対応できます。細かな調整を重ねたい場面では、チャットフローの使い勝手の良さが活きてきます。
今回の検証から、構成案を短時間で量産したい場合はワークフロー、細かな調整を前提とする場合はチャットフローが適していることが分かりました。
たとえば、短時間で一定水準の構成案を作りたい場合はワークフローが向いています。指示への反映度が高く、執筆意図も具体的なため、業務を標準化したい場面でも活用しやすいでしょう。
一方で、AIとやり取りをしながら内容を調整したい場合には、チャットフローが適しています。前の文脈を踏まえて修正できるため、細部にこだわりたいときや、人の感覚を反映させたいときに力を発揮します。
①勝手に推測せず、ナレッジ内で指定したルールを守れるか
判定:全文検索 △ / ハイブリッド検索 △
両者とも「できる→可能」への置換はできましたが、「ユーザー→利用者」や「簡単に→容易に」といった禁止語句がそのまま残っています。
また、初出時の正式表記ルールの統一も徹底できておらず、ルールの遵守力は同程度といえます!
②回答の根拠となる参照記事(ナレッジ内のソース)が正確に引用されているか
判定:全文検索 ◯ / ハイブリッド検索 ◯
こちらは両者とも良好です!修正の根拠として「推奨語句」や「禁止語句」といったガイドラインの項目名を明記できており、どのルールに基づいた修正かが一目でわかります。
③出力結果が、人間の編集者によるチェックをパスできるレベルで「自社ルール」を反映できているか
判定:全文検索 × / ハイブリッド検索 ×
残念ながら、現時点ではそのままパスするのは難しいです。
今回は禁止語句・推奨語句や構成順序が守られておらず、人間による修正が必要なレベルに留まっています。
結論からお伝えすると、今回検証した「執筆ガイドラインのチェック工程」においては、全文検索・ハイブリッド検索のいずれを用いても、自社ルールの完全な遵守を担保するには不十分という結果になりました。特に禁止語句の置換漏れや専門用語の正式表記の揺れが見られ、チェック工程としては依然として人の確認が必要な状態です。
一方で、修正の根拠として、どのガイドライン項目を参照したのかを明示できた点は大きな成果でした。どのルールにもとづく指摘なのかが明確になり、編集者が判断しやすいアウトプットを出せた点は、チェック工程として一定の有効性が確認できました。
うまくいかなかった原因としては、主に2点あげられます。
今後は、チェック工程専用にルールを構造化し、禁止語句や構成順序といった必須項目を明示的に最優先で判定する設計にすることで、実務で通用する校正精度に近づけられると考えられます。
本記事では、Difyを活用して、SEO業務に関連する「記事構成案の作成」と「執筆ガイドラインの校正」を検証した結果をお届けしました。
検証①の構成案作成では、Webスクレイピング機能を活用することで、上位サイトの要素を網羅しつつ、ライターが迷わない具体的な指示書をスムーズに生成できることが分かりました。特に、定型業務として効率化したいなら「ワークフロー」、AIと対話しながらこだわりたいなら「チャットフロー」と、目的に合わせて使い分けるとより成果につながりやすいです。
検証②のガイドライン遵守については、現時点ではAIに丸投げとはいかず、人間による最終チェックが欠かせないという課題も見えてきました。しかし、どのルールの、どの項目にもとづいて修正したかという根拠が明示されるため、編集者の確認作業がぐっと楽になります。
「競合分析に時間がかかりすぎる」「リソース不足で記事が増やせない」と悩んでいるなら、Difyは現状を改善する助けになります。
まずはテンプレートを触ってみて、AIとの共同作業を少しずつ始めてみるのがおすすめです。
Yoomは、さまざまなLLMやSaaSツールをノーコードで連携できるサービスです。
たとえば、DifyとGoogle スプレッドシートをYoomで連携すると、フォームの回答をDifyで解析し結果をGoogle スプレッドシートに追加できます。
他にも、Trelloとの連携により、カードが指定のリストに移動されたらDifyでプレスリリース案を作成することも可能です。
プログラミング知識がなくても、画面操作だけで手軽に業務の自動化フローを構築できるので、ぜひ試してみてください!