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会議そのものより、終わったあとの作業に負担を感じることはありませんか?
特に、会議内容を整理し、事実関係を確認しながらまとめるには、多くの時間と集中力が必要です。
「この時間があれば、ほかの仕事が進められたのに…」と感じた経験がある方も少なくないでしょう。
そこで注目したいのが、対話型AI検索エンジン「Perplexity」です。Perplexityは単なるチャットAIとは異なり、Web上の情報を参照しながら、根拠となる情報源を示したうえで回答を生成できる点に強みがあります。
本記事では、Perplexityのファイルアップロード機能を使い、会議の文字起こしデータから議事録を作成する検証を行います。議事録作成にかかる手間をどこまで減らせるのか、その具体的な方法と実力をわかりやすく解説します。
ここでは、本記事が役立つ方やPerplexityの特徴、利用前に知っておきたいポイントを整理します。
この記事は、以下のような悩みや関心を持つ方を想定しています。
Perplexityは、検索エンジンとAIチャットツールを組み合わせた「対話型AI検索エンジン」です。
特徴のひとつは、回答の根拠となる情報源(出典)を明示する点。これにより、AI特有のもっともらしい嘘(ハルシネーション)を返すリスクを抑え、ユーザー自身で情報の正確性を確認できます。
議事録作成の場面では、会議中に出てきた専門用語の補足や市場データの確認などで役立ちます。
今回はPerplexityのファイルアップロード機能を使って要約などを検証します。ファイルアップロードに関する基本情報は、以下のとおりです。
それでは、Perplexityを実際に議事録作成業務でどのように活用できるか検証してみます。
今回は、以下2つのシナリオで検証を行います!
検証するAIツールの条件は以下になります。
今回行う検証のシナリオと確認項目をまとめます。
■検証条件
■検証項目
①最新情報を検索できるか
②情報の出典が明示されているか
③誤りがある発言を指摘・修正できるか
■検証条件
Perplexity(無料版)の以下2パターンで検証する。
■検証項目
①情報が幅広く、詳しく補足されているか
②提示された補足情報に出典URLが明示され、信頼できる情報源か
③議事録として要点が整理され、実務に活用できる内容か
まずは、PerplexityとGoogleが提供するAIチャットツールGeminiを使用して、会議で出てきたデータの事実確認をする検証を行います。
検証で使う会議の文字起こしデータを用意します。
ここでは例として、生成AI市場に関する架空のテキストデータを作成しました。
文字数は約3,000文字です。
今回使用するプロンプトは、以下のとおりです。
# 役割設定:
あなたはプロの議事録作成者です。会議文字起こしをもとに、正確で実用的なビジネス議事録を作成する専門家として振る舞ってください。
# 入力データ:
添付するテキストは、ウェブ会議の完全な文字起こしデータです。
# 目的:
この文字起こしデータから、会議の決定事項、主要な議論の要点、および次アクションを明確にまとめた、実用的なビジネス議事録を作成してください。また、会議中の発言内容について事実確認や補足を行い、誤った情報や不明確な発言を修正してください。
# 処理指示と出力形式:
以下の指示を必ず守ってください。
1.リアルタイム情報の検証
・会議内で言及された市場規模、導入率、コスト、技術仕様、競合情報などの数値・事実をWeb検索などで確認すること。
・最新のデータや公式情報がある場合は、必ず反映してください。
2.出典(ソース)の明示
・修正・補足した内容には必ず出典(URLや公式レポート名)を明記してください。
・出典が不明確な場合は「要確認」と注記してください。
3.誤情報の指摘・修正
・会議中の不正確な発言や不明瞭な表現を特定し、正しい情報に置き換えること。
・修正箇所は [修正済み] と明示し、補足説明を加えること。
4.議事録の構造と書式
・箇条書きと簡潔な文章を用いて、結論を最優先に記述してください。
・以下の【出力形式】の構造を厳守してください。
~~出力形式~~
Perplexityの場合
チャット欄にプロンプトを入力し、ファイル添付アイコンをクリックします。
次に、文字起こしのテキストファイルを選択します。
プロンプト入力とファイルの添付ができたら、送信します!
Geminiの場合
チャット欄にプロンプトを入力し、左下にある「+」をクリックして文字起こしのテキストファイルを選択します。
入力できたら、送信します。
PerplexityとGeminiで生成された議事録を確認してみます!
Perplexity
Perplexityは、1〜2分で議事録が作成されました。
Gemini
Geminiの場合も、2分ほどで議事録が完成しました。
PerplexityとGeminiで作成した2つの議事録を、3つの観点から考察します。
①最新情報を検索できるか
結論:リアルタイム性はPerplexityが優れています!
Perplexityで作成された議事録は、2025年時点の情報を前提に構成されています。
生成AI市場規模を確認すると、以下のように複数の最新市場レポートを横断的に参照しており、出典元リンクを開くと2025年に公開された記事でした。
11ソース中、2024年データは1件のみで、情報の鮮度は高いといえます!
一方、Geminiの議事録で出典が明示されているデータは2024年時点のものです。
最新情報を前提に現実的な市場認識を持ちたいなら、リアルタイム性に強いPerplexityを選ぶのが安心だといえます。
②情報の出典が明示されているか
結論:出典の分かりやすさ・確認のしやすさはPerplexityのほうが優位性が高いです!
Perplexityの議事録では、修正された数値や論点ごとに出典元が明確に書かれています。
特に評価できるのは、事実確認ができない情報を「要確認」とはっきり書いていることです。
たとえば、「国内導入企業の80%が試験段階」といった数値についてあいまいなまま断定せず、「サンプルと業種構成は要確認」と明記されています。
一方、Geminiの議事録は以下のように出典元が明記されていない状態です。
たとえば、以下の例では「ベンチマーク指標「Hallucination Index」等」と記載されており、URLや正式な出典元が分かりません。
また、唯一、出典元として記載されていた「IDC Japan 2024 国内生成AI市場予測」について調べてみましたが、出力内容と同じデータは確認できませんでした。
出典を一つひとつ確認しながら安心して使いたいなら、ソースの透明性が高いPerplexityを選ぶのがおすすめです。
③誤りがある発言を指摘・修正できるか
結論:誤情報への向き合い方と修正の質も、Perplexityが優位です!
Perplexityの議事録は、単に「修正しました」で終わりません。以下の点を順を追って整理しています。
たとえば、Gemini APIの料金セクションでは誤情報を修正したうえで、社内資料に使えそうな表現例まで提示しています。
これにより、議事録の完成度が引き上げられている印象です。
一方、Geminiの議事録も修正自体は行っていますが、以下の課題があります。
結果として、直っているように見えるが、本当に正しいかは確認できない状態です。
誤情報をただ直すだけでなく、理由と根拠まで含めて納得感のある修正を求めるなら、Perplexityのほうが信頼して使えるといえます。
結論として、文章を整えるならGemini、判断材料とするならPerplexityのがおすすめです。
今回の検証から見えてきたのは、両者の違いは精度の差というよりも、得意な役割の違いだという点です。
情報の鮮度や裏取りまで含めて使いたいのか、それとも要点整理を素早く行いたいのかで、最適な選択は変わります。
Perplexityで作成した議事録は、少し整えるだけで社内の意思決定資料として使える完成度があります。
一方、Geminiは構成や要点整理に強く、下書きや全体の整理用として価値があります。
そのため、文章をまとめるAIではなく判断を支えるAIを求めるなら、現時点ではPerplexityが有力な選択肢だといえます。
次は、Perplexityの通常検索モードとPro Searchモードで情報密度の比較を行うための検証を実施します。
検証で使う会議の文字起こしデータを用意します。
ここでは例として、以下3つの技術に関する架空会議のテキストデータを作成しました。
通常検索モードとPro Searchモードで同じプロンプトとファイルを入力します。
なお、無料版の場合、Pro Searchを使えるのは1日5回までのため注意してください。
実際に使ったプロンプトは、以下のとおりです。
以下の会議ログを要約して議事録を作成してください。その際、会議内で言及されている最新技術キーワードについて、ウェブ上の最新情報をリアルタイム検索し、その技術の現在の市場動向、主なメリット、および今後の展望を出力された各情報の出典URLと共に補足情報として追加してください。
通常検索モードの場合
まず、シナリオ1と同様の手順でチャット欄にプロンプトを入力し、文字起こしのテキストファイルを添付します。
Pro Searchモードがオフであることを確認しておきます。
プロンプト入力とファイルの添付ができたら、送信します!
Pro Searchモード
通常モードと同様の手順で、プロンプト入力とファイル添付を行います。
次に、検索モードをPro Searchモードに切り替えます。
チャット欄左下の検索アイコンをクリックし、Pro Searchモードのトグルをオンにします。
設定が終わったら、送信します!
通常検索モードとPro Searchモードで生成された議事録を確認します。
通常検索モード
通常検索モードでは、約1秒というスピードで議事録が作成されました。
通常検索モードの議事録には以下の特徴があります。
参照しているサイトは1つのみで、シンプルにまとめられています。
Pro Searchモード
Pro Searchモードでは、議事録の作成に約45秒かかりました。
しかし、議事録の長さは通常検索モードの約3倍となり、情報量に大きな差が出ました。
さらに、参照しているサイトは11個と多く、通常検索モードよりも幅広い情報源から内容を整理していることが分かります。
また、最後には関連質問として、議事録の修正依頼や優先する情報源の指定など、議事録作成を円滑に進めるためのタスクを追加で実行できるようになっています。
通常検索モードとPro Searchモードで作成した2つの議事録を、3つの観点から考察します。
①情報が幅広く、詳しく補足されているか
結論:情報の補足は、Pro Searchモードのほうが豊富です!
Pro Searchで作成された議事録の補足情報は以下の点が整理されており、全体像を把握しやすいです。
一方、通常検索モードの議事録も最新の補足情報がまとめられています。
しかし、市場規模や成長率といった具体的な数値がなく、Pro Searchほど深掘りされていない印象です。
出典例のURLもすべてリンク切れでした。
概要を知るなら通常検索、判断に使いたいならPro Searchといったように、目的に応じて選ぶのがおすすめです。
②提示された補足情報に出典URLが明示され、信頼できる情報源か
結論:補足情報の出典元の確認しやすさ・信頼性も、Pro Searchモードが優位です!
Pro Searchモードの議事録は、この数字はどこから来たのかがすぐ分かる構成になっています。
市場規模や成長率、普及台数といった数値ごとに出典URLが明示されており、参照元をひと目で確認できます。
特に評価できるのは、複数の調査ソースを並べて提示している点です。
ひとつのソースのデータに依存せず推計の違いを示しているため、数字が違う理由も読み手側で判断できます。
一方、通常検索モードの議事録は、やや不安が残る結果となりました。
信頼性の高そうなソースは挙がるものの、「出典例」と書かれているため、本文の内容と対応しているのか判断しづらい状態です。
さらに、データとURLの対応関係が分かりにくく、出典例に掲載されているサイトの6割以上がリンク切れのため、自分で調べ直す必要がありました。
数字の裏取りまで含めて安心して使いたいなら、Pro Searchモードのほうが一歩リードしているといえます。
③議事録として要点が整理され、実務に活用できる内容か
結論:社内報告・PoC企画にはPro Searchモードがおすすめです。
Pro Searchモードで作成された議事録は、実務で利用可能な水準と感じられる構成が強みです。
議事録というより、社内報告資料のたたき台に近い完成度といえます。
一方で、通常検索モードの議事録は会議内容をコンパクトに整理したいときに向いています。
ただし、補足情報や具体的なデータが少ないため、意思決定の材料としてはやや物足りなさを感じました。
会議の要点をまとめるだけなら通常検索モード、意思決定など次のアクションへつながる資料を作るならPro Searchモードが向いています。
結論として、スピード重視か、判断材料の質重視かで選ぶべきモードは変わります。
通常検索モードでは約1秒で議事録を作成でき、そのスピード感は大きな強みだと感じました。
Pro Searchモードは約45秒かかりますが、通常検索モードよりも情報量・網羅性が向上します。また、数字の裏取りが容易で、追加で調査する手間が少ないのも魅力です。
スピード重視で全体像をつかむだけなら、通常検索モードで十分です。情報密度・正確性・実務活用を重視するなら、Pro Searchモードをおすすめします。
本記事ではPerplexityのファイルアップロード機能を使って、会議の文字起こしから議事録を自動で作れるのかを実際に試してみました。
その結果、Perplexityは最新情報を調べたうえで、出典付きでまとめてくれるので、「この内容、本当に合ってる?」という不安が減ることが分かりました!
Geminiと比べると、Geminiは文章を整えたり要点をまとめたりするのが得意で、下書き用途には便利です。
一方で、数値や事実の裏取りまで任せたいなら、Perplexityのほうが安心して使えます。
また、Perplexityの通常検索モードとPro Searchモードでは役割がはっきり分かれていて、サクッと概要をつかみたいなら通常検索、意思決定に使う資料を作りたいならPro Searchが向いています。
もちろん、AI任せにせず最後の目視チェックは必要ですが、それでも議事録作成にかかる時間と手間は大きく減らせそうです。
会議後の「議事録つくらなきゃ…」が負担になっている方は、ぜひ一度Perplexityを試してみてくださいね!
Yoomは、さまざまなAIやSaaSツールをノーコードで連携できるサービスです。
PerplexityとSalesforce、Google スプレッドシート、Notionなどと連携すれば、議事録や要約を自動で作成できます。
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